スキーにはまっています。


by 幸田 晋

〜第103回小出裕章ジャーナル  福一事故・燃料デブリ回収の困難

福一事故・燃料デブリ回収の困難

「多分、もうそこらじゅうに
飛び散ってしまっていますので、
それをつかみだすことは
基本的にはできないと思っています」


〜第103回小出裕章ジャーナル


HP「ラジオ・アクセス・フォーラム」 
2014年12月27日より転載


西谷文和:
12月と1月の小出裕章ジャーナルは、特集シリーズでお送りしております。1月は「原発はなぜいけないのか?」ですね。小出さん、福島第一原発の廃炉作業は計画がすでに遅れてるのですけれどもね。これ素人から見て、チェルノブイリとかスリーマイルは1基だけ事故を起こしたんですが、4基同時に廃炉をしないといけないということで、これ大変作業は無理があるんじゃないでしょうか?

小出さん:
だろうと思います。人類が初めて遭遇している大変な事故なわけで、どうやったらほんとに収束できるかということは、経験的には分かりませんし、とにかく知恵を絞って一歩ずつやるしかないということです。

西谷:
核心は、例えば燃料デブリというのを取り出すということをできるのかどうかということなんですけど、これからの自体を見守らないといけませんが、この燃料デブリというのは、これは取り出せるんでしょうか?

小出さん:
私は出せないと思います。

西谷:
出せない?

小出さん:
はい。国や東京電力は、もともとその原子力発電所は事故など起こさないと言って、大変その楽観的な見通しのもとに原子力発電というものを進めてきてしまいました。

福島の事故が起きた時も、事故をとにかく軽く考えたい、軽く考えたいということで、「炉心は溶けてないよ」とかですね、国際事象評価尺度というものに照らせばレベル4だとか言っていた。初めのうちはですね。でも、結局レベル7という一番破局的な事故だという事になってしまったわけですし、とにかく楽観的、楽観的に彼らは対処しようとしてきたのです。

燃料デブリの取り出しということに関しても、国や東京電力はそのデブリが圧力容器の底を抜いて、格納容器の床の上にまんじゅうのように積もってるんだという、そういう想定をしているのです。

もしそうであれば、格納容器の底を全部削って穴を開けてですね、上から見ることができるだろうし、上に取り出すことができるだろうというのが、彼らが描いている、いわゆるロードマップなんですね。でも、もしそうだとしても、上から取り出す為には30メートルもの水の下にある物をつかみ出さなければいけないわけで。

西谷:
30メートルの水の下ですね?

小出さん:
はい。そんなことは、まずそれもできないでしょうし、私自身はその溶け落ちた物が真下にまんじゅうのように溜まってるなんてことは決してあり得ないと思っていまして、多分、もうそこらじゅうに飛び散ってしまっていますので、それをつかみだすことは基本的にはできないと思っています。

西谷:
そうですね。これですね、うがった見方かもしれませんが、その電力会社って総括原価方式で利潤が決まるじゃないですか?

小出さん:
そうです。

西谷:
つまり、原発のコストに3%の利潤を乗せるということですから、そういう意味では廃炉にしたらコストは0になりますので、0×3%は0じゃないですか?

小出さん:
はい。

西谷:
つまり、彼らはずーっと長く使いたいから、敢えて廃炉のことを考えないでいたんじゃないでしょうか?それはどうなんでしょうか?

小出さん:
要するに、廃炉にしてしまうと、これまで資産だった物が資産でなくなってしまうわけですから、彼らとしては、何としてもそれを避けたくて、とにかく運転したい、再稼働もしたいということになっているのです。

西谷:
ということは、本来は廃炉をもっと早い段階から計画的に考えておかないといけないけれども、それを前面に出すと、自分達の資産が0になっちゃうので、先送り先送りにしていたという側面もあるんでしょうか?

小出さん:
私はそうだろうと思いますし、電力会社に聞いて頂ければいいだろうと思います。はい。

西谷:
そうですね。これは先生に聞かずに電力会社に直接聞かないとダメですね。

小出さん:
はい。

西谷:
そういう疑いが濃厚であるということですが、最終処分場についてなんですけどもね、これが決まっていないのに、例えば燃料棒を取り出すと、これどこに置くんだということになるんですが、この点についてはどう考えればいいんでしょうか?

小出さん:
燃料棒というのは福島第一原子力発電所のですか?

西谷:
そうです。

小出さん:
それは今、例えば使用済み燃料プール、1号機、2号機、3号機の中にまだ燃料棒が眠っているわけで、それだけは放っておくことはできませんので、とにかく少しでも危険の少ない場所に移さなければいけませんので。

西谷:
今、4号機は移しましたよね?

小出さん:
4号機はようやくにして移し終えて、私はほんとにホッとしているのですけれども、1号機、2号機、3号機ももちろん、移さなければいけません。

移したところで、でもじゃあその後どうするのかということは、もちろん全く見えないのですけれども、今のような危険な状態に置いていくことはもちろんできませんので、やらざるを得ないだろうと思います。

そして、溶け落ちている燃料デブリについてもですね、もし取り出せるならば取り出すべきだと私は思いますけれども、取り出したところで、どうしていいか分からないのですよ。分からないけれども、でも取り出せるなら取り出した方がいいだろうと思います。多分、でもそれができないというのは私の見方です。

西谷:
最後にですね、科学者の専門家の集団がですね、100年単位のスパンでどうするかを考えたいので、見えるところにそういうもんを置いといて、乾式、いわゆる湿式というこのプールじゃなくて、そのキャスクに入れて空冷して、埋めるんじゃなくてね。そういうふうにして、人類の叡智にあとでまたバトンタッチするという、そういうことが出たんですけど、やっぱりこういう形で取り出していくべきなんですかね?

小出さん:
国の方は取り出したものはどこかに埋めて、埋め捨てにしてしまうというのがこれまでの国の方針だったし、もうそれが法律ですでに定められているわけですけれども、日本国内で埋め捨てにして、10万年、100万年も安全だというような場所はありませんので。

西谷:
地震多いですからね。

小出さん:
はい。西谷さんはもちろんご存知の通り、モンゴルに埋めてしまおうというような話まで出てきていたのですね。でも、そんなことはやっぱりやってはいけないことなわけですから、日本学術会議という、いわゆる学者の国会と言われてきた組織が、これまでの日本のやり方はダメだから、いちから考え直せと、乾式貯蔵をして当面は監視するしかないだろうというような提言を出すようになっているわけです。私はもうずーっと昔からそれしかないと言ってきましたし、多分そうなるだろうと思います。

西谷:
分かりました。小出先生、時間がやってまいりました。この廃炉への道のりは極めて厳しくて長いということがよく分かりました。今日はどうもありがとうございました。

小出さん:
ありがとうございました。
by kuroki_kazuya | 2014-12-28 06:15 | 核 原子力 | Comments(0)