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by 幸田 晋

3・11とイチエフ廃炉 “非日常”がなおそこに

3・11とイチエフ廃炉 

“非日常”がなおそこに


東京新聞 【社説】 2017年3月10日より一部

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2017031002000135.html

 六年たってもイチエフ廃炉の先は見えない。あらゆる命を拒む深い闇との境界で、手探りの危険な作業に挑み続ける人やロボットに、心を送り続けたい。

 福島第一原発(イチエフ)から南に約二十キロ、高台に立つ楢葉遠隔技術開発センターは、巨大な何かの格納庫を思わせる。

 通称モックアップ施設。モックアップとは実物大の模型のことで、廃炉の実動部隊であるロボットたちの、いわば訓練場である。

 高速増殖原型炉の「もんじゅ」と同じ、日本原子力研究開発機構(JAEA)の運営だ。

 建設費は約百億円。一昨年十月の開所式では、安倍晋三首相も祝辞を述べた。

 ロボットの動きを確認する試験棟には、原子炉格納容器の下部にあるドーナツ型の圧力抑制プールの一部が実物大で再現された。

 高さ五・五メートル、直径四・五メートルの円筒形の水槽や、高さ七・五メートルのモックアップ階段などもある。

 昨年の秋にセンターを訪れた。

 鉄腕アトムのような雄姿はもちろんない。巨大化した昆虫にも見えるロボットが、ぎくしゃくと階段を昇降し、障害物を乗り越える地道な訓練を積んでいた。

 先月、その中の恐らくエースが、2号機内部の探査に投入された。国際廃炉研究開発機構(IRID)と東芝が共同で開発したサソリ型の自走式ロボットだ。前後に二台のカメラを積んでいた。

 「溶け落ちた核燃料(デブリ)を初めて間近で確認できる」と、関係者は意気込んだ。

 デブリの実態把握こそ、“百年仕事”ともいわれる廃炉作業本番の、はじめの一歩だからである。

 ところが、生身の人間なら一分足らずで死に至るという放射線の嵐の中で、わずか二メートルしか進めずサソリは力尽き、動けなくなってしまった。

 「失敗とは認識していない」と東京電力側は言い繕う。だが、エースの仕事としては、明らかに期待外れだったというのが、直視すべき現実だ。

 放射線とはエネルギーの固まりだ。分子の結合を破壊して、電子回路を短時間で劣化させる威力がある。人間の細胞をがん化させるのとメカニズムは同じである。

 人はもちろん、ロボットさえも、決死の覚悟で赴かなければならないような環境が、あの日から六年を経た今もそこにある-。これがサソリの遺言なのだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2017-03-11 06:43 | 東電 出鱈目 資本 | Comments(0)