原発再稼動、事故再来…現役官僚が描く原発利権のリアルな構図と衝撃シナリオ
2013年 11月 27日
原発再稼動、
事故再来
…現役官僚が描く
原発利権の
リアルな構図と
衝撃シナリオ
Business Journal 11月27日(水)3時40分配信より一部
小泉純一郎元首相の発言で、原発問題が再びクローズアップされている。
そんな中、
原発問題をめぐる1冊の小説が話題を呼んでいる。
福島原発事故後の日本を舞台に、
政治家、官僚、電力会社、経済団体など、
原発再稼動に蠢く魑魅魍魎を描いた
『原発ホワイトアウト』(若杉冽/講談社)だ。
この作品が注目されているのは、
小説と銘打ちながらも、
作者が匿名の“現役官僚”で、
その内容は
現実の原発事故後の
“事実”に即しており、
登場人物もモデルが特定できるなど、
一種の暴露小説となっているからだ。
そんなショッキングな話題性もあり、
発売1カ月で6万5000部と
売り上げを伸ばしているという。
霞が関では、
官僚たちが作者は誰なのかと、犯人探しに躍起になっているといわれるが、
それだけ霞が関にとって都合の悪い現実が書かれているということなのだろう。
ではどこが現実とリンクするのか、モデルは誰なのか、
それらを検証する形で本書の“リアリティ”に迫ってみたい。
福島原発事故から数年が経過した日本。
物語は、政権を奪還した保守党(※自民党がモデル)、官僚、そして電力会社が三つ巴で原発再稼動に向けて動き出すことから始まる。
三者の目的は、自らの原発利権を再び手中にすることだ。そのために、さまざまな工作を張り巡らしていく。
そんな展開の中で政治家、官僚、電力会社それぞれの“本音”も随所に描かれている。
●傲慢な官僚の本音
例えば、エリート官僚である資源エネルギー庁次長は、こううそぶく。
「(再稼動について)質問側の政治部記者も、回答する幹事長も、両方素人だ」
「素人の政治家や記者には、小売り自由化や発送電分離の制度設計の細部の書きぶりによって、電力会社の独占力がどれほど維持されるのかなど、わかりはしないのだ」
エリート官僚が政治家を懐柔して、プライドをくすぐりながら、いかに自分たちの言いなりにさせるのかという手法や、「国民や政治家、新聞記者を欺くなど簡単だ」という、傲慢な官僚の本音が語られていく。
また、原発を規制する役割を担う原子力規制委員会を意のままに操る手法も、詳細に描かれている。
「専門審査会とは別にワーキング・グループを置いちゃえばいいだろ。
思想信条をよくチェックしてよ。
目くらましで外国人とか女性学者とか入れちゃってよ」
「活断層じゃねぇ、って意見を一致させちゃえば」
「大衆は、きれいごとには賛同しても、カネはこれっぽっちも出さない。原発を再稼動させないと電力料金がどんどん上がる。という構図を示し、大衆に理解させれば、徐々に、アンチ原子力の熱は冷めていく」
国民の安全など
一顧だにしない恐ろしい
発言ばかりだが、
これが
官僚たちの本音なのだろう。
・・・(中略)
●卑劣な裏工作の数々
さらに日本電力連盟による、
巧妙なマスコミ対策、世論誘導……。
こんな卑劣なことが
現実とはにわかには信じ難いかもしれない。が、
これは小説という形式をとりながらの、
現実に即した“内部告発”だ。
例えば、小説には再稼動に強固に反対する新潟県知事も登場する。
この新潟県知事のモデルもまた、現実の泉田裕彦知事その人だろう。
小説では新潟県知事が、
検察をも関与する裏工作によってスキャンダルをでっち上げられるが、
実際の泉田知事もスキャンダル探しのために身辺を探られていることを明かしていた。
小説の新潟県知事は
ついには失脚させられてしまい、
新潟原発が再稼動され、
福島事故の再来という恐るべき結末が待ち受けているのだ。
原発事故から2年半。
東京五輪開催も決定し、
多くの日本人は
原発事故などなかったかのような
日常生活を送っている。
本書は再稼動を
他人事のように捕らえている日本に
警告を与えるものだ。
もう一度、東日本大震災を、福島第一原発事故を思い出せ、と。
原発事故の再来は、日本の破滅でもあるのだから。
事故再来
…現役官僚が描く
原発利権の
リアルな構図と
衝撃シナリオ
Business Journal 11月27日(水)3時40分配信より一部
小泉純一郎元首相の発言で、原発問題が再びクローズアップされている。
そんな中、
原発問題をめぐる1冊の小説が話題を呼んでいる。
福島原発事故後の日本を舞台に、
政治家、官僚、電力会社、経済団体など、
原発再稼動に蠢く魑魅魍魎を描いた
『原発ホワイトアウト』(若杉冽/講談社)だ。
この作品が注目されているのは、
小説と銘打ちながらも、
作者が匿名の“現役官僚”で、
その内容は
現実の原発事故後の
“事実”に即しており、
登場人物もモデルが特定できるなど、
一種の暴露小説となっているからだ。
そんなショッキングな話題性もあり、
発売1カ月で6万5000部と
売り上げを伸ばしているという。
霞が関では、
官僚たちが作者は誰なのかと、犯人探しに躍起になっているといわれるが、
それだけ霞が関にとって都合の悪い現実が書かれているということなのだろう。
ではどこが現実とリンクするのか、モデルは誰なのか、
それらを検証する形で本書の“リアリティ”に迫ってみたい。
福島原発事故から数年が経過した日本。
物語は、政権を奪還した保守党(※自民党がモデル)、官僚、そして電力会社が三つ巴で原発再稼動に向けて動き出すことから始まる。
三者の目的は、自らの原発利権を再び手中にすることだ。そのために、さまざまな工作を張り巡らしていく。
そんな展開の中で政治家、官僚、電力会社それぞれの“本音”も随所に描かれている。
●傲慢な官僚の本音
例えば、エリート官僚である資源エネルギー庁次長は、こううそぶく。
「(再稼動について)質問側の政治部記者も、回答する幹事長も、両方素人だ」
「素人の政治家や記者には、小売り自由化や発送電分離の制度設計の細部の書きぶりによって、電力会社の独占力がどれほど維持されるのかなど、わかりはしないのだ」
エリート官僚が政治家を懐柔して、プライドをくすぐりながら、いかに自分たちの言いなりにさせるのかという手法や、「国民や政治家、新聞記者を欺くなど簡単だ」という、傲慢な官僚の本音が語られていく。
また、原発を規制する役割を担う原子力規制委員会を意のままに操る手法も、詳細に描かれている。
「専門審査会とは別にワーキング・グループを置いちゃえばいいだろ。
思想信条をよくチェックしてよ。
目くらましで外国人とか女性学者とか入れちゃってよ」
「活断層じゃねぇ、って意見を一致させちゃえば」
「大衆は、きれいごとには賛同しても、カネはこれっぽっちも出さない。原発を再稼動させないと電力料金がどんどん上がる。という構図を示し、大衆に理解させれば、徐々に、アンチ原子力の熱は冷めていく」
国民の安全など
一顧だにしない恐ろしい
発言ばかりだが、
これが
官僚たちの本音なのだろう。
・・・(中略)
●卑劣な裏工作の数々
さらに日本電力連盟による、
巧妙なマスコミ対策、世論誘導……。
こんな卑劣なことが
現実とはにわかには信じ難いかもしれない。が、
これは小説という形式をとりながらの、
現実に即した“内部告発”だ。
例えば、小説には再稼動に強固に反対する新潟県知事も登場する。
この新潟県知事のモデルもまた、現実の泉田裕彦知事その人だろう。
小説では新潟県知事が、
検察をも関与する裏工作によってスキャンダルをでっち上げられるが、
実際の泉田知事もスキャンダル探しのために身辺を探られていることを明かしていた。
小説の新潟県知事は
ついには失脚させられてしまい、
新潟原発が再稼動され、
福島事故の再来という恐るべき結末が待ち受けているのだ。
原発事故から2年半。
東京五輪開催も決定し、
多くの日本人は
原発事故などなかったかのような
日常生活を送っている。
本書は再稼動を
他人事のように捕らえている日本に
警告を与えるものだ。
もう一度、東日本大震災を、福島第一原発事故を思い出せ、と。
原発事故の再来は、日本の破滅でもあるのだから。
by kuroki_kazuya
| 2013-11-27 06:44
| 核 原子力