表現の自由 良識ある風刺に価値あり
2015年 01月 21日
良識ある風刺に価値あり
琉球新報 <社説> 2015年1月19日より一部
社会を動かす影響力がある政治家らに対する風刺や辛口の皮肉を込めた表現は、庶民の思いを代弁し、民意を反映する要素がある。
矛先を向けられた当事者と社会全体で機知に富むメッセージを、胸襟を開いて受け止めることができれば、言論、表現の自由が息づく寛容な社会を形成できよう。
だが、国内外で表現の妥当性が論争となり、その自由に対する圧力が強まるなど、息苦しさを感じる事態が相次いでいる。良識ある表現の自由の在り方をあらためて考えたい。
フランスの風刺週刊紙「シャルリエブド」は銃撃テロ後の最新号で、イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を再び掲載した。「表現の自由か宗教の冒涜(ぼうとく)か」。世界、日本のメディアは風刺画を転載するか否かで判断が分かれた。
言論、表現の自由は最大限尊重されるべきで、
それを奪う暴力は絶対に許されない。
その一方、他者への敬意を忘れず、
価値観を尊重することが大前提である。
風刺画に対し世界各国のイスラム団体から抗議の声が上がった。風刺画を「冒涜」と受け止めるイスラム教徒が国内外に存在することは間違いない。尊厳を傷つける表現が横行しては、社会の多様性と寛容さが損なわれてしまう。
・・・(後略)