[熊本地震・川内原発の世論] 住民の不安浮き彫りに
2016年 05月 06日
住民の不安浮き彫りに
南日本新聞 社説 5/5 付より一部
南日本新聞社が実施した九州電力川内原発(薩摩川内市)についての電話世論調査で、原発の安全対策で最も大切なものとして「地震・津波対策」と答えた人が最多の51.5%に上った。
調査日は偶然、熊本地震の発生直後という時機だったが、甚大な被害をもたらした隣県の地震が影響したのは間違いなかろう。
建物倒壊や山崩れ、新幹線や高速道など大動脈の寸断という大規模な被害に加え、地震が南西地域に波及する可能性を指摘する専門家の声もあることから、住民の不安が浮き彫りになった形だ。
一連の地震では、熊本県益城町で震度7を2度観測した。震度1以上の揺れは1000回を超えており、今も収まる気配はない。
原子力規制委員会は先月の臨時会合で、川内原発の揺れは最大8.6ガルと、原発が自動停止する設定値(最大加速度160ガル)を大幅に下回ったとして「安全上の問題は起きない」と結論づけた。
政府も、規制委の見解を踏襲して「運転を停止する理由はない」との立場を堅持している。
だが、住民の不安は消えていない。自動停止の設定値を下回ったものの、地震が終息せず、活断層の動きも見通せない中で、原発の安全性を心配するのは当然だ。
規制委の判断は「絶対安全」を約束するものではない。田中俊一委員長が昨年8月の会見で「絶対安全とは申し上げないし、事故ゼロとも申し上げられない」と語ったことからも明らかだ。
政府や電力会社は「原発を一度止めて安全確認をしてほしい」という声を、真摯に受け止める姿勢が必要ではないか。
・・・(後略)