<原発事故>ため池除染 工法特殊深まる焦り
2016年 06月 09日
ため池除染
工法特殊深まる焦り
河北新報 2016年06月08日水曜日より一部
福島県内の自治体が農業用ため池の除染に焦りの色を見せている。東京電力福島第1原発事故による営農への影響を回避する狙いがあるものの、特殊な工法が必要な上、工期が限られるなど厳しい条件での作業が予想されるためだ。担当者からは「業者の奪い合いになるのでは」と不安視する声も聞かれる。(南相馬支局・斎藤秀之)
除染は底土(乾燥状態)の放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8000ベクレルを超える場所が対象。福島県は本年度以降、県内700~800カ所の施工を見込む。
工事は汚染された底土を重機で除去したり、ポンプ吸引した後に放射性物質を分離したりする手法がある。専用プラントや特殊資材が求められるケースもあり、専門業者の助力が必要になるという。
福島県南相馬市内の土木業者は「他の工事への転用が難しく、ため池除染に絞った設備投資は困難。地元業者だけでは対応できない」と指摘する。
<予想外のトラブルも>
ため池ならではの事情も作業を難しくする。公道から外れた場所では、重機を搬入する仮設道路の敷設が不可欠。防火用水を兼ねていれば水は抜けない。準備が大掛かりになっても、工期は稲刈り後から翌年の春先までに限られる。
試験的に1カ所で除染工事を実施した同県川俣町では、工期を農閑期に当たる今年1~3月に設定した。営農への影響は避けられたが、氷が張るなど予想外のトラブルに見舞われた。
・・・(後略)