「日本の核武装」43年前に米政府憂慮
2011年 08月 14日
43年前に米政府憂慮
TBS系(JNN)
8月13日(土)18時41分配信より
1968年1月、
長崎県佐世保に
アメリカの原子力空母「エンタープライズ」が初めて寄港。
これに反対する学生・市民らと
警官隊とが激しく衝突し、
500人以上の負傷者が出ました。
いわゆる、
「佐世保エンタープライズ事件」です。
核への反発もデモの理由の1つでしたが、
当時のジョンソン駐日大使は回想録でこう困惑しています。
「日本は13基の原子力発電所をすでに稼働させていた。
それなのに、なぜエンタープライズが大騒ぎされなければならないのか?
石油の代わりにウランを使っているだけなのに」
(ジョンソン駐日大使の回想録)
今回、
JNNは
事件直後の2月に、
そのアメリカ大使館が作成した総括文書を入手しました。
この中で、
アメリカから見れば非論理的とされる寄港の余波を見るにつけ、
日本が独自に
核武装を決断することもあり得ると
憂慮していたことがわかりました。
「核兵器のような感情的な問題については、日本人の態度は振り子のように大きく揺れる。日本が核開発の能力を持っているのは疑いないが、日本人の“核アレルギー”が核開発を抑制している。(“核アレルギー”などがなくなり)もし、日本への核配備が問題ないとなれば、日本独自に核兵器を持ったほうがいい、という結論に容易に達するだろう」(ジョンソン大使)
なぜ、ジョンソン大使は日本独自の核武装にまで言及したのでしょうか。
「これが核武装をしていると疑うのはいかがか」(佐藤栄作首相・当時)
当時の総理は、後にノーベル平和賞を受賞する佐藤栄作氏。実は、その佐藤総理自身、「エンタープライズ」入港の3年あまり前、日本独自に核保有する考えをアメリカ側に伝えていたことも明らかになっています。1965年1月、日米首脳会談に備えて、大統領にラスク国務長官が送ったメモです。
「佐藤総理は最近、ライシャワー駐日大使に『核武装は日本においても常識だと考える』と伝えた。現在のところ、国民世論は反対するだろうと認識しているが、特に若い世代はこれから教育することが可能だと信じている」
危機感を募らせたラスク国務長官は、大統領にこう伝えています。
「どんなことがあっても、核武装には反対しなければならない。そうでないと、核戦争の危険性が増すだろう。日本は原子力の平和利用や、宇宙開発の分野でアジアにおける優越性を実証すればいい」
エンタープライズ事件の際に、アメリカ側が日本独自の核保有にまで言及したのは、こうした佐藤総理の過去の発言も背景にあったのではないかとみられます。