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by 幸田 晋

財政出動要請 増税延期の地ならしか

財政出動要請 
増税延期の地ならしか


東京新聞 【社説】 2016年5月7日より一部

 G7が財政出動で合意すれば消費税増税先送りの大義となりアベノミクス批判もかわせる-安倍晋三首相の欧州歴訪はそんな思惑を感じさせた。増税延期は歓迎だが公約違反の責任は残るはずだ。

 今月末の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務める安倍首相は、世界経済の成長回復のため各国が機動的な財政出動で合意することを主要テーマに掲げている。欧州五カ国を回り、各国首脳との会談でも強く要請した。

 なぜ財政出動の要請なのか。世界経済は年初来、中国など新興国経済の減速や原油安などにより停滞感が強まっている。先の主要二十カ国・地域(G20)の会議でも、金融緩和の限界論など、もはや金融政策だけで問題は解決できず、財政政策の積極活用を共同声明で打ち出した。

 だが、安倍首相にとっては、それ以上に大きな理由がある。消費税増税の判断である。首相は来年四月の消費税率10%への引き上げについて、実施か再び延期かをサミット後にも判断する公算だ。

 日本経済の現状から先送りが濃厚だが、そう単純には決断できない事情がある。首相は一年半前に10%への引き上げ延期と衆院解散を決めた際、「再び延期することはない。アベノミクスによって増税できる環境をつくる」と述べている。「増税延期」と「次回必ず実施」の二つは公約だった。

 経済情勢によって増税を延期できる景気条項も法律から削除し、退路を断った。だからこそ市場は、政策総動員で景気を回復させ、増税できる経済にするのだろうと首相の約束を信じた。今回先送りすれば、アベノミクス失敗の烙印(らくいん)を押されてしまう-そういう事情である。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-05-08 06:35 | 経済危機