スキーにはまっています。


by 幸田 晋

福島第一原発事故から6年拡大する被害

福島第一原発事故から6年拡大する被害
 今こそ 住宅支援の継続、コミュニティ丸ごとの避難
小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)インタビュー


たんぽぽ舎です。【TMM:No3022】
2017年3月10日(金)午後 09:14
地震と原発事故情報より一部

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┗■1.福島第一原発事故から6年拡大する被害
 |  今こそ 住宅支援の継続、コミュニティ丸ごとの避難、
 |  収束作業員の権利保証を (その1)
 |  小出裕章さん(元京都大学原子炉実験所助教)インタビュー
 └──── (3月5日発行「人民新聞 通巻1608号」より
                    許可を得て転載)

 2月9日、東電が「福島第一原発2号機の格納容器内で過去最高の毎時
650シーベルトを計測」と発表した。人間が即死する数値だ。
 だが、事故から丸6年を迎え、廃炉準備作業が進む中で明らかになる
作業現場の過酷さと、国・東電の相変わらずの無責任・ずさんな体質に、
「またか」と多くの人が慣らされている現状がある。その中で収束作業
員が無権利状態に置かれ、東日本全体に健康被害が広がり、住宅支援が
打ち切られる。
 今の状況は?そして必要なことは何か?
─元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんに電話インタビューした。
(編集部)

◎被曝はあらゆる病気を起こす

—東日本全体で放射能汚染による健康被害が拡大していると思います。
小出…2011年の3月から、膨大な放射性物質がまき散らされ、東日本全体
が広範囲に汚染されました。事故の収束も全くしていません。現時点で
福島原発から出ている空気中の放射性物質は、2011年3月後半に比べれば
かなり少ないです。ですから、事故直後の半月にまき散らされ、大地を
汚染している汚染物質とどう向き合うかが大きな課題です。

 そして放射性物質はどんなに微量でも人体に病気を引き起こします。
日本政府は事故直後から「年間100ミリシーベルトまでは健康に影響がな
い」という政策を行っていますが、まったく違います。

 現在福島では、子どもの甲状腺がんが従来の知見からすれば異常な割合
で増えています。それが被曝の影響なのかを明確にするためには国がき
ちんと調査することが必要ですが、隠すことしか頭にないから調査をし
ない。おそらく、甲状腺がんの増加は認めると思いますが、他の病気の
増加や影響は一切認めないでしょう。

 被曝はあらゆる病気を引き起こします。東日本で現在出ている多くの
病気に、被曝が影響しているはずです。被曝を減らすことが不可欠です。
日本が法治国家なら、やるべきことは人々をコミュニティ丸ごと移住させ
る政策です。
 しかし、政府はやろうとしません。ですからすでに保養キャンプを全国
の市民が頑張ってきましたが、まず子どもだけでも移住させることが必要
です。

—昨年6月のインタビューで、「政府は『原子力緊急事態宣言』により、
人々を避難させるのではなく、汚染地帯に放置した」と批判されました
が、今や浪江や富岡など避難指示が次々と解除され、区域外避難者の住宅
支援が打ち切られようとしています。
小出…とんでもない政策です。2011年3月から、福島県や東北地方、関東
地方の広範囲が「放射線管理区域」並みの汚染になっています。
 そこは一般の人の立ち入りが禁じられ、かつての私のような「放射線業
務従事者」だけが立ち入りでき、しかしトイレもなければ飲食も禁じられ
た場所です。
 そこに普通の市民や赤ん坊も捨て置いている。大変なことです。
 しかも、政府は「福島に戻ってこい」と住宅支援を止め始めた。
 これでは人々は汚染地に戻るしかなくなります。
 避難をした人、したい人への住宅支援は、必須の政策です。
       (その2・「地上と地下に3基分の石棺を」に続く)


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┗■2.東日本大震災から6年・火山活動も活発化
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」その189
 └──── 島村英紀(地球物理学者)

 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)から6年がたった。この大地震
は火山にも影響した。
 地震はマグニチュード(M)は9.0という近年の日本を襲った最大のもの
だった。
 M9を超える地震は、それまで世界でも6つしか知られていなかった。
もっとも古いものは1960年のチリ地震(M9.5)、東北地方太平洋沖地震の
一つ前は2004年のスマトラ沖地震(M9.3)だった。
 この6つの地震は津波など、それぞれ大きな震災を起こしたが、そのほ
かに、近くの火山の大噴火も引き起こした。

 たとえば1952年のカムチャッカ地震(M9.0)では地震から3ヶ月以内に
カルピンスキー火山など3つの火山が、そして3〜4年後にはベズイミ
アニ火山が噴火した。ベズイミアニ火山は1000年も休止していた後の噴
火だった。
 2004年のスマトラ沖地震でも、4ヶ月〜3年後にタラン、メラピ、
ケルートの3つの火山が噴火した。その後もマラピ山(2011〜2014年)、
クリンチ山(2013年)、シナブン山(2013年〜2017年)の噴火が続いて
いる。

 これらの先例では「近く」というのは震源から600キロ以内だった。
つまり「近く」といっても日本の多くの場所を覆うような距離のものも
ある。つまり先例を信じれば、日本のどこでも噴火が誘発されても不思議
ではない。
 御嶽山は2014年に噴火して、戦後最大の犠牲者を生んだが、噴火として
の規模は大きなものではなかった。世界のM9の地震のあとでは、もっと大
きな噴火が起きてきているのだ。

 M9.0という大地震は広い範囲に地殻変動をもたらす。東北地方太平洋
沖地震の場合でも、宮城県牡鹿半島の先端で東南東に5.4メートル動いた
のをはじめ、そこから遠くに行くにしたがって徐々に小さくなっていった
が、それでも関東地方で30〜40センチ、もっと遠くても10〜20センチ
だった。この急激な地殻変動が火山に影響しないわけはない。

 じつは九州以南の火山にまで影響が及んだのである。大分県の鶴見岳と
九重山、鹿児島県の諏訪之瀬島などでも、地震直後から火山性地震が増え
たり噴気が増えるなど、火山活動が活発になった。
 もっと近くの秋田駒ヶ岳、秋田焼山、焼岳(長野岐阜県境)、乗鞍岳、
白山(岐阜石川県境)も活発化したし、伊豆の大室山、伊豆大島、伊豆
新島でも火山活動が活発化した。

 この活発化は、それぞれの火山の下にあるマグマ溜まりが地震で揺すぶ
られたためかもしれない。幸い、そのときには噴火前の「臨界」状態では
なかったから噴火はしなかったものの、長期的には、噴火に至るステージ
が上がったと考えられている。

 東北地方太平洋沖地震のように大きな地震は余震も百年以上続き、地震
の影響は数年から数十年かかって浸透していく。余震だけではなく、これ
から火山の活動がどう推移していくのか、地球物理学者は注目しているの
である。

(島村英紀さんのHP「 http://shima3.fc2web.com/ 」
「島村英紀が書いた『夕刊フジ』のコラム」より2017年3月10日の記事)

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by kuroki_kazuya | 2017-03-11 06:15 | 核 原子力