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by 幸田 晋

武力行使3要件 「限定的」とは言葉だけか

武力行使3要件 

「限定的」とは
言葉だけか


新潟日報 社説 2014年7月20日【日曜日】より一部

国会では「必要最小限」という言葉が躍るが、
要は武力行使が
正当化できる範囲が
限りなく広がっていくのではないか。


集団的自衛権の行使容認を閣議決定した後、
初めての国会論戦が2日間行われた。

安倍晋三首相の答弁は
分かりづらかった。


行使の容認はあくまでも「限定的」であり、
その歯止めとなるのが
新しい3要件だと
安倍首相は強調している。

裏返せば
武力行使が許される要件ともいえよう。
国会論戦で、
この3要件について質疑が集中したのは当然だろう。


あらためて整理しておきたい。
武力行使の3要件とは
(1)国民の権利が根底から覆される明白な危険がある
(2)他に適当な手段がない、そして
(3)必要最小限の実力を行使する-としている。


具体的にどんなケースなのか、イメージできる人は少ないはずだ。
行使の可否を判断する目安が、
曖昧なのだ。


そこで、これを補足する判断基準が示された。
例えば「明白な危険」とは、
日本に戦禍が及ぶ蓋然性(がいぜんせい)とか、
日本国民が被る被害の深刻さとか挙げている。

多言を弄(ろう)してはいるが、
それほど緊急性、
切迫性を感じることが現在あるのか。
また、近い将来に起こり得るのか。
きちんと説明しなければならない。


衆院予算委員会の質疑で、
首相は集団的自衛権の行使に関して、
同盟国の米国が攻撃を受けた場合と、
石油供給が絶たれて経済危機になった場合は、
行使が可能との認識を示した。

要件としている「明白な危険」がある事態とは、
政府の裁量で
幅広く認定される可能性があるということなのだ。

経済危機とは、
輸入原油の多くが通過する
中東のペルシャ湾・ホルムズ海峡での
機雷除去の必要性を指している。

首相によれば、
かつての石油ショックを上回るショックになるかもしれず、
「死活的な影響」も考えられ、多くの中小企業が相当の被害を受けるとしている。

経済に与える打撃を理由に、
自衛隊の活動を他国の領域に広げて、
武力行使も許容するのは、
閣議決定で決めた歯止めとは
矛盾すると言わざるを得ない。


質疑では、武力行使の機会が増えることで自衛隊員の生命が危険にさらされることについて、
野党が繰り返し問いただした。

「そういう判断をしなくてもいいよう外交的に全力を尽くす」。
これが首相の見解だ。
命の重みの議論こそ深めるべきだ。


・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2014-07-21 06:43 | 憲法