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by 幸田 晋

【規制庁の人事】 独立性を崩す一穴の懸念

【規制庁の人事】 
独立性を崩す一穴の懸念


高知新聞 社説 2015年10月19日08時16分より一部

 原子力規制委員会は、事務局である規制庁職員の人事異動について、原発を推進する行政組織への復帰を認めない「ノーリターン・ルール」の対象を具体的に決めた。

 原発の再稼働を進める経済産業省資源エネルギー庁や、高速増殖炉もんじゅを担う文部科学省などで、原子力行政に大きく関与する部署への直接復帰を認めない。ただし、それ以外の部署では幹部職員を除き、復帰を容認した格好だ。

 将来的に推進部署に戻る可能性があるなら、出身官庁の意向に職員が左右される恐れがないとはいい切れまい。規制組織の生命線である独立性や審査の中立性を崩すアリの一穴となりはしないか、懸念を禁じ得ない。

 規制委の原点は福島第1原発事故の遠因そのものにあるといってよい。

 国会の調査委員会が断じたように、原発を規制する経産省原子力安全・保安院が「規制される者」の「虜(とりこ)」となった結果、安全規制が骨抜きにされ、過酷事故を防げなかった。

 「虜」の関係は、規制側と電力業界に限った話ではない。

 推進官庁と、その下に置かれた規制組織のもたれ合いもまた、安全神話の蔓延(まんえん)を許す原因だった。その反省として、推進当局と規制組織を切り離す「ノーリターン・ルール」が規制委設置法に設けられた。

 法律では、復帰を禁じる範囲が曖昧で、具体的な運用は規制委に委ねられていた。今回は対象を明確にしただけにもみえるが、ルール自体が形骸化しかねない要素を含んでいる。

 直接の復帰ではないにせよ、いったん推進官庁に戻れば、いずれ担当部署に籍を置くことはあり得る。規制庁は「相当の期間」、推進部署に配置換えしないよう求めるものの、人事権が及ぶわけではないため、実効性は不透明といえる。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2015-10-20 06:25 | 核 原子力