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by 幸田 晋

<リーマン破綻3年>財政出動効果薄く 欧州債務危機で暗雲

<リーマン破綻3年>
財政出動効果薄く 
欧州債務危機で暗雲

毎日新聞
9月15日(木)0時55分配信より


 
世界金融危機の引き金を引いた
米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻から
15日で3年を迎える。

各国の大規模な景気刺激策で
世界経済は一時緩やかな
回復軌道に乗ったかに見えたが、

欧州は債務危機が深刻化し、
日米も財政悪化や景気低迷に直面する。

リーマン・ショック直後の
巨額財政出動の効果が乏しかったためで、
世界経済の先行きには再び暗雲が垂れこめている。


【田畑悦郎、ワシントン斉藤信宏】

 
「世界経済は新たな危険地帯に入っている」。
世界銀行のゼーリック総裁は14日、
ワシントンでの講演で警鐘を鳴らした。

総裁は「早く行動を起こさなければ痛みは増すだけだ」と指摘し、
欧州債務危機などへの
抜本対策を早急に講じなければ
事態は一段と深刻化するとの認識を示した。


 リーマン・ショック直後に各国は巨額財政出動をテコに金融危機をいったんは封じ込めた。だが、先進国は低成長から抜け出せず、4~6月期の国内総生産(GDP)の実質成長率(年率換算)は米国が1・0%、ユーロ圏が0・6%(市場推定)、東日本大震災に襲われた日本がマイナス2・1%に低迷。景気が本格回復すれば税収増も見込めるが、各国は景気停滞が続き財政赤字は膨張する一方で、欧州の債務危機などをもたらした。

 欧州は、ギリシャの財政危機を引き金とした信用不安がスペインやイタリアなどにも波及し、景気の重しとなっている。とりわけ最大の焦点であるギリシャについて、市場では「国債が償還できないデフォルト(債務不履行)に追い詰められる」との見方が広がり、ギリシャ国債を大量保有する欧州大手銀行の経営不安を招いている。ギリシャのパパンドレウ首相は、メルケル独首相、サルコジ仏大統領と14日に電話協議し、対応策を話し合う予定だが、危機脱却の目算は立っていない。

 リーマン・ショックの震源地の米国も、今年夏には政府債務の上限引き上げをめぐり、与野党が対立。さらに米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が8月、米国債を史上初めて格下げし、市場の緊張を高めた。

 
リーマン・ショックの原因は米住宅バブル崩壊だが、米住宅市場は低迷が続き、家計は過剰な住宅ローンという「負の遺産」を抱え、消費を圧迫している。米国では「不良債権問題に苦しんだ90年代の日本のように『失われた10年』になりかねない」との危機感も強まっており、オバマ大統領は先週、4470億ドル(約34兆円)の景気・雇用対策を発表した。だが、これに見合う増税案に野党・共和党は反発しており、実現は不透明だ。
 
ユーロとドルの信認が揺らぎ、
投資資金は消去法的に円に流れ込み、
円相場は8月に戦後最高値を更新。

震災復興と先進国で最悪の財政という
難題を抱える日本経済の足かせとなっている。


日米欧は金融緩和余地も乏しく、
政策的な手詰まり感が強まる中、

リーマン・ショック直後に
世界経済を下支えした中国も
インフレ懸念が強まり、身動きしづらい。


 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「リーマン・ショック直後の欧米の財政出動は家計や金融機関の債務を政府が肩代わりしたに過ぎない」と指摘。「欧州債務危機がどこまで広がるか読めず、世界経済はリーマン・ショックに次ぐ危機に陥るかどうかの問題に直面している」と警告している。
by kuroki_kazuya | 2011-09-15 02:30 | 財政