スキーにはまっています。


by 幸田 晋

福島第一原発事故から被害者と加害者が学んだ教訓 (下) 小出裕章氏 

福島第一原発事故から
被害者と加害者が学んだ教訓 (下)


小出裕章氏
(バイバイ原発3.7きょうと集会での講演より)


たんぽぽ舎です。【TMM:No2445】
2015年3月28日(土)午後 08:02
地震と原発事故情報より一部



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┗■2.福島第一原発事故から被害者と加害者が学んだ教訓 (下)
 |  福島の事故は50年たっても収束しない
| 教訓は:2度と原子力発電所などは、動かしてはいけないと
 └──── 講師:小出裕章氏(バイバイ原発3.7きょうと集会での講演より)
 
○何とかしなければいけないと言って、労働者たちが闘っている。被曝をしながらです。でも、被曝というのは、日本の法律の中では、限度が決められているのです。

 1年間に、皆さんは、1ミリシーベルトの被曝しかしてはいけないと決められているわけですが、被曝労働者も、1年間に20ミリシーベルト以上の被曝をしてはいけないと定められているのです。もしその被曝の限度を超えてしまえばどうなるか、と言えば、東京電力の社員であれば何にも困りません。被曝現場から離れて別の部署で働けばいいからです。しかし今、福島第一原子力発電所の現場で働いている労働者たちは、被曝の限度に達してしまえば、即解雇なのです。もう働けなくなる。生活が奪われてしまうということを抱えながら、働いているという、そういう人たちです。

 そういう労働者を雇う雇用主の方も、労働者がなくなっては困るので、被曝の限度をごまかせ、余り被曝をしないように申告しろというわけですし、労働者の方すらが、自分の被曝の限度に達すると自分が首を切られてしまう、生活ができなくなるということで、自分の方から自分の被曝量をごまかしていくというそういう悲惨な事になっている。

○そしてこういう事態が、何年も、何十年も、続いていくしかない、そんな事故が今進行しています。わたしも含めて、今日、この会場にいらっしゃってる方々、失礼ながら、どっちにしても死ぬんです。私にしても、10年生きられるか、20年生きられるかと思っていますけれど、福島の事故は50年たっても収束しないです。この会場の人間がみんな死んでしまっても、たぶん事故は収束しないと、そういう事故、人類が初めて遭遇した巨大な事故が今進行して、本当に社会的に弱い人たちが、次々と被ばくをしていくということになってしまっています。

 周辺も大変です。鈴木さんのように逃げてきた方もいる、あるいは猛烈に汚染をしてしまったところ、面積にして言うと約1000平方キロメートル、琵琶湖が1・5個も入ってしまうというようなところが、到底人が住めないということで、10万人を超える人たちが、故郷を追われて流浪化しているのです。避難という言葉で言われています。でも一体それ、どういうことなんでしょうか?

○補償金もらっているからいいだろうと、たぶん政府の方は言うだろう。しかし、人間が生きる、生活するということは、物を食べるということだけではないのです。ちゃんと仕事があって、誇りをもってその仕事をこなしながら、地域の人たちとつながって、子供たちは学校に行って、仲間とつながって、みんなそうやって生きてきたはずなのですけれども、その生活が根こそぎ破壊されてしまう。ということが、1000平方キロメートルというような地域で起きて、10万人を超えるような人たちが、いまだに家に帰れない。たった一人の人がそうなったって、大変なことだと、私は思いますけれども、10万人を超えるような人たちが、そうなってしまった。

 日本はかっての戦争で、負けました。でも、国家が戦争で負けても、国破れて山河あり、といって、大地があればみんな生きられた。です。どんなにつらくても、きちっと生きることができた。今は、その大地自身が壊れてしまうということになりました。戦争が起きたって、こんなひどいことは起きない。というようなことが起きている。しかし、日本の政府は、それを忘れさせてしまおうという策謀に出ているわけですし、原子力マフィアの一端を担いできたマスコミも、次々と福島原発事故のことを報道しなくなる。わすれさせてしまおうという動きが着々と進行してきているのです。でも、今日、この会場に、雨の中をこれだけたくさんの方が来て下さったことを、私は大変うれしく思います。どんなに、国の方で忘れさせてしまおうということをやっても、福島の事を忘れないと思って下さる方がやはりこの国にはちゃんと居て、それぞれの方がこうやって集まってきてくれる事を、大変ありがたく思います。ありがとうございました。

○福島の事故から、私たちは何を教訓とすべきなのでしょうか?私の教訓は単純です。
原子力発電所で事故が起きてしまえば、
今聞いていただいたようにとてつもない被害が出てしまって、
回復すらができない、そういうものだ。
そしてそういう被害というものは、
社会的に困った人たちに、
集中的に加えられていくということを教訓にしなければいけないし、
2度と原子力発電所などは、動かしてはいけないと、
私は学ばなければいけないと、思いました。


おそらく、この会場の皆さんもそう思って下さっていると思います。

○しかし、
原子力マフィアはどういう教訓を得たのかというと、
どんなにひどい事故を起こしても、
どんなに住民に苦難を加えても、
自分たちは決して処罰されないという教訓を学んだ。
誰一人として処罰されない。
無傷のまま生き延びてしまうということになりました。


今、再稼働反対ということで、ここに私達は集まっていますけれど、電力会社は、九州電力、関西電力を筆頭に、原子力発電所を再稼働しようとしています。なぜかと言えば、川内原子力発電所、高浜原子力発電所、次に大飯原子力発電所が仮に再稼働して、大きな事故を起こしたとしても、彼らは、誰一人として処罰されない。ということを、今度の事故から教訓として彼らは学んでいるんです。

 東京電力の誰一人として罰せられない、東京電力は今もう黒字になっている。そうなら、自分たち、何にも怖いものない。ということで、彼らは再稼働させようとしているのです。なんとしても、それを、私はやめさせたいと思います。残念ながら、私達はまだまだ弱いです。本当に再稼働を阻止できるかどうか、私にはわかりません。再稼働どころか、原子力発電所を世界中から、私は、廃絶しなければいけないと思っていますけれども、それまでにたどりつくために、一体どれだけの時間がかかるのだろうかと、思うと、大変なことだろうなと、思います。

○問題は、原子力発電所の再稼働、ただそれだけではなくて、この社会、この世界が一体どんなものなのか、それを根本的に変えなければいけないということだと思いますし、社会的に弱い人たちに、とにかくみんなしわ寄せをしていくという、そういう世界を変えるというたたかいと、たぶん、つながっているんだと思います。

 これからもまだまだ長い時間がかかると思いますが、先ほど松田さんが報告して下さったように、大飯原発、高浜原発の、再稼働を差し止めるという裁判もいま進んでいて、もうすぐ、たぶん私も思うけれども、差し止めの判決がでるだろうと思います。

 歴史は流れています。大河のように流れています。簡単には流れを変えられないということはあるけれども、でも確実に流れていると、私は思います。

 あきらめずに、これからもいきたいと思いますし、皆さんのご活躍を願いたいと思います。ありがとうございました。
by kuroki_kazuya | 2015-03-29 06:05 | 核 原子力