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by 幸田 晋

東電は「超官僚的組織」から脱却できるか?

東電は
「超官僚的組織」から
脱却できるか?
 

東洋経済オンライン
2013/6/30 06:00より一部
歳川 隆雄


東京電力は26日、
執行役員を含めた
社内全体の大幅な
人事刷新を発表する。


 目玉は若返りを含めた部長級人事だ。東電のエリート集団である総務部では、木村俊一総務部長(56)が神奈川支店長に転出し、後任に佐伯光司総務部長代理(首都圏・環境担当、49)が就任する。総務部と双璧を成す企画部では、青木信男企画部長(55)は経営改革本部電力システム改革担当となり、同改革本部に置かれた企画部長に文挾誠一経理部兼経営改革本部事務局(52)が起用される。

 その他の主要部長でも、大幅に若返る抜擢人事が際立つ。壹岐素巳事業部長(55)は常務執行役に昇格し、経営改革本部に設置されたグループ事業部長には子会社常務の森尻謙一氏(49)が大抜擢される。そして労務人事部長には冨倉敏司福島本部企画総務部企画グループマネージャー(48)が就く。



■ 新東電4人組の素顔

今回の人事がサプライズなのは、若返りだけではない。
旧来、東電では東大法学部を卒業した総務、企画部生え抜きが入社年次に応じて出世するという、
予定調和的人事が横行。
「霞が関以上に官僚的な会社」(経済産業省の事務次官経験者)と揶揄されてきた。

が、今回は学歴もキャリアも多彩な人材が部長に抜擢されている。

特に注目すべきは
1985年以降に入社した
佐伯、文挾、森尻、冨倉の4氏だ。


慶応大学出身の佐伯氏は、
かつてプロゴルファーの倉本昌弘氏のキャディーを務めたこともある総務部の苦労人。
休日は福島原発事故関係のボランティア活動をしている。

同じく慶大卒の冨倉氏は
長年、優れたシステム屋として知られ、
この2年余は福島原子力被災者支援対策本部に籍を置いた。

一方、旧東京都立大学出身の文挾氏は
経理部が長く、水戸支社長を3年務めた後、
新たに発足した経営改革本部のスタッフを務めてきた。

ただ一人、東大(工学部建築学科)出身の森尻氏は、
グループ関連企業を束ねる責任者になるが、
自身は関連会社出向歴が長い。

 
実は今回の大胆人事の兆しは今春にあった。

 
東電は4月から社内カンパニー制を導入。
「フュエル&パワー(燃料・火力)」
「パワーグリッド(送配電)」
「カスタマーサービス(小売り)」の
三つのカンパニーに分かれたが、
そのトップ人事は少なからず話題となった。

 
特に社内の耳目を集めたのは、
フュエル&パワー・カンパニーの
バイスプレジデントとなった
可児行夫氏(49)である。
同氏は入社後、一貫して燃料部を歩み、
計画・調査、LNG(液化天然ガス)事業開発に従事してきた。

■ 戻ってきた改革派の旗手

その可児氏が、
4月1日付人事で豪州の関連会社である
PEウィートストーン社長から
バイスプレジデントに大抜擢され、
「復権」したのである。

 
なぜ、復権なのか。

福島第一原発事故後の東電は混迷していた。

当時の勝俣恒久会長が率いた経営執行部は、
東電を一時公的管理に置く国有化論に強く抵抗、
「発電・送電・配電一体」の電力体制死守に固執していた。


 
こうした中、
当時燃料部マネージャーであった可児氏ら
社内の中堅・若手の改革派が
2011年夏ごろからひそかに集結。
議論を重ねまとめた提言
「何を目指すのか~将来への希望」を作成した。


そこには、
東電自ら7分割案を提示し、
新しい電力供給のあり方の議論を
主導すべきだと記されていた。

この提言は12年年初に勝俣氏に提出されたが、
握り潰されただけでなく、
可児氏は後に海外転勤となり、
ほかの改革派メンバーも
左遷同様の厳しい立場に追い込まれた。


だが、昨年6月に勝俣氏が会長を退任。
弁護士の下河邉和彦
原子力損害賠償支援機構(原賠機構)運営委員長を会長、
廣瀬直己常務取締役(原子力被災者支援対策本部長)を社長、
経済産業省出身の嶋田隆原賠機構事務局長を
取締役兼執行役とする新経営体制が発足したことで
改革派が復権した。

 
また、そのほかの執行役員人事でも、
カスタマーサービスカンパニーのバイスプレジデントに就任した佐藤梨江子氏(48)は、
初の女性執行役員として話題になった。

佐藤氏は2年前の夏から一貫して被災者支援・補償相談に従事してきた。
これまで東電では傍流であった部門の経験者が数多く抜擢されている。

 
それでも、社内守旧派の存在は
根強いものがあり、
同社の本質とされた権力集中と規律を体現する
エリート部門、総務部と企画部の組織改革には
手をつけることができなかった。


 
が、今回は
若返りを図るだけでなく、
総務、企画部にメスを入れたのである。
より柔軟な組織になったことで、
今後はたとえば発送電分離など
東電が率先して電力自由化を進める
といったことも期待できる。


■ 今期黒字化は望み薄

 
もっとも、東電が置かれている状況が厳しいことには変わりない。

 
同社は昨年4月末、将来的な道筋を示す「特別総合事業計画」(総合計画)を策定、14年3月期には営業黒字化を達成すると発表していた。が、これはあくまで柏崎刈羽原発7基のうち4基が今年4月から順次再稼働した場合の数字だ。

 


・・・・(途中略)





 
コスト削減や資産売却は
計画を上回るペースで進んでいるものの、

除染や廃炉の費用も先行きは見えない。

東電は昨年11月、
こうした費用が10兆円に膨らむとして
政府に支援を求めたが、

政権が民主党から自民党に代わっても
この要請への政府からの反応はない。






・・・・(途中略)






(週刊東洋経済2013年6月29日)
by kuroki_kazuya | 2013-07-01 06:07 | 九電労組