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by 幸田 晋

日本の原発はテロに対する防御が甘すぎる

日本の原発は
テロに対する防御が甘すぎる


東洋経済オンライン 6月19日(日)6時0分配信より一部

 フランスや米国などで多数の死傷者を出すテロが相次ぎ、原子力発電所も標的にされる可能性が高まっている。そうした中で6月14日、「原子力発電所とテロ――ドイツでは」と題した公開シンポジウムが東京都内で開催された。主催は原子力資料情報室および「もっかい事故調」(東京電力・福島第一原発事故に関する国会事故調査委員会メンバーにより構成)。研究会では原発の安全対策に詳しい3人の専門家が、日本やドイツ、米国における原発テロ対策の実際およびその問題点について語った。

 登壇者は、ドイツの環境問題シンクタンク「エコ研究所」で原子力工学・施設安全部門に所属するクリストフ・ピストナー氏、原子力コンサルタント・佐藤暁氏(マスター・パワー・アソシエーツ副社長、元GE社員)、東芝の元原子力プラント設計技術者・後藤政志氏。

■ 実は原発テロは各国で相次いでいる

 日本での認知度は低いが、原発を狙ったテロや不正行為はこれまで世界中で数多く発生してきた。今年3月にベルギーで起きた爆弾テロ事件でも、実行犯が当初、原発を標的にしようとしていたと報じられている。過去50年の間にも、核燃料の盗難や原子力施設への侵入、コンピュータウイルスによる感染などが、西側先進国のみならずロシアやイランなどでも起きている。だが、テロ事件の詳細は秘密にされ、被害の実態についても明らかにされないことが多い。

 今回、ドイツから来日したエコ研究所のクリストフ・ピストナー氏は、原発の規制基準やシステム分析に詳しく、ドイツ連邦政府の環境・自然保護・ 建設・原子炉安全省のもとにある原子炉安全委員会の委員も務めている。

 原子力安全の専門家の立場からピストナー氏は、「原発が直面するテロのリスクとして、航空機を用いたテロや武装グループの侵入、サイバーテロなどさまざまな手段がある」と指摘。

 そのうえでドイツでは、「航空機衝突に原発内の設備が持ちこたえられるように設計基準で定めたり、作業員の身元調査などさまざまな対策が講じられているが、対策には限界がある」と警鐘を鳴らした。


 実際にドイツでは航空機の原子炉への衝突に関する影響評価が実施されているという。

 古い時代に建設された原発は、小型のジェット戦闘機の突入に耐えられないと評価され、2011年の原子力法改正をきっかけに閉鎖された」とピストナー氏は説明した。

 その一方で、「現存の原発が中型ないし大型の民間旅客機の衝突に耐えられるかという点では、未解決の問題が残っている」とも述べている。

■ 高浜原発1、2号機は航空機落下に対し脆弱

 ひるがえって日本の場合はどうか。

 東芝で原子炉格納容器の設計にたずさわった後藤政志氏は、「日本では航空機(落下)衝突などの事故リスクが10のマイナス7乗回/炉・年以下であれば、評価する必要がないとされている。実際にはすべての原発がそれ以下で設定されている。テロの場合にはそうした計算ができないので別途検討することとなっているが、実際にどうなっているかは明らかにされていない」と指摘した。

 後藤氏は新規制基準の適合性審査をパスした関西電力・高浜原発1、2号機について、「格納容器の上部は鋼鉄製の容器が剝きだしになっており、航空機落下に対して脆弱だ」と指摘。

 審査の中で関電は上部に鉄筋コンクリート造の遮へい(厚さ約30センチ)を設置することを決めたが、「航空機衝突に耐えられるものではない」と述べている。

 また、後藤氏は東京電力・福島第一原発などの沸騰水型原子炉(BWR)について、「建屋は機密性はあるものの耐圧性能が非常に弱く、航空機の衝突によって簡単に壊れる。建屋最上部には使用済み燃料プールがあり、安全性が懸念される」と指摘している。

 テロに対する警備態勢も各国で大きな違いがある。

米国の事情に詳しい佐藤暁氏によれば、
「米国では各原発に150人規模の武装した戦闘部隊が24時間態勢で配置されている。
机上での訓練のほかに、レーザー光線を用いた仮想の敵チームによる攻撃に
対処できるかどうかの物理的な戦闘訓練が3年に1回、抜き打ちで実施されている」。


 また、薬物中毒やアルコール中毒の検査態勢も敷かれており、「1年間に延べ十数万人の検査をしている中で、約1000人ほどが陽性になっている」(佐藤氏)という。

 これに対して日本では警備態勢は米国ほど強力ではない。社員や作業員の身元調査は実施されておらず、薬物検査についても導入の動きはない。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-06-20 06:53 | 核 原子力