廃炉費用 いつの間にか高くつく
2017年 02月 04日
いつの間にか高くつく
東京新聞 【社説】 2017年2月3日より一部
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017020302000138.html
福島第一原発の天文学的事故処理費用、「過去に原発の恩恵を受けてきたから」と、結局は国民に広くツケ回し。過去に支払い済みの料金を値上げして、差額を徴収するなんて。そんなの、ありか。
東京電力福島第一原発の事故処理費。二十一兆五千億円。東京都の予算の三倍以上、とんでもない数字である。二〇一三年の暮れまでは十一兆円と見積もられていたが、二倍近くに増えた。
溶け落ちた核燃料(デブリ)の
取り出しだけでプラス六兆円という。
何しろ放射能の壁の中、
人が直接触れられない、
近づくことも不可能な別世界。
とてつもなく困難な作業ということである。
東電は今月、2号機直下にロボットを投入し、溶け落ちた燃料の在りかを探る。事故から六年になろうとする今も、“敵”の居場所さえ、はっきりとはつかめていない。長い時間と巨額の費用をかけて、牛歩を続けていくしかない。この先いくらかかるか分からない、天井知らずということだ。
その費用は、誰が払うのか。
東電が賄うならば、電気代、
政府が肩代わりするなら税金-。
結局は、消費者、国民に、ツケが回るということだ。
賠償費用も約八兆円。経済産業省の考えるツケ回しの手法は、あまりにも理不尽だ。
託送料金。すなわち、電力自由化後も既存大手の独占状態にある送電線の利用料を引き上げて、原発の電気を買わない新電力の利用者からも、「過去分」として、広く、浅く、取り立てようというのである。「新電力の利用者も、過去に原発の恩恵にあずかったから-」と、よく分からない理由をつけて、東電救済にひた走る。しかもそれが、われわれの知らないところで決められる。
・・・(後略)