スキーにはまっています。


by 幸田 晋

他電力との調整をかなぐり捨てて、川内原発再稼動に走った九電

他電力との
調整を
かなぐり捨てて、
川内原発再稼動に
走った九電


ブログ「院長の独り言」 2014年03月16日より転載

 一言で原発の安全性といいますが、その原発は千差万別。なにしろ何十年も前に建設されている原発と、最新鋭の原発とでは、設計思想も何もかも違うのは当たり前。それを一律に、安全だとして運転してきたのが、311以前のこと。そして、何か問題が起これば、○○することによって、すべての原発で対応できると説明することが求められていました。
 
私は以前
東京電力に勤めていましたから、
各電力の原発について、
まとめて通産省に報告する
役割もはたしていました。


原発全体に関する問題は電事連の場ではなしあい、沸騰水型(BWR)に関する内容は東電がまとめ、加圧水型(PWR)に関する内容は関電がまとめていたものです。
 そういった全体をまとめる能力は、本店が東京にあり、人材も豊富な東電が図抜けていたのは、間違いありません。その東電が、フクシマによって、他電力のまとめをする余裕を喪失。残っているのは、関電ですが、なにしろ本社は大阪にありますから、東京で行われている会議ににらみが利きません。
 こうなると、自分だけよければいいの田舎電力が幅を利かせるのは、当たり前になります。

原子力規制委員会が九州電力川内原発の優先審査を決め、最初に合格する見通しとなった。規制委の原発審査は終盤、他電力を出し抜こうとする電力会社の「再稼動レース」に。政権中枢は「夏までに2原発を再稼動」とシナリオを描いたが、思い通りにならない。
(筆者注:調整をしていないことで、今までの規制が効果を挙げられなくなっています。前述したとおり、当然のこと)

 昨年7月施工の規制基準に基づく審査は、再稼動の条件の一つ。関西電力の大飯、高浜原発(いずれも福井県)、四国電力の伊方原発(愛媛県)、九州電力の玄海原発(佐賀県)、川内原発(鹿児島県)など、事故を起こした東京電力福島第一原発事故とは別の加圧水型炉の審査が進んだ。
(注:フクシマは沸騰水型)

 当初、順調だったのは断層の問題が少ない玄海と川内。関電は事故後の再稼動実績がある大飯の運転再開を目指すが、敷地内断層の評価が固まらず審査が一時保留に。昨年11月、断層に「活動性なし」の見方が固まると審査は加速した。
 電力会社は、新基準で求められた重要課題を互いに分担し合って審査に望む作戦を採用。たとえば、厳しい想定となる原発直下の地震のゆれを審査会合で最初に提示したのは九電だった。
(注:ここまでは、電事連での調整がまあ何とかうまくいっていたことが伝わってきます)

 会合では傍聴席に九電の説明をじっと見つめる関電担当者の姿があった。「余計なことを言わないか監視しているんだ」。審査関係者が解説した。
(注:最初に述べたように、加圧水型の雄、関電が九電を監視しているわけ。中部でも、四国でもなく、関電というところに注目)

2月に様相が変わる。規制委が「基準時振動」(耐震設計の目安となる地震のゆれ)などの想定をクリアした原発を、優先して審査する方針を打ち出したのだ。
(注:地震動を分担することになった九電が、ここで一歩抜けた)

 関電と九電は勝負に出る。九電は、電力中央研究所の研究結果を反映させる業界の横並びを破り、直下の地震動想定を独自に設定。川内で安全余裕を持たせた最大化速度620ガルの想定を審査会合に示した。関電は、規制委員会が求めていた大飯周辺の3断層が連動する想定を受け入れた上で、基準地震動を最大化速度750ガルで承認を求めた。
(注:この地震動は、東日本大震災の2933ガルはおろか、阪神大震災の818ガルにも満たないものすごい過小評価。机上の空論に過ぎません。そして、ここで重要なのは、九電が電力会社の横並びを無視したこと。こうなっては、関電が「九電さん、お手並み拝見」と協力しなくなるのは明らか。九電単独で規制委員会に対抗できる能力があるとは、私にはとても思えません。)

 軍配は九電に。他社が不利になるかもしれないような余裕を持たせた想定に、規制委が輪は「御社の哲学が見えて安心した」と評価。一方、大飯は調査データと主張との食い違いを指摘され、後退した。九電関係者は「他社から恨み節も聞こえるが、(業績も苦しく)他者の審査について考える余裕はないと開き直った。
 この地震動解析は、すべてプラントメーカーである三菱がやっていることで、九電が自前でやっていることなどなにもありません。哲学も何も、三菱がやっているわけですから、同じ。それを九電が、三菱に○○でやれ、と号令をかけたのでしょう。三菱も社内的には混乱しているでしょうし、他電力が九電のことを快く思わないのは当たり前。つまり、一枚岩に見えている電力会社間に亀裂が走ってしまっているわけです。

では、一歩先をいっているとされている九電。緊急時対策室は東電のものと比較すると本当に貧弱

 また、避難経路。30キロ圏内から50キロ圏内に逃げてしまえば大丈夫と考えているようですが、それでは甘いことは、フクシマですでに証明済み。下記は、桜島の噴火シミュレーション。川内で事故が起きた場合とおおよそ等しいことは、火山先生がフクシマの汚染地図をつくっていることからもあきらかでしょう。

もしものときは、
日本の太平洋ベルト地帯が
すべてやられます。

この場合、
九電はどうやって賠償を
するつもりなのでしょうか。

まったくの無保険では、
自動車の運転が許されないのと同じく、

再稼動前には
このようなシビアアクシデントを
起こしたときに、
いったいどのようにして
償うつもりのかをしっかりと説明して
いただきたいものです。


「川内が爆発したときは、
日本が終わるとき。
すなわち賠償の
必要はまったくない」

と考えているのでしょう。

さらに、海洋汚染

みごとに有明海を中心に日本沿岸すべてを汚染してくれます。
この漁業補償は?有明海の漁民もまた、被害者となることは明らか。

なぜ、ひとたび事故を起こせば、回復不能な被害をもたらす原発を再稼動するのはなぜか。

アイコクシャたちが「韓国も中国も原発を推進している。大和魂を持つ日本が安全に運転できないわけがない。」とフクシマを引き起こしておきながら、反省もしないのはなぜでしょう。私にはいまだに理解できません。

他原発のことも詳しく乗っていますので、ちょっと長いですが、下記の記事も紹介しておきます。

“再稼働レース”でトップの川内、出遅れた大飯 明暗分けたのは「恭順」姿勢
産経新聞 3月16日(日)14時5分配信
 原子力規制委員会は、九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)を優先的に安全審査することを決めた。新規制基準が施行された昨年7月、早々に申請を行った6原発10基が競い合う“再稼働レース”。先頭集団から抜け出した川内は、電力需要の高まる夏の再稼働も視野に入った格好だ。逆に、当初はトップ候補だった関西電力大飯3、4号機(福井県)は長期化の見通しだ。明暗を分けたのは、規制委への「恭順」の姿勢だった。

■素直な対応で奏功

優先原発の選定で、規制委の判断の焦点となったのは、基準地震動(想定される最大の揺れ)だった。

 昨年7月の申請時、九電は川内の基準地震動について、震源を特定しない地震動も考慮した上で540ガル(揺れの強さを表す加速度単位)と設定。その後、585ガルに設定し直した。しかし、それでも規制委の了解は得られず、13日の審査会合ではさらに620ガルに引き上げた。

 この“素直”な対応が功を奏した形で、規制委は基準地震動を「クリアした」(規制委の田中俊一委員長)と判断。地震・津波担当の島崎邦彦委員長代理も「川内だけは(基準地震動が)すでに確定している」と言及し、問題はないとの見解に至った。

 川内で事故時の前線基地となる「緊急時対策所」(免震重要棟)は平成27年度に完成する予定。それまでは代替所を利用する計画だが、対策所内の被曝(ひばく)線量が代替所よりも高く、規制委から疑問が出ていた。九電は床や内壁を厚くすることで、被曝線量を抑えられるとの評価結果を示し、了承された。

 過酷事故など設備面の安全対策を担当する更(ふけ)田(た)豊志委員も「重大事故対策で九電が示したものは満足のいくものだ」と述べ、審査で問題は出ていないと説明した。

■関電のジレンマ

 大飯3、4号機は安全審査申請後、早々に活断層問題を乗り越えたため、一気にトップ集団に加わった。しかし、結局は川内と明暗を分けた。

 国内の原発が全停止する中、国内で唯一稼働していたため、昨年7月の新規制基準施行前に、すでに規制委がおおまかな基準の適合状況を確認し、稼働を継続させた実績も強みだった。

 何が問題だったのか。

 審査会合では、周辺3つの活断層が連動して動く地震レベルを考慮するよう規制委は再三要求していた。しかし、関電は「科学的根拠がない」として周辺活断層の三連動の可能性を拒否し続けた。長期間の工事を避けるため、地震動の引き上げを阻止しようと躍起になったのが審査を長引かせた要因だ。

 関電は12日の審査会合で基準地震動に関わる震源分析の見直しを規制委に伝えたものの、時すでに遅く、13日の会合で基準地震動は「未審議」とされた。

 関電が“強情”だったのには理由がある。

 元々安定した地盤に建てられた川内では、基準地震動を引き上げようとも追加工事は必要なかった。しかし、大飯では、根拠もないままに基準地震動を無闇に引き上げれば、大規模な工事を伴い、時間と金を湯水のように浪費してしまう。

 原発が停止し企業収益が落ち込む中で、難しいジレンマに陥った格好になっていた。

■番狂わせも多々

そのほかの先頭集団も、当初の予想とは大きく変わった。

 九電玄海3、4号機(佐賀県)は規制委からも「いろいろな意味での工夫から一歩前に行っている印象だ」とお墨付きを得ていたが、優先対象には選ばれなかった。川内と異なり、基準地震動が決まっていないことが大きな要因だった。

 当初は先頭を走っているとみられた四国電力伊方3号機(愛媛県)も、ここにきて後れを取った印象を受ける。斜面が多いという立地条件の下、電源車やポンプ車など可搬設備の運用に難点があるとされている。

 事故時の前線基地となる「緊急時対策所」を唯一完備しているが、事故が起きた場合、室内でも全面マスクで作業しなければならず、規制委側から「動きが著しく制限される」と指摘された。このため鉛板を入れる追加工事をするなど、被曝の改善に取り組んだ。

 北海道電力は昨年7月、泊原発にある3基を同時申請したが、1、2号機は実質的な審査に入っていない。事故対策の有効性を評価する際に、構造が違う3号機の解析を流用したため、田中委員長に「替え玉受験のようだ」と批判され、審査はすぐにストップした。

 唯一残った「虎の子」の3号機も重大事故対策で大幅な工事の改修が求められており、昨年7月に申請した6原発の中では、大きく後れを取っている。改修工事には少なくとも数カ月以上はかかるとみられ、審査合格は当分先に。再稼働の時期が見通せなくなったため、北海道電は家庭向け電気料金引き上げの検討を表明している。

 関電高浜3、4号機(福井県)は、周辺活断層の3連動を認めたため、基準地震動を550ガルから700ガルに大きく引き上げた。一方、重大事故対策については、規制委から「事前の印象より対策の取りやすい原子炉」と評価されている。計画通り工事や整備が進めば、審査は一気に進む見通しだ。

 このほか、東京電力柏崎刈羽6、7号機(新潟県)▽東北電力女川2号機(宮城県)▽中国電力島根2号機(松江市)▽中部電力浜岡4号機(静岡県)-の審査も継続しているが、ゴール地点は見通せないのが現状だ。
 この記事をみても、川内を皮切りに次々と原発再稼動が規定路線として進められるわけではないことはあきらかです。長い原発停止で、電力社内的にも、そして電力間でもきしみがでてきています。

あせることなく、
脱原発、原発即時停止を
訴えつづけましょう。

by kuroki_kazuya | 2014-03-17 06:46 | 核 原子力