原発推進安倍政権に痛恨の高浜原発運転差止め
2016年 03月 10日
是非、ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」へ
お出で頂きたい。と、思います。<<KK>>
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原発推進安倍政権に痛恨の
高浜原発運転差止め
ブログ「植草一秀の『知られざる真実』」 2016年3月 9日 (水)より転載
大津地方裁判所は本日3月9日、関西電力の高浜原子力発電所で現在稼働中の原子炉2基の運転停止を命じる仮処分を決定した。
関西電力高浜原子力発電所の3号機、4号機の原子炉は3号機が本年1月29日、4号機が本年2月26日に再稼働された。
しかし、4号機は再稼働直後にトラブルが発生して原子炉が緊急停止し、いまもそのままの状態になっている。
裁判所による仮処分決定は、直ちに効力を発揮するため、関西電力は高浜原発の3号機を停止することになる。
そもそも、関西電力高浜原発の3、4号機については、福井地方裁判所の樋口英明裁判長が昨年4月に再稼働差し止めを命じる仮処分決定を出した。
しかし、樋口英明裁判長は名古屋家裁に左遷され、昨年12月の異議審で同地裁の別の裁判長が仮処分を取り消したものである。
この仮処分取り消し決定を受けて、間髪を開けずに関西電力が原子炉の再稼働に踏み切ったのだが、再稼働したとたんに4号機がトラブルを起こして緊急停止した。
こうした経緯をたどってきた高浜原発3号機と4号機であるが、福井での裁判とは別に、滋賀県内の住民29人が、高浜原発3、4号機について、
「安全性が確保されておらず、重大な事故が起きる危険がある」
2015年の1月に運転の停止を求める仮処分を申し立てていた。
安倍政権は裁判所が原発の再稼働を認めない判決を示しているにもかかわらず、原発再稼働の方針を変えず、全国の原発の再稼働を猛烈に推進している。
今回の仮処分申請で、住民側は
「基準地震動は想定される最大の揺れとはいえず、避難計画が適正かどうかの審査もされていない」
などと主張した。
過酷事故が発生する場合には住民が被ばくし、
「人格権が侵害される」
と訴えていた。
裁判所にもいろいろある。
それは、良い裁判官と悪い裁判官がいるからだ。
悪い裁判官は悪い判決、悪い決定を示す。
良い裁判官は良い判決、良い決定を示す。
問題は、悪い裁判官が多いことだ。
「悪い」というのは、「権力に迎合する」ということだ。
裁判官の人事権は最高裁が握っている。
そして、最高裁の人事権は内閣が握っている。
このために、出世したい裁判官は、必然的に権力に迎合してしまうのだ。
権力が良い権力であれば、良い裁判を行う裁判官が評価される。
しかし、権力が悪い権力であれば、良い裁判を行う裁判官は評価されず、悪い裁判を行う裁判官が評価されることになる。
このために、大多数の裁判官は、権力の意向を忖度して、悪い裁判を積極的に行うのである。
福井地方裁判所の樋口英明裁判長は、関西電力大飯原発運転差し止め訴訟でも、2014年5月に大飯原発の運転差し止めを命ずる判決を示した。
樋口裁判長が指摘した事実は極めて重い。
「我が国において記録された既往最大の震度は岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値はこれをはるかに下回るものである。
岩手宮城内陸地震は大飯でも発生する可能性があるとされる内陸地殻内地震である。
この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく近時の我が国において最大というものにすぎない。
1260ガルを超える地震は大飯原発に到来する危険がある」
1260ガルというのは、関西電力が提示している大飯原発の耐震性能である。
これに対して、日本では、2008年6月14日に発生した宮城岩手内陸地震で4022ガルという地震動を観測している。
樋口裁判長は、原発を動かすなら、少なくとも、この数値を上回る耐震性能が必要なことは当たり前だと述べたのである。
誰もが納得する分かりやすい話である。
3月11日が近付いた時だけフクシマや地震や原発を特集するのはいかがかと思う。
原発問題は
歳時記のテーマではないのだ。
国民の基本的人権、
幸福追求権を左右する重大問題なのだ。