県の行方 県の借金9千億円
2007年 04月 03日
■県の借金は9千億円■
改革はいつの時代もテーマになる。変わる、改めるは難しいだけでなく、
実現した途端に次の宿題を負う。
しかし、現代の私たちが直面している改革の課題は、
もはや先送りできない「危機」に包囲されている。
今から思えば、東国原知事を選んだ民意は、政党不信以上に、
恐らくその危機意識が広く共有されていたからだろう。「変えるなら今だ」と。
県の借金は9千億円に上る。
毎年その利払いに追われるだけでなく、財源不足を補てんしていた基金は
早ければ2010年度には底を突き、予算編成さえ困難な事態が予想される。
これらは普段あまり意識されない。
だが、事実上は返済の難しい数字が、その内実が見えない分、
冷めた無力感として不安を潜行させていく。
そういう地方財政の窮状を自立へ促すのが地方分権改革だったが、
私たちが望んだ仕組みからはほど遠い。
いやむしろ、貧しい地方は破たんしろ、と言わんばかりの地方交付税削減などの
財政的締め付けに、先行きの見えないのが現状である。
■深刻な「格差」の拡大■
民の側では、経済をはじめ福祉・医療、教育などの分野で「格差」が拡大している。
特に財政再建の名で生存権まで脅かされる
「福祉切り捨て」は高齢者、
障害者らには深刻だ。
本県の県民所得全国40位
が示しているように、
公共事業に依存度の高い地域の低迷も看過できない。
大都市部の好況感をよそに、県内の景気、雇用情勢もまだ本格的な明るさに遠い。
完全失業率は全国値とほぼ同水準の高位で推移、
有効求人倍率にも好転の兆しは見えていない。
その不安に少子高齢社会の進行が拍車をかける。
県内の65歳以上の高齢者は人口の四分の一に迫り、
若年人口は先細りしていくばかりだ。
大きな「影」が幾重にも地域を覆っているが、これらは構造改革の負の遺産が噴き出し
てきた側面があり、必ずしも本県だけの責任とは言わない。
しかし、個別の原因を探る以前に、現状は危険水域をはるかに突破。
改革はもう待ったなしの段階である。
徹底して歳出の無駄を省き、優先度に応じた事業推進はもはや前提にすぎない。
要は、県民が危機感を共有した上で「何を」「どう」改革するかの具体策を提示、
実践することだ。
そのための東国原知事のリーダーシップと、審判を受ける県議会の役割は重い。
間違っても、時計の針を元に戻す施策だけは許したくない。
幸いなことに、私たちは知事選で見た「変化」の余熱を持っている。
それは「宮崎再生」の願いに尽きる。改革への決意とその持続力が試される。
宮日社説(07、04、1)の一部より