スキーにはまっています。


by 幸田 晋

年金運用損 株高頼みの限界見えた

年金運用損 

株高頼みの限界見えた


北海道新聞 社説 08/07 08:50より一部

http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0071799.html

 十分な説明のないまま、老後のために預けたお金で株を買われ、大損させられていた―。

 やはりそうだったのか、との思いを禁じ得ない。

 130兆円超にのぼる公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2015年度に約5兆3千億円の運用損失を出した。

 損失の直接の原因は株安だ。安倍晋三首相の強い意向を受け、株式で運用する比率を高めたことが傷口を広げた。

 株は変動が大きい。大もうけも大損もある。市場への影響を抑えながら、株式で運用する比率を下げる方策を探るべきではないか。

 GPIFは14年10月から、株式の運用比率を24%から50%に倍増し、国債など国内債券の比率を60%から35%に下げた。

 15年度は、国内外の株式だけで6兆7千億円もの運用損があった。外国債券も損失が出たが、比率を下げた国内債券は2兆円の収益があった。金利の低下で債券の価格が値上がりしたためだ。

 自主運用を始めた01年度以降の運用収益は累計でまだ45兆円強あり、菅義偉官房長官は「年金額への影響は全くない」と強調した。

 確かに年金の支払いは保険料と税金で賄うのが基本で、積立金が充てられるのは1割程度だ。だから、短期的に問題はないだろう。

 しかし、16年4~6月期も運用損が出た可能性が高い。株安が続けば、将来の年金財政を圧迫するとの疑念はぬぐえない。

 安倍政権は株式重視の運用比率の変更を成長戦略と結びつけた。安全に運用されなければならない年金積立金を、株価維持に利用したと思われても仕方がない。

 株高にするために国民の資産を惜しみなく投入する一方、株安は想定していないように映る。

 比率変更の際の議論が十分でなく、国民の理解が得られていないという指摘も根強くある。

 GPIFが株を売却すれば、さらなる株価下落を招きかねない。だが、このまま放置するわけにはいかない。軟着陸する方法を考えるべきだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-08-08 06:35 | 財政