原発回帰提言 福島の教訓を忘れるな
2015年 04月 10日
福島の教訓を忘れるな
琉球新報 <社説> 2015年4月9日より一部
東日本大震災から4年たった今も福島県双葉町など東京電力福島第1原発の周辺地域は帰還困難区域に指定されている。約2万4400人が古里を追われ、避難生活を続ける。福島の人々の願いは「安心して暮らせること」であり、事故から学んだのは「安全に絶対はない」ということだったはずだ。
避難者の願いとは裏腹に自民党は7日、2030年の電源構成比率として、原発を2割程度含むベースロード電源を6割に高める提言を安倍晋三首相に提出した。太陽光など再生可能エネルギーの比率を20%台半ばに抑え、原発を20%程度確保したいとする経済産業省の考えと一致する。政府・与党が原発回帰を目指しているのは明らかだ。
大震災以降、日本は原発への依存を見直し、10年度の電源構成比率で29%あった原発は13年度に1%へ低下した。政府のエネルギー基本計画は、原発を「可能な限り低減させる」としている。
首相も施政方針演説で「長期的に原発依存度を低減させる方針は変わらない。徹底した省エネルギーと、再生可能エネルギーの最大限の導入を進める」と明言した。提言はその言葉にも逆行している。
・・・(中略)
ことし3月11日、
原子力規制委員会の田中俊一委員長は
「事故の教訓に学ばないなら原子力はやめた方がいい」
と推進派にくぎを刺した。
福島の教訓を基にすれば、
安易な原発回帰は避けるべきだ。
政府が力を注ぐべきは、
再生エネルギー普及に向けた改革にある。