スキーにはまっています。


by 幸田 晋

〜第114回小出裕章ジャーナル

みなさま、時間のアル時に
是非、「HP『ラジオ・アクセス・フォーラム』」へ
お出で頂きたい。と、思います。<<KK>>

ーーーーーーーーーーーーーー

原発事故から4年
「敷地の中全体が放射能の沼のような
状態になってしまっていて、
毎日毎日どんどん海に向かって
汚染が流れ出ていってるわけです」


〜第114回小出裕章ジャーナル


HP「ラジオ・アクセス・フォーラム」 
2015年03月14日より転載


景山佳代子:
3月11日にですね、東日本大震災から4年が経過しました。小出さんからは、この間ずっと原発事故の収束がいかに難しいものなのかとか、日本の原子力エネルギー政策、それがいかに電力会社、経済界、それから日米外交の利権にまで関わって進められてきたものだということとかを、ほんとに分かりやすく伝えてきてもらったと思います。ありがとうございました。

小出さん:
いえ、こちらこそありがとうございました。

景山:
今回はですね、事故からのこの4年の状況を踏まえて、ほんとに実は燃料取り出し労働者の確保、それから今まで私も伺わせてもらった汚染水対策とか、それから移染の問題、放射性廃棄物の処理とか、ほんとにいっぱいいっぱい緊急を要する課題があるんですけど、これらの課題をどうしても優先順位付けて取り組んでいかなきゃいけないっていうふうに考えたら、小出さんでしたら、どういう優先順位で問題解決取り組まれるのか。もし、ご意見あったら伺いたいなと思ったんですけど。

小出さん:
はい。まずは、この間ずっとなわけですけれども、放射能で汚れた汚染水という物が原子炉建屋の中、タービン建屋の地下、トレンチ、ピット、立て坑というような地下のトンネル構造物などにもう溢れてしまって、それが、あちこちから地下に染み出してしまっているわけです。
福島第一原子力発電所の敷地の中全体が放射能の沼のような状態になってしまっていて、毎日毎日どんどん海に向かって汚染が流れ出ていってるわけです。

それをとにかく何とかくい止めなければいけないということが、まずは緊急の課題だと思います。ただし、そのためにやらなければいけないことはいくつもありまして、例えば、これまでは溶け落ちた炉心の冷却のために、水をひたすら4年間かけ続けてきたわけですけれども、「もうこれ以上、水をかけるという作業は止めなければいけない」と、私はもう2年ぐらい前から発言をしてきました。

景山:
ずっとおっしゃってましたよね。はい。

小出さん:
はい。金属で冷やす、あるいは最近では、もう空冷もできると私は思いますので、水をかけて汚染水を増やすということ自体をまず止めるということが必要だと思います。

そしてもうひとつは、地下水がどんどん壊れた原子炉建屋の中に流れ込んできていますので、それをくい止めなければいけません。それについては、私は2011年の5月から「原子炉建屋周辺に地下の遮水ダムを造らなければいけない」と発言を続けてきていますが、それすらがまだなされないまま放置されてきています。

最近になって、国と東京電力は、やはり遮水壁は必要だということに気が付いたわけですが、それでも造ろうとしてる遮水壁が凍土壁という物なのです。土を凍らせて、凍らせた土で壁を造るというような計画を立てています。しかし、その壁というのは、深さが30メートルもあって、壁の長さは1.4キロにも及ぶというような壁なのです。
そんな壁を造ったことは経験的にもありませんし、四六時中凍らせておかなければ壁が崩れてしまうという物なわけですから、長い年月維持できる道理もありませんし、おそらくその壁はできないだろうと私は思っています。やはり、もっときちっと計画を立てて、凍土壁ではないきちんとした遮水壁という物を一刻も早く造らなければいけないと思います。

景山:
はい。作業員の方をどういう形で確保していくかということも、実は重要な課題になっていくかと思うんですけれども。

小出さん:
はい、大変な問題だと思います。チェルノブイリ原子力発電所の事故が起きた時には、60万人とも80万人とも言われるほどの労働者を確保しなければなりませんでした。軍人、退役軍人、普通の労働者、あるいは一部には囚人という人達もいたそうですけれども、とにかく被ばくをしながら、大量な労働者で作業にあたったわけです。

今、日本ではオリンピック等ということで浮かれていて、そちらの建設労働の方にたくさんの労働者が吸い上げられていってしまってるわけですけれども、それどころでは本当はない。

景山:
ないですね。

小出さん:
きちっと福島の事故に対処するための労働者というものを確保しなければいけないと、私は思います。

景山:
でも現実、じゃあどうやって確保したらいいのかっていうのも、これも実は東電、あるいは国もその方向が見えないのかなあと思うんですけれども。

小出さん:
大変デタラメな国だと私は思いますけれども、現場で働いてる労働者はもちろん、東京電力の社員ではなくて、まずは、元請が東京電力から仕事を請け負いまして、ピンはねした上で次の下請けに仕事を下ろす。そして、次々に下請けにピンはねをしながら仕事を下ろしていくわけで、7次8次9次10次というようなものすごい下請け関係の中で、現場で働く人達がかり集められているのです。
東京電力が払った賃金が次々とピンはねされていって、労働者の手に入る時には最低賃金にも満たないというような本当に劣悪な状況の下で労働者が今、かり集められています。

そして、私が何よりも問題だと思うのは、被ばく作業には被ばくの限度というものが決められていますので、被ばくが限度に達してしまうと、その労働者は実は首切りされてしまうのです。

仕事を失ってしまうということになりますので、労働者の方としては、何とか自分の被ばくを値切って、あまり被ばくをしていないのだというふうに見せかけなければ、首を切られてしまう、生活が成り立たなくなるというような状態になっているわけです。

被ばく作業に従事する労働者は、きちっとした雇用関係の中で生活を保障するというような体系を作らねければいけないと、私は思います。

景山:
そうですよね。それから、私、実は4年前にですね、福島第一原発がバンと白煙を上げたあの映像を見た時に、もうほんとに怖かったですね。放射能は何なのかとか、そういうことが全く自分が分かってない、その中で映像を見て、「これから日本どうなるんだろう」とか、凄く心配したんですけれども。逆に今、ほんと皮肉なことなんですけれど、原発作業現場の方達ですよね、この方達の日々の努力によって、そういったメディアにパンと出てしまうような分かりやすい危険っていうのが見えなくなって、逆に、私達だんだん4年経って、福島のことをもう終わってきたのかなというふうに、収束してしまったのかなと。こういった記憶のすり替えというのか、認識が間違っていくというのがあって。

でも、やはり小出さんがおしゃって下さってるように、目に見えないんだけれども、問題は全く終息していない、ずっと継続してるんだと。これを改めて、この4年という時間で、もう1回私達、福島のこと、何も変わってない、あるいはもっと悪くなってることだってあるんだっていうのを覚えておきたいなというふうに思いました。

小出さん:
はい。景山さんを含めて、ラジオフォーラムが頑張って下さってるので有難く思います。

景山:
小出さん、今日はどうもありがとうございました。

小出さん:
いえ、ありがとうございました。
by kuroki_kazuya | 2015-03-15 05:55 | 核 原子力