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by 幸田 晋

<福島第1原発>地元住民沈痛 首相「帰郷困難」発言で

<福島第1原発>
地元住民沈痛 

首相「帰郷困難」発言で

毎日新聞
8月28日(日)2時15分配信より


 
「住民の居住が困難となる地域が生じてしまう
可能性があるのが残念ながら事実」。

東京電力福島第1原発事故を巡り、
菅直人首相が27日に福島県で述べた
「帰郷困難」発言は大きな波紋を広げた。

同県の佐藤雄平知事は
「本当につらい、重い話」
と沈痛な表情を見せ、

地元首長は「とんでもない」と声を荒らげた。

原発のすぐ近くに住む人たちには
「一時帰宅直後の発言で、ばかにしている」
との怒りや「故郷に見切りをつけるしかない」
とのあきらめが交錯した。



 ◇「中間貯蔵」に知事抗議

 この日、菅首相は福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」の最終盤に顔を見せ、地元首長らに「(放射性物質の)除染が重要」と強調。ところが佐藤知事との面談で一転し「帰郷困難」に触れた。さらに放射性廃棄物の中間貯蔵施設についても「県内での整備をお願いする」と明言した。

 佐藤知事は「県民にとっては本当につらい重い話。住民の帰還(が一部で不可能かもしれないとの)見通しを示す前に、事故の収束、除染に全力を挙げて、一日も早く古里に帰りたいという思いを実現してほしい」と首相に要望。

 さらに突然声を荒らげて「中間貯蔵施設のこと、突然の話じゃないですか。困惑している」と抗議し「事故以来、猛烈に苦しんでいる県にとってはきわめて重い話。国としてしっかり対応してほしい」と求めた。

 第2原発が立地する富岡町の遠藤勝也町長は協議会終了後「さっきは何のための会議だったんだ。どうして我々の前で(帰郷困難を)言わなかったんだろう。こっちに相談もなしに。とんでもない話だ」とあぜん。「除染もしてないうちに、そんな考え方を示されたら憤りを感じる。我々が一生懸命帰ろうとしているのに、水を差すようなことは言わないでほしい」と厳しく批判した。【種市房子、竹内良和】

 ◇一時帰宅直後…「ばかにしている」

 「帰郷困難」の可能性が高いのは、一時帰宅を長く禁じられ26日にようやく解禁となった大熊、双葉両町の半径3キロ圏内。原発から2.8キロの大熊町小入野に住んでいた会津若松市の無職、杉本征男さん(70)は「生きているうちに帰ることはないだろうと腹をくくっていたから驚きはない」と受け止めながらも「もうお墓参りもできねえ。悔しいな」と怒りをかみ殺す。そのうえで「どこが帰れない地域か明言してほしい。そうでないと、次の行動が起こせない」と求めた。

 原発から約3キロに自宅があり、長女とともに岡山県美作市に避難している同町の木村紀夫さん(46)は「いつかは帰りたいと思っていたので気持ち的にはしんどいが、どれくらいの線量で帰れないのか細かい数字を提示したうえではっきり言われるなら仕方ない。ただ、中間貯蔵施設を県内に造るというのは到底納得できない」。

 原発から約2.5キロの双葉町細谷に自宅があり愛知県安城市に避難している農業、山本安夫さん(60)は26日に一時帰宅したばかり。「やっと実現した一時帰宅の翌日に、辞める首相が『戻れません』と宣告する。私たちをばかにしているとしか思えない」と憤る。

 同じく細谷地区に自宅があり、家族を群馬県高崎市に避難させて原発の収束作業のためいわき市に単身赴任している会社員、遠藤義政さん(50)は「自宅は原発から2.5キロで戻れなくなる覚悟はできている。買い上げなのか借り上げなのか、政府が早く方針を示さないと次の生活が見えない」。

 双葉町で農業を営み埼玉県加須市に集団避難した谷充(たに・みつる)さん(60)も「どこまでが住めなくなるのか、どんな補償内容になるのか、国は直接私たちに示してほしい」と訴えた。


【伊澤拓也、袴田貴行、島田信幸、藤沢美由紀】
by kuroki_kazuya | 2011-08-28 02:29 | 核 原子力