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by 幸田 晋

<核燃サイクル原案> 秘密会議で 評価書き換え再処理を有利

<核燃サイクル原案>

秘密会議で

評価書き換え 

再処理を有利


毎日新聞
5月24日(木)2時31分配信より一部

内閣府原子力委員会が

原発の使用済み核燃料の

再処理政策を論議してきた

原子力委・小委員会の報告案を
作成するため4月24日、

経済産業省・資源エネルギー庁、
電気事業者ら推進側だけを集め

「勉強会」と称する秘密会議を
開いていたことが分かった。


表紙に「取扱注意」と
記載された報告案の原案が配られ、

再処理に有利になるよう
求める事業者側の意向に沿って、

結論部分に当たる「総合評価」が

書き換えられ、

小委員会に提出された。

政府が
ゼロベースの見直しを強調する裏で、

政策がゆがめられている実態が浮かんだ。


小委員会は

修正後の総合評価を
踏襲して取りまとめ、

23日、
「新大綱策定会議」
(議長・近藤駿介原子力委員長)に報告して

事実上解散した。

近く政府のエネルギー・環境会議に報告される。


 
毎日新聞は

A4判79ページの資料を入手した。

表紙右上に「4/24勉強会用【取扱注意】」、

表題は
「原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会
(第13回)」で、

4月27日に論議される予定の
報告案の原案だった。


 秘密会議は4月24日午後5時過ぎから約2時間、原子力委の入る東京・霞が関の中央合同庁舎4号館で開かれた。鈴木達治郎・原子力委員長代理や内閣府原子力政策担当室職員のほか▽エネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の森本英雄課長▽電力10社で作る電気事業連合会の小田英紀原子力部長▽青森県六ケ所村の再処理工場を経営する「日本原燃」の田中治邦常務▽高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部▽東京電力や日本原子力発電など電力会社社員ら約30人が参加。小委員会のメンバーは鈴木代理だけだった。

 小委員会では使用済み核燃料の「全量再処理」、「全量直接処分」、「再処理・直接処分併存(併用)」の3政策について議論していた。関係者によると、日本原燃幹部は秘密会議で六ケ所村再処理工場存続を要請。小委員会座長の鈴木代理が「プロジェクト(再処理工場)に影響を与えない併存が一番良い」と応じた。トラブル続きの再処理工場の現状などから全量再処理は賛同を得にくい一方、全量直接処分では工場閉鎖につながるためとみられる。

 総合評価の表記は、仮にウラン価格が30倍に上昇しても全量直接処分が経済的に優位であることから、原案では「(再処理や併存より)総費用において優位」と言い切っていた。しかし、変更後は「ウラン価格が現状のままなら」などと条件付きで「優位になる可能性が高い」と後退する一方、併存について「全量再処理より経済的に多少有利」などと利点を強調する記述が増えていた=表参照。報告案は4月27日は時間切れで審議できず、5月8日に論議された。





・・・・・

 ◇解説 議論一からやり直しを

 核燃サイクル政策について議論の中核を担う内閣府原子力委員会の小委員会に提出された報告案が秘密会議によってゆがめられていた問題は「民主、自主、公開」の原子力3原則を持ち出すまでもなく重大だ。電気事業者とりわけ日本原燃は全量直接処分政策を選択すると六ケ所村再処理事業もろとも破綻する運命にある。報告案作成に関与してはならないのは自明で、原子力委トップである近藤氏の責任は重い。

 公共施設に事業者だけを集め意見を聞く原子力委員や内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁職員に公務員の自覚はあるだろうか。憲法15条は「すべて公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定める。反対派を排除して推進派と水面下で手を組んでは失格の烙印(らくいん)は免れまい。

 なぜ再処理事業にこだわるのか。再処理できなくなれば使用済み核燃料の捨て場所を速やかに決めなければならない。無理なら原発停止に追い込まれる。高コストと判明しても再処理にしがみつくのは、影響が原発政策全般に及ぶからだろう。

 
5月8日の小委員会で、

委員の松村敏弘・東京大教授は

問題の「総合評価」の記載について

「なぜこんな偏った記述になってしまうのか。

まったく分からない」と厳しく批判した。

秘密会議の存在を知らない委員の目にも、

議論を無視した内容であることは明らかだった。

原子力委が絡む会議は他にもある。

ゆがめられた政策が一つだけとは考えにくい。


地に落ちた信頼を取り戻すには

秘密会議参加者を

一切タッチさせない新体制を作り、

議論を一からやり直すほかない。


【小林直】
by kuroki_kazuya | 2012-05-24 05:13 | 核 原子力