スキーにはまっています。


by 幸田 晋

原発と共に迷走する原子力規制委員会

原発と共に迷走する原子力規制委員会
  原発内部には何の対策も打ててはいない。
山崎久隆(たんぽぽ舎)

たんぽぽ舎です。【TMM:No2746】
2016年4月1日(金)午後 06:13
地震と原発事故情報より一部

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┗■1.原発と共に迷走する原子力規制委員会
 |  原発内部には何の対策も打ててはいない。
 |  できもしないデブリ回収という「机上の空論」を展開している場合ではない
 └──── 山崎久隆(たんぽぽ舎)

○廃炉にはほど遠い
 原子炉3基が同時に炉心損傷・炉心溶融を起こした福島第一原発震災から丸5年。
依然として汚染水の海洋流出は止まっていない。大きな原因は、地下水をコントロールできていないことと、水で燃料を冷やし続けていることである。
 既に事故直後から、圧力容器も格納容器も密封不可能となった原発で、熔けて崩落した核燃料を冷やす水を封じ込める方法がないことは明らかだった。
 当時から大量の汚染水が建屋内から周辺の土壌に流れ出していた。その主要なルートは「トレンチ」と呼ばれる海水管を通している地下トンネル構造物と、各種配管だった。これらを塞ぐ作業に、実に4年余りを費やしてしまった。
 この5年間で出来たことは、4号機のプールから核燃料を取り出したことと、このトレンチを閉鎖したこと、そして海側の遮水壁を閉じたぐらいである。全ては原子炉建屋の遙か外側で行われただけで、原発内部には何の対策も打ててはいない。
 その結果、年月と共に金属構造物もコンクリートも腐食が進み、いつ大規模な破損が生じるか分からなくなっている。特に誰も見に行けない地下構造は、強烈な放射線を出す核燃料デブリ(核燃料と炉内構造物が溶融し固まりとなった状態の物質)と様々な化学物質がカクテル状になった汚染水の混じり合う危険な空間である。大きな破壊が進んでいると見るべき場所だ。

○規制委の海洋投棄強行姿勢
 「凍土壁には関心が無い」この驚くべき言葉を発したのは、原子力規制委員会の田中俊一委員長だ。東電の計画は、凍土壁で地下水をブロックして汚染水を減らすというものだが、これを全く信頼していない。それよりも海洋投棄を早くせよと主張する。信頼しないのならば何故、規制委が先頭に立って対策をしないのか。それこそ無責任である。
 汚染水を浄化しても三重水素のトリチウムは取れない。規制委はトリチウム汚染水を海洋投棄せよといっているに等しい。敷地内の状態は、依然として空間線量が200マイクロシーベルト/時以上と、数時間いれば年間許容線量を超えるところがいくらもある。この線量は地上に溜まっている汚染物質から出ている放射線も影響している。この状態で汚染水や雨水の海洋投棄を「持続性のある対策」と言い放つ田中委員長は、海洋汚染防止の基本さえ無視しているといわざるを得ない。

○デブリ取り出しは出来ない
 規制委の更田豊志委員長代理は1月27日、このまま廃炉計画の審議を進めても核燃料デブリについては「議論できる状況に至っていない。取り出さない可能性も完全には否定できない」と述べた。この日は2020年頃までの作業について計画を図面に落とす作業をしていたが「このような(時間の)範囲では燃料について何か考えられるようなものではない」とした。
 そろそろ核燃料デブリの取り出しは不可能で、チェルノブイリ原発事故のような密封管理を構想するべきとの意見が出てくると思われる。福島の人々にとっては耐えられない話だ。半永久的に核燃料デブリが福島第一に残り続けるのでは、帰還どころの話ではないからだ。
 しかし、だらだらと時間ばかりを浪費して、できもしないデブリ回収という「机上の空論」を展開している場合ではない。できる限り早く、水に頼らない冷却方法と土壌への汚染流出防止のための恒久的な「石棺」を構築し、少なくとも汚染流出と自然災害や再臨界などの大事故を防止することを追求すべきである。
 東電はいうまでもないが、5年経っても何も変わらない福島の現場を見てもなお、何も感じていない政府や環境省(相)の責任は重い。
「mi.ra.i.eつなごう・未来へ」No14より転載
by kuroki_kazuya | 2016-04-02 06:15 | 核 原子力