スキーにはまっています。


by 幸田 晋

〜第77回小出裕章ジャーナル 2014年6月28日

みなさま、時間のアル時に
是非、「〜第77回小出裕章ジャーナル 」へ
お出で頂きたい。と、思います。<<KK>>

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戦争・テロの原発への脅威
「原子炉本体とつながっている配管を
ただ破壊してしまえばいいというものですので
攻撃に対しては大変弱い構造になっています」


〜第77回小出裕章ジャーナル 
2014年6月28日より転載


西谷:
この番組は6月16日に収録しているわけですけれども、今ですね、政府は集団的自衛権の問題を山場を迎えさせようとしているのですが、サッカーに隠れてて、ほとんど報道されてないんですけれども、小出さん、これどう感じられてますか?

小出さん:
はい、もう憲法にそもそも全く違反してると私は思います。憲法問題もキチッとやらないままですね、解釈だけで変える等ということは、日本国憲法前文にはですね、政府の暴走を防ぐためと明記されているわけで、それを踏みにじるような行為だと私は思います。

西谷:
政府は盛んに北朝鮮がこの脅威なんだと。攻めてくるかもしれないんだと、あるいは、朝鮮有事があるかもしれないんだ。だから、守らないといけないんだみたいなことを言いますが、それではなぜですね、日本海側にたくさん原発を作ったんでしょうか?

小出さん:
全く漫画のようなことですね。私自身は、朝鮮民主主義人民共和国が日本に攻撃をしかけてくるというようなことは、全く思っていませんけれども、もし、本当にその外国が何か攻撃をしてくると考えるのであれば、原子力発電所を持ってるということが最大の問題になってしまいます。

西谷:
だいぶ前の番組で、小出さんは「原発は実は天井が薄いので、上から飛行機なんか落ちたらすぐに壊れる」とおっしゃいまいたが、これは本当ですか?

小出さん:
もちろんです。天井と言うのは、要するに梁で支えるわけですけれども、原子力発電所のような巨大な建物はですね、梁で支える重量にも限界がありますので、横の壁は確かに分厚く造っててあるのですが、天井は薄いのです。ですから、両方向から、もし攻撃を受けるようなことになれば、簡単に破壊されると私は思います。
ただ、原子力発電所というのは、もともと非常に複雑な機械ですから、原子炉本体を破壊する必要など全くないのです。例えば、制御室を破壊してしまったっていいわけですし、原子炉本体とつながっている配管を、ただ破壊してしまえばいいという。そういう物ですので、攻撃というものに対しては大変弱い構造になっています。

西谷:
その点ですね、『原発ホワイトアウト』という本がありまして、これベストセラーになった現役の官僚が書かれた本なんですけど、最後の方に、小説ですからテロリストが出てきて原発の敷地外の高圧電灯を爆破したと。そうすると、冷却が停電でできないのでメルトダウンしたと。こういうことを書かれてるわけですが、原発の敷地外の、例えばなんらかの事故で送電線が壊れたりすると、こういうことってあり得るんでしょうか?

小出さん:
もちろん、あり得るわけですね。福島第一原子力発電所の事故も外部の送電線が倒れてしまって、外部から発電所に電気が来なくなったということを非常に重要な原因のひとつにしていますし、外部電源を断つということは、原子力発電所の弱点を攻撃する、かなり有効な手段だと私は思います。

例えば、米国などは原子力発電所の事故の脅威というものの大きな問題として、サボタージュとかテロとかいうことを考えていて、軍隊で原子力発電所を守るというようなことをやっているわけです。その点、日本というこの平和というんでしょうか、平和ボケというのでしょうか、一方では、他国の脅威をあおりながら、原子力発電所は決して事故を起こさないというようなことを未だに言い続けているという人達がいるわけで、大変不思議な国だと思います。

西谷:
これ、サボタージュというのを想定しているんですか?

小出さん:
所内に入って来た誰かが、例えばどっかの配管1本爆破してしまえば、原子力発電所が巨大な事故になるという、そういう装置ですので、労働者を大変厳しく監視する。不審な人間が入ってこないように、軍隊で守るというようなことをやっているわけです。

西谷:
あと、大飯原発で素晴らしい判決が出たんですけど、あの裁判所の判断は「地震で壊れる可能性が高い」と出てましたが、これ想定外の地震って起こりえますよね?

小出さん:
もちろん、起こり得ます。これまで、きちっと地震の予知ということをできた試しはないわけですし、次々と想定以上の地震が起きてきて、原子力発電所も設計を考え直すというようなことをずっと歴史的にやってるわけで、考えた以上の地震が起きるということはむしろ当たり前のことです。

西谷:
それと福島の場合は、地震が起きてから1時間経って津波が来るんですが、津波が来る前に、もう放射性物質が漏れていたという風な報道もあるんですが。

小出さん:
はい、そういうデータもありますし、津波が来る前に、非常用電源がもう止まっていたという話もありますし、原因をきちっと突き止めなければいけないのですが、残念ながら、事故現場に行くことすらできないという、そういう事故が今進行しているわけで、原子力発電所の事故というのは、大変過酷なものだなあと私は思います。

西谷:
九州の川内原発が再稼働をもしされた場合、火山の噴火で火山灰で目詰まりするんじゃないかと、こんな話もあるんですが、こういうことも起こり得ますか?

小出さん:
はい、川内原発が建っている所は鹿児島県ですけれども、近くに桜島もありますし、桜島のある鹿児島湾という所は巨大な火山の爆発の跡なんですね。
ですから、もし、あの周辺で大きな爆発が起きるというようなことになれば、火山灰あるいは火砕流という物が川内原発を襲うということは、もちろん可能性はあるわけですし、火山の爆発の予知ということだって、もちろん今の科学では完璧にできるわけではありませんから、万が一には、川内原発が大きな事故になるということは、もちろん考えておかなければいけません。

西谷:
あとですね、原子炉の燃料棒製造工場とかですね。あるいは、使用済み燃料棒を運搬する時に、襲われたりしたらということも考えないとダメですね。

小出さん:
そうですね。まあ、もちろんそれについては、原子力を進めてる人達も、場合によってはと考えてるわけですし、原子力発電所の燃料の輸送情報というものは、既にもう極秘にされてしまっていまして、ほとんど、その関係する自治体にすら通報されないという、そんな状態になってしまっているわけです。

かつて、ドイツの哲学者のロベルト・ユンクさんという方が、『原子力帝国』 という本を書いてくれました。その中で、原子力というようなものを選択してしまえば、国家が情報を徹底的に管理する。そして、人々を徹底的に監視するという、そういう世界になるだろうと予言しています。

西谷:
日本も特定秘密保護法が通りまして、着々とそういう権力者が秘密を隠す体制ができ上がってます。非常に危ないですね。

小出さん:
そうですね。安倍さんっていう人、大変危ない人だと私は思いますし、既にどんどんどんどん戦争に向かって転げ落ちていってるように私には見えますので、特に原子力の場という所に私はいるわけですし、今後もきちっと対応していきたいと思います。

西谷:
はい、今日はよくそういうテロとの関係、あるいは事故との関係がよく分かりました。小出さん、今日はありがとうございました。

小出さん:
いえ、ありがとうございました。
by kuroki_kazuya | 2014-06-29 06:48 | 核 原子力