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by 幸田 晋

雇用改善とは 量や数字ではなく「質」こそ重要

雇用改善とは 

量や数字ではなく「質」こそ重要


愛媛新聞 社説 2016年07月06日(水)より一部

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201607066338.html

 「有効求人倍率が全都道府県で1倍を超えた」「雇用を増やした。賃金を上げた」―。安倍晋三首相はじめ政府与党は、判で押したように同じ都合のいい数字を連呼し、雇用改善をアピールする。だが、地方や中小企業の労働者、若年世代にとっては、誇示される「成果」ほどに景気や生活向上の実感はない。貧困や格差、将来不安がじわりと広がる今こそ、参院選の争点として労働政策の方向性を根幹から問い直すべきであろう。

 第2次安倍政権の3年半、確かに失業率は下がり雇用は増えたが、不安定で低待遇の非正規労働者は昨年で全体の37.5%と、民主(現民進)党政権下の35.2%(2012年)より上昇した。非正規の賃金水準は正社員の6割程度で年300万円未満が8割。「官製賃上げ」も大企業だけで、実質賃金は昨年度(0.1%減)まで5年間下がり続けている。格差が開き、結婚や子育ても困難な現実は決して望ましいとはいえない。

 有効求人倍率の「全県で1倍超」にも、統計のあやがある。国が長年使っている通常の「求人の受理地別」の数字では、沖縄は0.98倍(5月)。首相が連呼するのは、よりよく見える参考値の「(実際に働く)就業地別」だ。そもそも地方では若者流出に伴う求職者の減少、すなわち分母が減って倍率を押し上げ、実態以上に数字がよくなる面がある。分子である求人は非正規や、低待遇で人が集まらず募集を繰り返す業種が多く、ミスマッチが生じて肝心の就職件数増に直結していない。

 つまり雇用改善とは「量」ではなく「質」の問題。数字を並べても「成果」とは言えず、人を交換可能なモノのように扱う企業優遇の政策を抜本的に見直さねば国の未来はない。必要なのは、正規非正規を問わず普通に働けば暮らしが成り立つ「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」と、「働き方改革」の実現である。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-07-07 06:35 | 労働