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by 幸田 晋

玄海原発を「彼」と呼んだ九電社長

玄海原発を
「彼」と呼んだ九電社長


西日本新聞経済電子版  3月19日(木)11時11分配信より一部

 九州電力玄海原発1号機(佐賀県玄海町)の廃炉が18日、正式に決まった。九電は、再稼働しても安全対策にかかる投資費用を回収できないと説明するが、決断の背景には東日本大震災後に「脱原発」の国民世論の高まりを受けて変容した原発政策や政府の思惑も横たわる。「できれば再稼働したかった」-。九電はそんな本音を押し殺し、残る原発の再稼働に全力を傾ける。

 18日夜、佐賀市の九電佐賀支社で開かれた瓜生道明社長の記者会見。「『彼』は、九州で初めて原子力の火をともした大きな功績がある。こういう結果になったのは忍びない」。瓜生社長は「彼」との呼称に玄海1号機への愛着を込め、厳しい表情を浮かべた。


・・・(途中略)


 玄海1号機のような古い原発は、新基準への適合性審査で、施設内に張り巡らせている大量の可燃性電気ケーブルの全面取り換えも迫られる可能性があった。工事費は1千億円超と見込まれる一方、工事の長期化で運転延長期間が20年より大幅に縮まることも想定しないといけない。

 適合審査では、2013年7月に申請した川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)と玄海3、4号機の審査が続く。玄海1号機の審査を申請してプラントメーカーに耐震設計などの評価業務を依頼することになれば、財務上の喫緊の課題である他の原発の再稼働に向けた審査対応の遅れにつながる恐れもあった。

 昨年10月には、廃炉に向けた政府の“圧力”も顕在化した。当時の小渕優子経済産業相が、電気事業連合会の八木誠会長(関西電力社長)に「取り扱いを早期に示してほしい」と、存廃の判断を急ぐよう要請。その言動からは、原発再稼働への反対世論に配慮し、再稼働と老朽原発の廃炉をセットで進めたい政府の思惑が透けた。

 「再稼働を目指しても、予見性があまりに乏しくて経済性を担保できない」「時間があまりにもない。再稼働は常識的に考えて難しい」-。複数の九電幹部からは、昨年からそんな声が上がっていた。

 電力各社が廃炉を最終判断するには、正式決定した場合に一括計上しなければならない多額の費用負担が障壁だったが、費用を分割処理できるようにする会計制度の変更は昨秋には既に既定路線化していた。

 そして、今月13日の会計制度の変更を経て迎えた電力4社ほぼ横並びでの廃炉決定。ある九電関係者は「本当は7月までに判断すればいいのだが…。誰が決めた廃炉なのか、よく分からない」と苦笑した。


・・・(中略)


-原発の運転期間を原則40年とする新ルールを適用すれば、原発はいずれゼロになる。新増設についてはどう思うか。

 「人類が生き残るには、原子力を安全に使う技術は必要だと思う。新増設の話が出てくるのはまだ先だとは思うが、いずれ議論になることを期待している」


 -玄海町が使用済核燃料税の導入を検討している。どう受け止めているか。

 「玄海町の意向は承知している。私どもの会社の収支状況をお伝えしながら、調整していきたい」


 -今後、玄海2号機の存廃はどうするか。

 「彼(2号機)が運転開始から40年を迎えるのは2021年なので、それまでにしっかり検討していきたい。1号機を廃炉にしても、2号機を運転することは技術的には可能だ」

■玄海原発・・・佐賀県玄海町にある九州電力の原発。加圧水型軽水炉が4基あり、合計出力347万8千キロワット。1号機は1975年、2号機は81年、3号機は94年、4号機は97年に運転を始めた。3号機は2009年にウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を用いたプルサーマル運転を日本で初めて開始。2、3号機は東日本大震災前に定期検査で停止。1、4号機も11年12月に定検で停止した。
by kuroki_kazuya | 2015-03-20 06:48 | 九電労組