日本のテレビ局はなぜ反原発の動きを報じ損ねたのか?
2012年 09月 12日
日本のテレビ局は
なぜ反原発の動きを
報じ損ねたのか?
筆者 金平茂紀
朝日新聞デジタル
2012年9月10日10時52分より一部
日本のほとんどのメディアが
ロンドン五輪漬けになっているなかで、
このような文章を書くのは心が重たくなる。
だが、きちんとこの問題を論じることが大事だ。
とかく一色に染まりがちと言われている
日本のマスメディアにおいて、
首相官邸前や各所で展開されている
脱原発、原発再稼働反対を訴える
デモ・集会をめぐっては、
メディア間にはっきりとした扱いの違いがみられるからだ。
この違いはどのような理由によるものなのかを把握しておくと、そこに自ずと見えてくるものがあるのではないか。
違いは新聞において明白だ。
読売・日経・産経といった新聞は
明らかに、脱原発集会、デモの報道に対して抑制的、
あるいは露骨な嫌悪さえ滲ませている。
逆に、東京・毎日・朝日の各紙は
今回の事態に一定のニュース性を見出して、
比較的大きく報じていた。
とりわけ東京新聞は、
紙面を大きく割いて集会・デモの様子を詳報している。
・・・・
例外的な番組として
記憶に残っているのは、
大阪・毎日放送の
『映像08 なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち』
(2008年放映)くらいだ。
いわゆる熊取六人衆について正面から取材していた。
放送後に局に対し関西電力からクレームがつきトラブルとなった。
・・・・
〈私が12年間、
日本で取材活動をするなかで感じたことは、
権力を監視する立場にあるはずの新聞記者たちが、
むしろ権力側と似た感覚をもっているということだ。
似たような価値観を共有していると言ってもいい。
国民よりも官僚側に立ちながら、
「この国をよい方向に導いている」という
気持ちがどこかにあるのではないか。
やや厳しい言い方をするならば、
記者たちには「官尊民卑」の思想が
心の奥深くに根を張っているように思えてならない〉
・・・・
金平茂紀(かねひら・しげのり)
TBSテレビ執行役員(報道局担当)。
1953年北海道生まれ。
77年TBS入社。
モスクワ支局長、
「筑紫哲也NEWS23」編集長、
報道局長、
アメリカ総局長などを経て
2010年9月より現職。
著書に『テレビニュースは終わらない』
『報道局長 業務外日誌』など。
なぜ反原発の動きを
報じ損ねたのか?
筆者 金平茂紀
朝日新聞デジタル
2012年9月10日10時52分より一部
日本のほとんどのメディアが
ロンドン五輪漬けになっているなかで、
このような文章を書くのは心が重たくなる。
だが、きちんとこの問題を論じることが大事だ。
とかく一色に染まりがちと言われている
日本のマスメディアにおいて、
首相官邸前や各所で展開されている
脱原発、原発再稼働反対を訴える
デモ・集会をめぐっては、
メディア間にはっきりとした扱いの違いがみられるからだ。
この違いはどのような理由によるものなのかを把握しておくと、そこに自ずと見えてくるものがあるのではないか。
違いは新聞において明白だ。
読売・日経・産経といった新聞は
明らかに、脱原発集会、デモの報道に対して抑制的、
あるいは露骨な嫌悪さえ滲ませている。
逆に、東京・毎日・朝日の各紙は
今回の事態に一定のニュース性を見出して、
比較的大きく報じていた。
とりわけ東京新聞は、
紙面を大きく割いて集会・デモの様子を詳報している。
・・・・
例外的な番組として
記憶に残っているのは、
大阪・毎日放送の
『映像08 なぜ警告を続けるのか~京大原子炉実験所・“異端”の研究者たち』
(2008年放映)くらいだ。
いわゆる熊取六人衆について正面から取材していた。
放送後に局に対し関西電力からクレームがつきトラブルとなった。
・・・・
〈私が12年間、
日本で取材活動をするなかで感じたことは、
権力を監視する立場にあるはずの新聞記者たちが、
むしろ権力側と似た感覚をもっているということだ。
似たような価値観を共有していると言ってもいい。
国民よりも官僚側に立ちながら、
「この国をよい方向に導いている」という
気持ちがどこかにあるのではないか。
やや厳しい言い方をするならば、
記者たちには「官尊民卑」の思想が
心の奥深くに根を張っているように思えてならない〉
・・・・
金平茂紀(かねひら・しげのり)
TBSテレビ執行役員(報道局担当)。
1953年北海道生まれ。
77年TBS入社。
モスクワ支局長、
「筑紫哲也NEWS23」編集長、
報道局長、
アメリカ総局長などを経て
2010年9月より現職。
著書に『テレビニュースは終わらない』
『報道局長 業務外日誌』など。
by kuroki_kazuya
| 2012-09-12 04:43
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