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by 幸田 晋

北朝鮮の核開発は「戦艦大和」建造に似ている

北朝鮮の核開発は

「戦艦大和」建造に似ている


東洋経済オンライン 9/5(火) 5:00配信より一部

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170905-00185830-toyo-bus_all

日本人はなぜあの戦争を止められなかったのか、あの戦争にいったいどれだけのカネがつぎ込まれたのか。
太平洋戦争に突入する前夜の日本、「戦艦大和」の建造計画を阻止するために山本五十六が海軍に招じ入れた若き天才数学者・櫂直を主人公にしたマンガ『アルキメデスの大戦』の作者・三田紀房さん。

山本五十六をダマして「水からガソリンを製造する」実証実験を霞が関の海軍省で行った詐欺師・本多維富を歴史の闇から発掘した歴史ノンフィクション『水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬』の著者、山本一生さん。

2017年8月、2人の異色対談が実現した。架空の天才と希代の詐欺師が照らし出す戦前昭和をのぞくと、現代の日本、そして北朝鮮問題が見えてくる――。

・・・(途中略)

 太平洋戦争はアメリカとの対立が開戦原因と思っている方が多いかもしれませんが、当時の日本にとっては、太平洋戦争とは、日中戦争に勝利するための戦争なんです。日本は1937(昭和12)年から中国と泥沼の戦いを続けていました。

 この戦いの根源は、日清・日露戦争にまでさかのぼります。当時、大陸の玄関口、日本の目と鼻の先にある朝鮮半島は最重要衝で、ここに清国やロシア帝国が影響力を及ぼすのは絶対に避けたい事態と考えられていました。日清戦争で朝鮮半島を勢力下に置くと、次は朝鮮半島の防衛には満州が重要となり、日露戦争が行われる。そして満州を得ると、満州防衛には中国が重要となる。もう切りがない。

 朝鮮半島、満州までは世界列強各国も、日本の進出にまだ目をつぶっていましたが、中国となると話は別です。1930(昭和5)年、中国の総人口は4億5279万人といわれています。日本は6470万人で、アメリカは1億2363万人です。市場規模で考えた場合、中国に勝るものは存在しません。イギリスは3億5237万人の人口を持つインドを植民地として支配し、排他的なブロック経済で利益を独り占めしたうえ、1842年の南京条約で香港を永久割譲され、対中国貿易で巨万の利を得ていました。米国も1898年の米西戦争でフィリピンを得て、中国への進出準備を着々と整えていました

 三田:一方、日本も世界恐慌から立ち直るためには大陸進出が必須と叫ばれる。しかも、ここで後ろに下がると、これまで大陸で戦死した“英霊”に申し訳が立たない。「戦友の骨が埋まっている」と、退くに退けなくなる。血を流して勝ち取った土地を手放すことは国民が許さない。新聞やラジオは発行部数・聴取率アップのみの視点から反米感情をあおりにあおる。陸海軍は莫大な予算を得ておきながら今さら戦えません、とは口が裂けても言えない。あの戦争は起こるべくして起こった、と私は思います

・・・(途中略)

 山本一生(以下、山本):日本が、なぜ戦争へと突入したのかについての最新の研究を読むと、止められそうな人はたくさんいたようです。それでも止められなかった。不思議ですね。内大臣だった木戸幸一は戦後、やはり、あれしかなかったと語っていて、無責任なように聞こえますが、実は当時の状況を的確に表現した重い言葉ではないかと私は思っています。

 三田: 止められる人がいるべきなのに、止められなかったというのは、現代の日本で、大企業でもまったく同じことが起きています。最近なら東芝がそう。全社を挙げて原子力事業に邁進し、ウェスティングハウス・エレクトリック・カンパニー(WEC)を54億ドル(約6370億円)で買収し、世界3大原子力製造メーカーとなる。しかし2011(平成23)年、東日本大震災が起きて原子力発電所の安全神話が崩壊、全世界で原子炉需要が落ち込み、業績が悪化して、巨額損失を抱え、経営危機に立たされる。

 WEC買収のとき、社内で警鐘を鳴らす者が誰かいなかったのか。誰も疑問を呈することなく突き進んだ結果、負債が拡大していき、気づいたときには、もう引き返せない。引くに引けない。ギャンブル中毒者と同じですよ。負けたら借金して、またギャンブル。こんなに負けたら、一発大穴で取り返さなきゃ、って。こうなると、もうダメ。冷静な判断など期待できない


 山本:確かに、東芝にはもう反対する人がいなくなっていたんでしょうね。反対意見を述べる者はだんだんと排除されていき、最終的には、止める人がいない。イエスマンだけで構成されると組織は危なくなっていく。

・・・(途中略)

 三田:開戦直前の8月28日、陸海軍、および民間から若手エリートを選抜して開設された内閣総理大臣直属の研究機関・総力戦研究所で対米戦の第1回総力戦机上演習(シミュレーション)が行われました。ここでは、極秘であった真珠湾作戦とアメリカの原子爆弾投下以外、敗戦直前のソ連邦参戦まで、ほぼ史実と同じ展開の末、日本必敗に至る、との結果が導き出されています。

 これを見学し終えた東条英機は「實際の戰争といふものは、君達が考へているやうな物では無いのであります」「戰といふものは、計畫通りにいかない。意外裡な事が勝利に繫がつていく」と称して、あくまで開戦の決意を変えなかった
。「窮鼠猫を嚙む」の故事もあるように、追い詰められたら弱者も強者に反撃する。アメリカもまさか日本が本当に戦争してくるとは思ってなかったでしょう。

■北朝鮮と戦前の日本は似ている

 山本:これは昔の日本の話だけじゃない。今現在の北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)にもいえる話だと思うんです。石油を止める、というのは、ほとんど戦争行為に等しい。先ほどの三田さんではありませんが、あまり北朝鮮を追い詰めないほうがいいような。

 三田:今の北朝鮮は戦前の日本と似ているかもしれませんね。戦前、戦艦は、今でいう核兵器と同じ扱いで、国際条約で各国ごとの保有数と大きさ(排水量)が定められ、均衡による平和が保たれていた。そう考えると、北朝鮮の核兵器・大陸間弾道弾は、72年の時を経て蘇ってきた北朝鮮版の戦艦「大和」と「武蔵」なのかもしれない

 山本:なるほど。

 三田:戦争は莫大な浪費にすぎません。おカネをドブに捨てるようなものです。太平洋戦争で陸軍が使用した軍事費総額は1133億9000万円、海軍は732億8400万円という巨費に達しています。戦艦「大和」の建造費1億4000万円どころではありません。

 そしてアメリカが第2次世界大戦に費やした総額は、米国議会調査局資料で3600億ドル、米国防省資料には3410億ドルと記されています。これを1941年当時の円ドル為替レートで計算すると、1兆5336億円と1兆4526億6000万円となる。つまりアメリカは日本の8.21倍(3410億ドルの場合、7.78倍)もの莫大な金額を投じたことになります。米国議会調査局資料が作成された2002年の物価で換算した場合、3600億ドルは、4兆7100億ドルとなります。この年のドル円為替レートは平均125.3円。つまり現代の日本円に換算した場合、590兆1630億円という天文学的な金額です


・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2017-09-06 06:25 | 学ぶ | Comments(0)