憲法改正の発議 中身よりも実績作りか
2015年 02月 11日
中身よりも実績作りか
京都新聞 社説 2015年02月10日より一部
やはりというべきか。
安倍晋三首相が来夏の参院選後にも、
憲法改正を発議するのが
望ましいとの考えを示した。
先の衆院選ではほとんど言及せずに争点化を避けたが、
大勝を受けて
具体的な改憲の段取りに
初めて踏み込んだ。
もとより憲法を議論することは否定しないが、気になるのは中身よりも改憲ありき、
という姿勢がありありと見えることだ。慎重にして謙虚な議論を求めたい。
首相は自民党の船田元・憲法改正推進本部長を官邸に呼び、発議時期などで一致した。
思い描く改憲のシナリオはこうだ。
今国会中にも衆参両院の憲法審査会で本格議論を始め、
参院選までに改憲原案を起草する。
参院選後の来秋の臨時国会で国民に発議する。
再来年の2017年前半にも国民投票に持ち込む-。
若手議員時代より憲法を米国から「押しつけられた」と主張し、
改正を悲願としてきた安倍首相である。
第2次政権発足後の13年には、
改憲のハードルを下げようと、
96条の先行改正(発議要件の緩和)を提起した。
与野党の反発で撤回したが、
昨年7月には
閣議決定で憲法解釈を変える「奇策」を繰り出し、
集団的自衛権の行使容認を強行した。
だが、衆院選では「改憲の機運は盛り上がっていない」と深く触れなかった。
なのに、またいきなり改憲発議の日程が出てくる。
さらに国会では過激派「イスラム国」の邦人殺害事件と絡め、
憲法9条改正による自衛隊の任務拡大にあらためて意欲をみせた。
首相の本音が
読み取れよう。
・・・(後略)