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by 幸田 晋

安保法施行 転換の是非問い続けよう

安保法施行 
転換の是非問い続けよう


西日本新聞 社説 2016年03月28日 10時33分より一部

 昨年9月に成立した安全保障関連法が、29日から施行される。

 この法律は歴代の政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を可能にし、自衛隊の海外での任務を大幅に拡大する。法施行はまさに、戦後日本の安全保障政策を大きく転換させることになる。

 しかし、この法律がそもそも憲法違反ではないかという疑いは、法成立から半年たっても全く晴れていない。政策としての有効性にも疑問符がついたままだ。

 憲法学者の多数が「違憲」と指摘するような法律に基づいて、国の命運に関わる安全保障政策を進めていいのか。国民の総意を得ていない法律によって、自衛隊を危険な任務に就かせていいのか。

 こうした問いに、安倍晋三政権は正面から答えようとしていない。安保法は施行の段階に入ったが、むしろこれからが安全保障をめぐる論議の正念場である。

 ▼「普通の軍」に変容

 今回施行される安全保障関連法は、集団的自衛権の行使を視野に、平時から有事までさまざまな局面で自衛隊と米軍の運用を一体化させるのが特徴だ。それに加え、国連平和維持活動(PKO)に参加する自衛隊の活動についても、できる任務を増やしている。

 安保法の具体化にどこから着手するか。安倍首相は今国会で、アフリカ・南スーダンのPKOに従事する陸上自衛隊への新たな任務の付与に言及した。新任務は「駆け付け警護」だとみられる。

 駆け付け警護とは、離れた場所で武装集団に襲われるなど、危険にさらされた非政府組織(NGO)や他国のPKO部隊などを自衛隊が駆け付けて保護する活動だ。武装集団と衝突すれば武器を使用することになる可能性が高い。

 自衛隊は発足以来、海外で1人も殺しておらず、1人も殺されていない。世界でもまれな「平和的な武力組織」である。駆け付け警護で犠牲者が出れば、自衛隊はその時「殺し殺される普通の軍隊」に変貌することになる。国民はそれを許容しているのだろうか。

 安保法制施行でこれほど重大な事態が予想されるというのに、安倍政権がやっているのは徹底的な「安保隠し」である。

・・・(中略)

安保法は民意をきちんと問うことなく成立した。有権者は一度明確に安保法への意思表示をする必要がある。参院選をその舞台としたい。そうしなければまた、政権に都合よく解釈されかねない。

 施行後でも遅くない。疑問や不安があるのなら声を上げ続けよう。「まだ納得していない」と。
by kuroki_kazuya | 2016-03-29 06:35 | 軍事