スキーにはまっています。


by 幸田 晋

世界経済の行方 アメリカの狙い vol3

件名 :
世界経済の行方 
アメリカの狙い vol3


hahidekey hideki
2015年7月26日, 日, 午後 07:02より転載


いよいよアメリカの日本金融資産収奪の佳境に入ってきました。

さて、小泉−竹中コンビの金融政策自体は「10年以上も経過して、なお、バブル時代の不良資産処理を終えていなかった日本金融システムに全ての総括を迫る」という意味では正しかったのですが、過去の政権の「問題先送り」の結果、あまりにタイミングが悪すぎました。バブル崩壊して10年経過してましたからね。

それらの不良資産を短期間で処理するには、巨額の不良資産を抱えた2001〜2004年当時の日本金融システムにはあまりに余力が無さ過ぎました。

当時の日本金融機関の収益源は2つ、資産は常識的に理解出来るものが2つ、そして「苦し紛れのでっち上げに近い資産」がもう1つ、計5種類ありました。

(でっち上げ資産は「税金繰り延べ資産」なんですが、これは分り易く書くと「融資先の破綻に備える引当金(積立金)は経費扱い出来ないけれど、融資先が破綻すれば全額経費なるので税金還付される。その破綻予定を計上することによって、将来、還付される可能性の高い税金分を資産として会計上扱う」ということなのですが、今回の内容に深く関係はしますが、本質的なことではないので、触れません。)

収益源の一つは、銀行家の本来の仕事である融資事業ですね。多くの国民が銀行にお金を預け、それを事業会社に融資して、利息収入を得る。

まともな事業への融資ならいいのですが、当時の銀行は「三菱銀行」を除いて、バブルのドンチャン騒ぎで巨額の不良貸付を抱えて、にっちもさっちもいかない状況でした。

収益源のもう一つは、送金や為替手数料などの手数料収入です。

(今は、これに加えて「保険・投資信託販売手数料」が加わり、収益源の大きな柱になっています。但し、自分がナニを売ってるのかも分らない商品知識の無い職員が販売してますので、トラブル頻発です。)

資産の代表はご存知、我らの日本国債ですね。BIS基準でも「国債は現金資産と同じ」という規定でしたから、日本中の金融機関は「日本国債」を競って買っていました。

(但し、ユーロ圏のギリシャなどの南欧国債の価格暴落、磐石だった筈のドイツ国債などの急騰・暴落を受けてBIS基準でも国債保有に厳しい制限がかけられることに決定しました。今回の、日本銀行による「量的緩和」による民間銀行からの日本国債肩代わりはこのBIS基準対策でもあるわけです。日本銀行が肩代わりしてやらないと、銀行はBIS基準で評価を著しく落とされる国債を押し付ける相手がいないでしょう?)

そして、もう一つの資産が日本企業株でした。これも日経平均4万円から2万円前後までの大暴落で、チンガラでした。

皆さんは、「日経平均4万円から2万円までの暴落といっても半分じゃないか!」と思われるでしょう?

日経平均を算出する東京証券取引所1部上場225銘柄の決定・変更権は日本経済新聞社が持っています。

あまりの暴落の酷さに頭を抱えた日経新聞は「途中途中で、極力暴落していない、将来的にも安定を期待できる銘柄に入れ替え」を頻繁に行っていました。

そういう、今の中国みたいな株価維持策を講じてやっと日経平均だけは半分の暴落で押さえ込んでいたんです。

個別企業株価は殆どの銘柄が最高値から半分以下の1/3〜1/5が当たり前でした。トヨタや本田や旭化成や三菱銀行あたりでも株価は1/3以下にまで下げていました。

ですから、日経新聞が「姑息な銘柄入れ替え」をしなければ、2001年の日経平均は2万円なんかとんでもない話で、いいところ1.3〜1.5万円でした。

要するに2001年頃には、日本企業株価は全てチンガラになってましたから、銀行が巨額保有していた株式時価評価は暴落していたんですね。

その株式暴落で頭を抱えていた銀行に追い討ちをかけたのが、「国際会計基準適合するための株式などの有価証券時価評価会計」への変更でした。2001年3月期からでした。

それまでの日本銀行会計では、会計上の保有株価は最初に買った時の価格=原価、かその時点の株価いずれか安い方を選択できるようになっていました。

要するに、株価の利益と損失が会計的に不明朗だったんですね。

しかし、それでもなお2001年3月期では「暴落株を抱えた銀行に逃げ道」はありました。

銀行が融資先の企業との関係を維持するための「株式投資目的でない持ち合い株」は時価評価はしなくても良かったんです。

それでは、いつまでたっても銀行などの決算実態は不明朗なままです。

小泉政権が誕生し、小泉総理−竹中平蔵財政大臣ラインが強力な金融システム抜本改革に乗り出したのが、2001年5月からです。

当然、竹中氏は「持ち合い株の時価評価除外」を問題視し、2002年3月期から「全ての有価証券(株など)時価評価」に変更されました。

金融機関には傷口に塩をすり込まれるような残酷な政策でしたが、「日本金融システムから全ての膿を出し切り、延命措置だけで存続している企業の排除」というこの方針により、一気に日本バブル後遺症対策は進みました。

金を貸してる企業が倒産すれば、金を貸してる金融機関などは踏み倒された借金のうち担保などで回収しきれなかった資金分は損失計上することになります。

なので、金融機関は「こりゃあ、ダメだわ!」という企業には利息支払いだけで、元金返済を猶予したり、或いは金を貸してたことにしてその金で古い借金を払ったことにしたり、と自転車操業の日々でした。

金融機関業務の柱の融資事業がそんな最悪な状況なのに、大暴落の株式の時価評価です。

金融機関の内情は火の車で、バブルに走らなかった三菱銀行などの少数の大手とバブルに乗りたくても幸い乗れきれなかった地方銀行以外は崖っぷちに追い込まれていました。

小泉政権時代の日経平均7500円前後の安値の一番の理由は、この株式時価評価などの銀行会計の厳格化でした。

毎日下がり続ける保有株の時価評価を見ているうちに、大口株主の銀行や生命保険や損保会社などが「自社財務会計の崩壊」を防ぐために、株の投げ売りを始めました。

バブル時期1000円を越えていた世界の優良鋼鈑メ−カ−「住友金属」の株価がなんと1/20の50円まで大暴落しました。この小泉−竹中ラインは「日本金融システム健全化」のために、暴落する株式マ−ケットを冷徹に放置しました。

また、「実質破綻企業の法的破綻推進策」を打ち出し、大型倒産が連続しました。

マイカル・青木建設などが倒産した時の「構造改革進展の表れ」という首相コメントを聞いた時に、当時の僕は戦慄しました。

大型倒産連続で、関連企業や家族まで含めると数百万人の生活が危機に瀕している時に、一国の首相が口にすべきコメントじゃないでしょう。

そして、日本中が「ダイエ−」存続に注目していました。

「ダイエ−」が再生法なりを申請すれば、株も紙くず、貸付も焦げ付きで、旧住友銀行、第一勧銀、UFJ銀行(東海銀行+三和銀行)の3行並行体制をとっていましたので、それらの銀行の倒産が噂されるようになっていました。

三菱銀行以外の大手都市銀行が全て倒産する一歩手前でした。

ところが、僕が妙に感心するのは、小泉−竹中路線は、結構、基本政策を状況に合わせてコロッと変えるんですね。

さすがは小泉の純ちゃんです、「破綻企業推進政策」は急遽中止になり、逆に銀行団に金を出させて2002年1月「4000億円追加金融支援」が決定しました。

ところがですね、2002年4月につぶれかけの第一勧銀・富士銀・日本興行銀合併の「みずほ銀行」、2002年12月三井住友銀行発足が決まった2002年春頃から、小泉−竹中ラインは元の「構造改革なくして、経済発展無し」政策に戻ったんですね。

2002年7月、竹中財務大臣が「(景気対策のための)補正予算編成など、バカのすることだ!」発言で、翌日から日経平均は連日暴落でとうとう最後の抵抗ライン1万円を切り、日本経済は泥沼に沈んでいくんじゃないのか?と国民は不安に落ちました。

こういう時に国民の目をそらすカ−ドを政権はたいてい幾つか用意しています。

2002年9月、突然、小泉純ちゃんは「北朝鮮」に飛びました。そして、いきなり「拉致問題解決」を叫び始めました。

まあ、たいていの国民はバカで単純ですから、難解な日本経済の行方を案ずるよりは単純で感情移入し易い拉致問題へ注目します。

小泉−竹中ラインは政策PRを「広告コンサルタント」に依頼してたそうですが、そのうちの「Bプラン」を採用していたそうです。

「Bプラン」は「国民のうち60%を占める年寄り、仕事したことのない専業主婦はバカなので、そこに徹底的に集中して政策を訴える。但し、バカばかりなので、三つ以内の単語の羅列を繰り返す。連中はバカなので新聞など読まないから、TVに集中する。」という内容でした。

思い出すと、小泉純ちゃんが国民に向けて訴えたやり方は、まさしく「Bプラン」だったでしょう?そのコンサルもたいしたものですよ。(バカだアホだと書いたのは、僕じゃないですよ。当時のコンサルの人間です。)

そして、小泉−竹中ラインはこの日経平均1万円割れの後、今から思えばですが、致命的なミスをしました。

外国資本日本株式購入促進政策を発表したんですね。

そればかりか、竹中大臣はわざわざアメリカへ渡り、金融界の大物との会談を繰り返しました。内容は分りません。

恐らく、どういう展開になればアメリカ資本は日本金融市場に資本投下してくれるのか、伺いたてをしてたんでしょう。

アメリカだけでなく、ヘッジファンドなど世界中のハイエナが日本に注目しました。

政府が海外資本に「株を買ってくれ!」と頭を下げにくるくらい、日本株式は崖っぷちに追い込まれてることを確認したんですね。

金融機関や保険会社が「持ち合い株の投げ売り一歩手前」というのを、公式に世界のハイエナ連中に竹中氏は教えてしまったんですね。

小泉−竹中ラインは、「もう十分以上下げてる日本株だから、今が買い場ですよ!」と言いたかったんでしょう。

僕も当時株式デイ−ル真っ最中でしたから、二人の気持ちは嫌というほど分ります。

でもですね、僕が当時のヘッジファンドの親玉なら、絶対買いません。

100人プロがいて、その舞台裏が分かってれば、100人日本株を「カラ売り」しまくります。

外人は、日本株を「これでもか」と売りまくりました。だから、住金などの優良企業の株なども1/20まで大暴落したんですね。

そして、日本株が底をうち、銀行や保険会社の投げ売りが終わった瞬間、外人は捨て値の日本優良企業の株を買いまくりました。

そして、小泉−竹中ラインの政策で、倒産銀行に巨額の税金が投入され、何故かリップルウッドなどが再生銀行の株式をタダみたいな金額で購入し、2年前後で株式上場して暴利を貪るというような案件がゴロゴロでした。

りそな銀行は確か実質10億円で買って、株式上場で1兆円で売り抜けました。

株も企業も全てそんな感じでした。

小泉−竹中ライン、その後のサブプライム騒ぎの日本株崩壊状態と「超円高」でも、海外のハイエナに巨額日本金融資産は収奪されてしまいました。

その煽りで失った国内雇用などを含めれば、収奪された日本資産は軽く100兆円は超えているでしょう。

海外のハイエナ連中は、今でも日本個人資産1700兆円というのを聞いて、舌なめずりしてるでしょう。ドル換算で、15兆ドルですよ。

今の安部総理は小泉氏のお気に入りで、小泉政権時代の自民党幹事長ですから、「Bプラン」を完全に真似してますね。

2500〜3000億円の新国立競技場の「白紙撤回判断」なんて、最初から「安保法案で支持率低下対策」のカ−ドなんでしょう。小泉純ちゃんの「電撃北朝鮮訪問」作戦の焼き直しですよ。見え見えでしたね。

とにかく、メデイアはTV重視です。

自民党の新聞など活字メデイアを非常に敵視・蔑視・軽視する風潮は、小泉時代に安部総理が覚えたことなんでしょう。

でもですね、僕は小泉−竹中ラインの成し遂げた実績は評価すべき部分は評価すべきだと思いますね。バブル後遺症を殆ど断ち切ったのは素晴らしかったですね。それだけでもたいしたものです。

一つの政権で、何もかもは出来ません。

不満なのは、国家公務員、特に財務省天下り先などの既得権益拡張を黙認したのはいけませんね。小泉純ちゃんは若い時からの「大蔵省族議員」なんですね。

アメリカ従属の典型の安部総理だと、ナニか就任中にアメリカからの日本金融資産収奪をやられそうな気がしますね。

多分、アメリカ軍事費の巨額肩代わりになりそうですね。安保法案を考えれば。つまり、税金経由で日本人個人資産のアメリカによる収奪の一つのパタ−ンですね。

さて、次はTPPを使った日本資産収奪について書きます。
by kuroki_kazuya | 2015-07-27 06:35 | 対米 従属 | Comments(0)