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by 幸田 晋

【第1次大戦100年】膨張主義が悲劇を招く

【第1次大戦100年】
膨張主義が悲劇を招く


高知新聞 社説 2014年06月29日08時33分より一部
 
1914年6月28日、
現ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで、
オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子夫妻が
凶弾に倒れる事件が起きた。
セルビア人による暗殺だった。

 
この「サラエボ事件」が引き金となり、
第1次世界大戦が始まってちょうど100年。


欧州の辺境で起きた紛争が瞬く間に世界に広がった戦禍から、今日につながる教訓を学びたい。
 
当時の欧州は列強が帝国主義の刃(やいば)を研ぎ、
植民地支配と海外進出の航路確保などの機会をうかがっていた。
その利害関係の中で局地の紛争が火種となって、欧州全土に連鎖反応を引き起こした。
 
オーストリアには背後のドイツ、オスマントルコを中心とする同盟国が、
セルビアには後ろ盾のロシアに、フランス、英国などの連合国がそれぞれ支援に回った。
 
日本も日英同盟の下でドイツに宣戦布告した。

ドイツ東洋艦隊の拠点地、中国・青島を占領したが、
英国が日本艦艇の地中海派遣を要請すると当初は難色を示した。
結局、応じたのは
中国や南洋諸島のドイツ権益が目当てだったとされる。

 
ロシアの中国進出をけん制することが、日英共通の利益となっていた。

1905年、日露戦争に勝利し「一等国」を任じていた日本が、
帝国主義の戦争の中で、さらに軍備の拡張を続けたことに留意したい。
 
歴史上最初の世界大戦で各国は総力戦を強いられ、
1500万人以上ともいわれる犠牲者が出た。

戦車や潜水艦、航空機、さらに毒ガスなど
新しい大量破壊兵器が使われたことも悲劇を拡大させた原因だろう。
 
予想以上に長引いた戦争は、
日本に「大戦景気」をもたらした。

世界的な船の不足で造船業、鉄鋼業などが伸び、
輸出拡大で貿易赤字も解消。
日露戦争以来の負債も返済した。

 
主戦場が遠い欧州ということもあり、
今日の日本で第1次大戦は日露戦争や太平洋戦争に比べ、語られることは少ない。

しかし日本が中国や太平洋に膨張していったことが、
次の大戦という痛恨の歴史につながっていく。


・・・(中略)


ところが戦勝国となった日本は、
帝国主義的な膨張に歯止めをかけることができなかった。

33年には国際連盟に脱退を通告した
首席全権代表松岡洋右が、国民の熱狂で迎えられ、
以後は国際的に孤立の道をたどる。
 
武力行使の果ての平和は、
再び武力行使に帰す。


サラエボ事件に学べば、偶発的事態を避けることが最優先だ。

自衛隊の海外での武力行使に道を開く安倍政権の議論は、
各国にどう見られているのか。

サラエボのように国民のナショナリズムが刺激されれば、
後々大変なことになりかねない。
by kuroki_kazuya | 2014-06-30 06:43 | 軍事