スキーにはまっています。


by 幸田 晋

破砕帯調査「活動性あり」を否定したがる田中委員長 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク) 

破砕帯調査
「活動性あり」を否定したがる
田中委員長


木村雅英
(再稼働阻止全国ネットワーク)



たんぽぽ舎です。【TMM:No2492】
2015年5月26日(火)午後 09:26
地震と原発事故情報より一部


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┗■1.破砕帯調査「活動性あり」を否定したがる田中委員長
 |  志賀と美浜への対応は原子力マフィアによる露骨な二重基準
 |  原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会! その49
 └──── 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

  去る5月13日の「志賀原子力発電所敷地内破砕帯の調査に関する有識者会合」で志賀原発の敷地内破砕帯について「活動性が否定できない」との結論が出た。そのことは、同会合での石渡委員の次の発言で明らかだ。

 「それでは、大体4人の先生方の御意見が基本的には一致したところが多いということでございますので、次回につきましては、今日、出していただいたこのプレゼンテーションの資料ですね、それから今日やっていただいた議論、これをもとにして事務局と私のほうで整理をさせていただいて、評価書案をつくらせていただく。」

 にも拘らず、田中委員長は5月20日の記者会見で「私が事業者と有識者の中での意見の違いで一番感じたのは、年代をどう見るかというところかなと思います。KTzという、鬼界カルデラのときのテフラが残っていて、これが大体9万年とか、9万5,000年前とか言われて、12〜13万年前との関係ですね、規制でいう。そこのあたりが多分、まだ少し明確になっていないので、そこのところが今後大きな争点になる可能性はあるなという気はします。ただ、それだけですよ。私は素人だから分かりません。S−1のいわゆるシームのところが海岸段丘でできたとか、いや、動いてできたとか、いろいろな意見があったと思いますので、そういうことも含めて、議論は整理して頂いた方がいいと思っています。」と、志賀原発の再稼働審査をしないとは言わないばかりか、石渡委員に破砕帯調査有識者会合ををやり直せと言わんばかりの発言をした。

 この田中委員長の対応は、「その45号(4月16日発信【TMM:No2462】)」で書いたように、美浜3号機の再稼働審査開始決定と整合性が全くとれない。

 美浜の有識者会合では石渡委員が意見は一致したとは一言も言っていないにもかかわらず、田中委員長が自ら提案して活断層審査開始を決定した。

 一方、志賀の有識者会合では「活動性が否定できない」と「意見が基本的には一致した」と石渡委員が締めくくったのに、志賀原発の再稼働審査を止めるとは言わないのだ。



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┗■3.100年以上続く余震 「嵐の前の静けさ」は本当かも
 |  「警戒せよ!生死を分ける地震の基礎知識」コラムその103
 └──── 島村英紀(地震学者)

  先週、強い地震があり、岩手県花巻で震度5強を記録した。地元の人たちは久しぶりの震度5だっただけに驚いたことだろう。幸い被害はなかった。

 これは東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の余震に違いない。
 
 余震が他の地震と性質が違うわけではない。それゆえ地震学的には余震を他の地震と区別することはできない。
 だがこの地震は本震の震源域の中で起きたこと、地震のメカニズムが典型的な海溝型地震であることから、ほぼまちがいなく余震と言っていいものであった。

 余震は、怪我をしたあとの「うずき」のようなものだ。本震で地震断層が動いたあと、本震の領域内で小さめの地震が起き続ける。それが余震なのである。

 余震は時間とともにゆっくり減っていく。

  ただし数学的には原子核の崩壊のように「指数関数で減って」いくのではなく、本震直後の減り方は指数関数より速いのだが、後に長く尾をひくという特徴がある。つまり、意外に長く続くのである。

 たとえば米国では余震が200年以上も続いている例もある。これはミズーリ州とケンタッキー州の州境で1811年から1812年にかけての3ヶ月弱の間に、マグニチュード(M)が8を超える大地震が続けて3回起きた。その余震である。

  日本でも、岐阜県と中心に愛知県や福井県まで地震断層が伸びていた濃尾地震(M7.9、1891年)の余震は100年以上も続いていたのが知られている。

 しかし日本ではふだんから地震活動が高いので、余震がたとえ続いていたとしても、他の地震にまぎれてしまう。米国では地震の活動レベルがごく低いから、こんなあとになって小さな地震がわずかに起きても、余震に違いないと分かる。つまり日本でも余震は続いているのだが、見えなくなってしまうのだ。

 M9という東日本大震災くらい大きな地震だと余震はやはり100年以上も続くと思われている。4年や5年では収まるものではなく、これからも余震が続き、なかには大きいものも混じることは間違いがない。

  経験的には最大の余震のMは本震よりも約1小さいことが多い。だが、東日本大震災のように陸から遠い海底で起きる地震は別だが、陸で起きた本震では、広がりがある余震域のどこで大きな余震が起きるかによっては、本震なみの震度のこともある。本震で傷んでいる家屋や、崩れかけている斜面の地滑りなどに余震がだめ押しになってしまう可能性がある。

 ところで、地震予知はむつかしくて世界でも成功した例はないが、余震のように、起きる場所も、起きるメカニズムもある程度分かっている地震群では、地震予知が出来るのではないかと研究した学者がいる。

  唯一分かったことは、大きな余震の前に余震の数が減る静かな期間があることが多いことだった。余震では「嵐の前の静けさ」は本当かもしれない。

 そのほかは残念ながら、いつ、どのくらいの大きさの余震が起きるのか、役にたつ情報にはほど遠い成果しか得られなかったのである。
   
(5月22日『夕刊フジ』より)
by kuroki_kazuya | 2015-05-27 05:55 | 核 原子力