スキーにはまっています。


by 幸田 晋

岩波の「世界」10月号の「東シナ海ガス田共同開発の合意とは何なのか」

岩波の「世界」10月号の
「東シナ海ガス田共同開発の
合意とは何なのか」


正志 2015年9月22日, 火, 午後 11:04より転載

<岩波の「世界」10月号の「東シナ海ガス田共同開発の合意とは何なのか」>

これまで、岩波の「世界」はあまり読んでいませんでした。今回大型書店の雑誌売り場を観ていると、岩波の「世界」が何十冊も展示されていたので、2015年10月号を買って帰って読んでみました。
中をパラパラめくると、興味を引く内容の論文がかなりたくさんありました。その中の一つに、「東シナ海ガス田共同開発の合意とは何なのか」の論文がありました。132ページから139ページに掲載されています。著者は猪間明俊氏で石油や天然ガスの開発を長年行ってきた日本のトップレベルの専門家のようです。

 今年の7月頃に、「東シナ海の日中中間線付近で中国が新しいガス田開発作業を行っており、この海域のガス田開発については、2008年に両国で共同開発を目指すと両国間で合意に達しているにもかかわらず、中国が一方的に新たな作業を行っている」との非難報道がかなり行われました。

 日本は、エネルギーの自給率が4%と極端に低く、日本のエネルギーの殆どを輸入に頼っている異常な状態で、メタンハイドレートの新規開発に将来の日本のエネルギーの自給率の向上の期待が高まっているなどとよく宣伝されています。

 しかし、メタンハイドレートは深海の海中にしか大量には存在していなく、現在の日本の技術では大量の採掘は困難なのが実情なのに、それらを大きく宣伝する事はだましのように思われてきました。

 一方、中国は国内に石炭、石油の資源もかなり保有しているが、東シナ海での石油や天然ガスの採掘にも力を注いでいます。

一方日本政府は、
これだけ自国のエネルギー自給率が
極端に少ないので、
核燃料サイクルに10兆円もの投資を行い

国内の使用済み燃料の再使用により無尽蔵の国内エネルギーを獲得する事を追及するといいながら、
実際にはプルサーマル発電などで国民をだましています。

 しかし、中国が熱心に行っている東シナ海での石油や天然ガスの採掘を日本政府は東シナ海の日本の海域では全く行っていません。

 これはどういうことなのかと、これまで疑問を持っていましたが、「東シナ海ガス田共同開発の合意とは何なのか」の論文は明確な回答を与えてくれました。

 東シナ海の日中中間線付近で中国が新しいガス田開発作業を行っているのは、殆どは中国の海域と思われる部分で、日本はほとんどこれらの海域の共同開発を行うつもりはないようです。

 しかも、日本は日本の海域と思われる部分の開発も殆どやるつもりはないようです。
 
それは、この海域での
石油や天然ガスの採掘が進めば、
自国のエネルギー自給率が増えてきて、
原発の再稼働の大義名分が
無く成ると思われるからです


 日本では、原発の稼働による各界の膨大な権益を守るために、たくさんの国産エネルギーの開発が圧迫されてきました。

 福島第一原発の過酷事故を経験し、再生可能エネルギーの増産については再生可能エネルギーの固定価格買取制度により、奨励されるようになりましたが、しかし実質的に奨励されたのは太陽光発電で、風力発電などは実際には頭を押さえられてきました。

 「東シナ海ガス田共同開発の合意とは何なのか」は8ページの短い論文で、岩波の「世界」は一般の書店で幾らでも販売されていますから、簡単に読めますが、日本のエネルギ問題が良く分かると思われました。

中西正之
by kuroki_kazuya | 2015-09-23 06:55 | 学ぶ