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by 幸田 晋

国会の秘密監視  これは歯止めにならぬ

国会の秘密監視  
これは
歯止めにならぬ


京都新聞 社説 2014年06月02日より一部

12月の特定秘密保護法の施行に向け、
不安が一層高まる内容だ。

 
自民、公明両党は同法の運用を監視するため、
国会に「情報監視審査会」を置くなどとする国会法改正案を衆院に提出した。
今国会中の成立を目指すという。
 
審査会は議員8人で構成し、
衆参両院に常設する。
非公開の秘密会で、
政府から秘密の指定や解除など
運用状況について報告を受ける。

必要に応じて特定秘密の提出を要求し、
運用に問題があれば勧告できる。

政府が提出を拒否する場合は、
その理由を明らかにするよう求められる。
 
大きな問題は、
審査会の勧告に強制力を持たせていないことだ。
政府が応じないことも十分想定される。
これでは政府の恣意(しい)的な
運用を防ぐ歯止めにはならない。

 
秘密保護法は昨年末、
与党が国民世論の強い反対に耳をふさぎ、
不十分な審議で成立させた。

最大の懸念は、
秘密の指定や解除の法基準にあまりにも抜け穴が多く、
官僚の裁量で
国政の重要な情報が半永久的に
国民の目から隠される可能性があることだ。

 
安倍晋三首相は国会審議の土壇場で、
内閣府などにチェック機関を複数設置するとしたが、
いずれも官僚がメンバーであり、
内部で書類を回す域を出ない。

唯一、第三者性を持つのが国会だが、
改正法案の内容では政府の秘密を追認する機関になるのではないか。
「何が秘密かも秘密」という中で、政府から報告を受ける中身さえはっきりしない。
 
改正案を作成した与党幹部は
「三権分立の観点から国会の過度な介入はできない」と説明するが、納得できない。

憲法に基づけば、
国権の最高機関は国民の代表たる国会議員で構成する立法府(国会)のはずだ。
 
にもかかわらず秘密保護法は、
政府が「安全保障に著しい支障がある」と判断すれば
国会への情報提供を拒否できると規定する。

これに国会が
強制力のない勧告しか出せないなら、
三権分立の均衡は崩れる。

立法府の上に
行政府の特定秘密がのしかかる形になり、
国会の審議や権限は制限されてしまう。
損なわれるのは国民主権だ。



・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2014-06-03 06:35 | 憲法