電力、揺らぐ地域独占 異業種参入でコスト競争 「大再編」時代に
2013年 01月 06日
電力、揺らぐ地域独占
異業種参入でコスト競争
「大再編」時代に
SankeiBiz
1月5日(土)8時15分配信より一部
発電事業の大再編がいよいよ動き出す。
電気料金の値上げや
政府が火力発電所の新増設で
義務づけた競争入札の影響で、
電力各社の地域独占体制が
揺らぎ始めたからだ。
2月から入札を始める東京電力をはじめ、
電力各社は
異業種からの参入組と発電コストで競い合う。
商社や都市ガス、
石油など
燃料調達や発電ノウハウを持つ企業が
虎視眈々(たんたん)と
巨大市場への参入を狙っている。
電力業界内でも
ほとんどなかった顧客奪い合いが
活発化する気配もあり、
“電力戦国時代”の幕開けとなりそうだ。
◆競争入札義務づけ
「造りたくても造れなかった3号機にようやく着手できる。職員たちは張り切っている」
東京ガスと昭和シェル石油が共同運営する天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」(横浜市)の幹部は、長らく更地のままだった建設予定地を前に、感慨深くつぶやいた。
扇島パワーでは稼働中の1、2号機(出力計81.4万キロワット)に加え、2015年度までに40.7万キロワットの3号機を新設。完成後は3基合わせて大型の原発1基分に匹敵する発電所となる。
3基体制を念頭に07年1月には環境影響評価(アセスメント)を済ませたが、当時は原発の新増設が進む中で採算を見通せず、3号機の建設は見送られた。だが、東日本大震災後の原発停止に伴う電力不足と相次ぐ電気料金の値上げで、既存の電力会社以外から電気を買いたいと希望する企業が増加。数百億円を投資して増設に踏み切る。
東ガスの岡本毅社長は、JX日鉱日石エネルギーと共同運営する「川崎天然ガス発電所」(川崎市)の増設も「有力候補」と意欲をみせており、発電事業への参入を加速する。
地域独占の見直しや発送電分離などの電力システム改革を進めたい政府も、異業種からの発電事業参入を後押しする。経済産業省は昨年9月に打ち出した新指針で、19年度以降に稼働する火力発電所の新増設や更新工事では、受注企業を競争入札で決めるように求めた。
経済性を十分考えずにグループ企業に発注し、割高な発電コストを電気料金に上乗せする仕組みを変えるのが狙いだ。電力会社の火力部門は、他社と横並びでコスト競争に挑まなければ自社の仕事を請け負えない。
東電が今年2月から行う入札では260万キロワット分の火力電源を新規に募集する。資金難の東電は自力で入札に参加できず、他社との業務提携を模索しているため、新電力が参入する余地はさらに広がる。11月に行った事前説明会には三菱商事、双日などの商社や鉄鋼、石油、ガスなど約100社が参加した。
ただ、黙って攻勢を許すほど東電も甘くはない。入札要綱で示した購入価格の上限は1キロワット時当たり9.53円。事実上、燃料費が安く発電効率の高い新型の石炭火力しか採算がとれない水準だ。説明会に参加した企業からは「入札のハードルを上げ、技術力のある東電との業務提携に誘導する気では」との指摘もある。
北海道電力は19年12月の予定だった石狩湾新港発電所1号機(ガス火力)の運転開始を同年2月まで前倒しすることを決めた。同社は「地元から早期稼働の要請が強い」とするが「入札を避けたいのでは」との見方もあり、電力各社と新電力のつばぜり合いが始まっている。
・・・・(後略)
異業種参入でコスト競争
「大再編」時代に
SankeiBiz
1月5日(土)8時15分配信より一部
発電事業の大再編がいよいよ動き出す。
電気料金の値上げや
政府が火力発電所の新増設で
義務づけた競争入札の影響で、
電力各社の地域独占体制が
揺らぎ始めたからだ。
2月から入札を始める東京電力をはじめ、
電力各社は
異業種からの参入組と発電コストで競い合う。
商社や都市ガス、
石油など
燃料調達や発電ノウハウを持つ企業が
虎視眈々(たんたん)と
巨大市場への参入を狙っている。
電力業界内でも
ほとんどなかった顧客奪い合いが
活発化する気配もあり、
“電力戦国時代”の幕開けとなりそうだ。
◆競争入札義務づけ
「造りたくても造れなかった3号機にようやく着手できる。職員たちは張り切っている」
東京ガスと昭和シェル石油が共同運営する天然ガス火力発電所「扇島パワーステーション」(横浜市)の幹部は、長らく更地のままだった建設予定地を前に、感慨深くつぶやいた。
扇島パワーでは稼働中の1、2号機(出力計81.4万キロワット)に加え、2015年度までに40.7万キロワットの3号機を新設。完成後は3基合わせて大型の原発1基分に匹敵する発電所となる。
3基体制を念頭に07年1月には環境影響評価(アセスメント)を済ませたが、当時は原発の新増設が進む中で採算を見通せず、3号機の建設は見送られた。だが、東日本大震災後の原発停止に伴う電力不足と相次ぐ電気料金の値上げで、既存の電力会社以外から電気を買いたいと希望する企業が増加。数百億円を投資して増設に踏み切る。
東ガスの岡本毅社長は、JX日鉱日石エネルギーと共同運営する「川崎天然ガス発電所」(川崎市)の増設も「有力候補」と意欲をみせており、発電事業への参入を加速する。
地域独占の見直しや発送電分離などの電力システム改革を進めたい政府も、異業種からの発電事業参入を後押しする。経済産業省は昨年9月に打ち出した新指針で、19年度以降に稼働する火力発電所の新増設や更新工事では、受注企業を競争入札で決めるように求めた。
経済性を十分考えずにグループ企業に発注し、割高な発電コストを電気料金に上乗せする仕組みを変えるのが狙いだ。電力会社の火力部門は、他社と横並びでコスト競争に挑まなければ自社の仕事を請け負えない。
東電が今年2月から行う入札では260万キロワット分の火力電源を新規に募集する。資金難の東電は自力で入札に参加できず、他社との業務提携を模索しているため、新電力が参入する余地はさらに広がる。11月に行った事前説明会には三菱商事、双日などの商社や鉄鋼、石油、ガスなど約100社が参加した。
ただ、黙って攻勢を許すほど東電も甘くはない。入札要綱で示した購入価格の上限は1キロワット時当たり9.53円。事実上、燃料費が安く発電効率の高い新型の石炭火力しか採算がとれない水準だ。説明会に参加した企業からは「入札のハードルを上げ、技術力のある東電との業務提携に誘導する気では」との指摘もある。
北海道電力は19年12月の予定だった石狩湾新港発電所1号機(ガス火力)の運転開始を同年2月まで前倒しすることを決めた。同社は「地元から早期稼働の要請が強い」とするが「入札を避けたいのでは」との見方もあり、電力各社と新電力のつばぜり合いが始まっている。
・・・・(後略)
by kuroki_kazuya
| 2013-01-06 04:45
| 九電労組