スキーにはまっています。


by 幸田 晋

40年前から始まっていた福島第一原発事故

40年前から始まっていた
福島第一原発事故


上岡直見
〔環境経済研究所(技術士事務所)〕



たんぽぽ舎です。【TMM:No2585】
2015年9月8日(火)午後 09:51
地震と原発事故情報より一部

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┗■3.40年前から始まっていた福島第一原発事故
 |  実験的な確認のないまま次つぎと「安全である」という安全審査結論
 └──── 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕

  たまたま1976年刊行の山崎俊雄・木本忠昭『電気の技術史』(オーム社)という本を読む機会があり、いったいいつの話をしているのかと改めて驚かざるをえなかった。
 福島第一原発1号機は1967年9月に着工している。2011年3月の地震・津波は、破滅的事故への通過点にすぎず、建設当初から時限爆弾のタイマーが回っていたことが改めて理解できた。

 1.【事故時の放射性ヨウ素放出量見積問題では1959年3月には1万キューリといっていたものが、7月には250キューリ、8月には25キューリと科学的説明抜きでくるくると変更された。これは、イギリスやアメリカの放射線被曝制限値が順次きびしく伝えられ、これに合せて逆算して放出量をかってに推測してきめたことによるもので、この問原子炉そのものの安全性を厳しく審査しようという態度が見られなかった】(p.233、単位は当時のもの)

 2.【導入大型原子炉が安全性研究による実験的な確認のないまま次つぎと「安全である」という安全審査結論を得て各地に建設されている。しかも、商業上の機密を理由に「安全審査にあたっての資料の公開はできない」(原子力委員会委員の発言)とされるならば、原子力研究の憲法ともいうべき「自主・民主・公開の三原則」を踏みにじるものであり、国民的合意の下に技術発展をすすめていく姿勢がとられているとは言いがたい】(p.281)

 3.【原発新設に際して、地質を調査した科学者が、断層その他地盤に問題があると電力会社に質問書を出したところ、当初この電力会社は無視しようとした。

 政党調査団がきてはじめて資料の公開を約束するという、こういう電力会社の閉鎖性は、電力問題の公共性を主張する当の電力会社の主旨とも相入れないばかりか、国民的合意の上で安定したエネルギー供給体制を形成していく上でも障害となるであろう。国民に開かれた運営形態こそが将来の発展に必要とされている】(p.284)

 これらの問題は40年間にわたり全く改善されていない。この当時は原子炉の寿命が30年間と考えられていたことも記述されているが、炉の周辺部で細かい改良が行われているとしても、原子炉本体は何ら取り替えられていない。

 それが現在ではさらに延長の話が出ている。いま停止中の原子炉を再稼働したならば、時限爆弾のタイマーが再び回りだす。

 各地で次々とタイマーがゼロになる時、本当に日本という国が存在しなくなるだろう。
by kuroki_kazuya | 2015-09-09 06:05 | 核 原子力