スキーにはまっています。


by 幸田 晋

一体のものとしての原爆と原発

一体のものとしての原爆と原発

武藤一羊 (ピープルズプラン研究所)

たんぽぽ舎です。【TMM:No2780】
2016年5月14日(土)
地震と原発事故情報より一部

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┗■3.一体のものとしての原爆と原発
 |  潜在的核武装と闘う反原発運動へ  連載その7
 └──── 武藤一羊 (ピープルズプラン研究所)

◯ これが安倍の論理に直結することは容易に見て取れます。経済的利害や政治的利害—安倍の「存立事態」を想起してください—そういうものによって、核兵器を持つか持たないかを決めればいいのだ、そういうものなのだということを国民に教え込まなければならないというわけです。岸、佐藤、安倍と同じ理屈が生きていることがわかります。
 佐藤内閣はアメリカのベトナム侵略に全面加担したにもかかわらず、ニクソン政権の信頼を得ることはできなかった、というより軽く見られていました。

◯ 1970年代は、ニクソンショックがありました。金・ドル交換停止という経済についてのショック。これは日本だけへのショックではありませんでしたが、第2のショックは、アメリカが日本の頭越しに中国と和解したショックです。中国封じ込めこそがアメリカの中心政策、日本はそれに忠実に従って、対米協力をし、自衛隊増強をしてきた。それなのに何の相談もなく、中国と手を握った。これは何だ!というわけです。しかしそれがニクソン=キッシンジャーの「現実主義」外交と呼ばれるものでした。
 キッシンジャーは北京に行って周恩来と会います。そのときの議事録が『キッシンジャー回想録 中国』(上下二巻、岩波書店、2012年)として公刊されていますが、これを読むと、キッシンジャーは周恩来に、日本は危ないぞ、核武装するかもしれないぞ、と盛んに警告しているのです。
  だから米国が日本の暴走を押えているのだといういわゆる「瓶の栓」論を展開する。アメリカはシャンパンの栓を抑えている、手をはなすと中身は吹き出してしまう。
 つまりアメリカが安保条約で、栓をおさえていないと日本は暴走してしまう、という議論です。キッシンジャーは日本にいい感情をもっていなかった人ですが、これは日本にとっては大変なことです。

◯ 80年代に中曽根時代になると、日本は、これまでに輪をかけて米国にサービスをするようになります。中曽根はもともと占領憲法反対の急先鋒でしたから、米国では危い反米ナショナリスト、と思われており、またキンシンジャー時代の日本不信もあった。そこで訪米した中曽根は輪をかけた対米追従に出ました。日本は、ソ連太平洋艦隊を日本海に封じ込めるため三海峡を封鎖し、米国の「不沈空母」としてソ連のバックファイア爆撃機が飛来すればすべて撃ち落すなど、聞くに堪えない発言で歓心を買おうとしました。

◯ 日米関係はいつもこういう風にして展開していく。中曽根政権はこのアメリカべったりの姿勢と引き換えに、1988年、新しい原子力協定で、使用済み核燃料の再処理の「特権」を認めてもらいました。核燃料サイクルで、プルトニウムを消費し、溜まらないようにすることが条件でした。だが協定の期限が切れる2018年が迫るなか「もんじゅ」は動かず、海外での再処理からのプルトニウムは溜まるばかりです。日本政府はこれをどうするつもりでしょうか。答えはまったく無いようです。

◯ 見通しがまったく無いなかで、安倍政権が潜在的核武装能力としての原発・原子力産業を死守しようとしていることは明白です。
吉岡斉さんがだいぶ前に、「国家安全保障のための原子力」の公理という言葉で言い表した仕組みは基本的に変わっていないと思います。こうです。

 「国家安全保障のための原子力」の公理とは、日本は核武装を差し控えるが、核武装のための技術的・産業的な潜在力を保持する方針をとり、それを日本の安全保障政策の一環とするということである。それによって核兵器の保持を安全保障政策の基本に据えるアメリカと、日本の両国の軍事的同盟の安定性が担保されている。『国家安全保障のための原子力』という言葉の付帯的な意味には、先進的な核技術・核産業をもつことが国家威信の大きな源泉になるという含意がある。いわば『原子力は国家なり』という含意である。また第二次大戦期の日本特有の歴史的経緯も手伝って、この国家安全保障という言葉にはエネルギー安全保障の含意も含まれている。一般国民向けにはこの含意が強調されて語られる。この公理の観点からは、核技術の中でもとくに機微核技術に高い価値が与えられる。

いずれにせよ、国家安全保障との密接なリンケージゆえに、
原子力政策は日本でも国家の基本政策の一分野であると考えられている。
(『原発と日本の未来』、岩波ブックレットNo.802、p.43) 【次回へ続く】

※連載その1は「4/11【TMM:No2754】」掲載
 連載その2は「4/12【TMM:No2755】」掲載
 連載その3は「4/13【TMM:No2756】」掲載
 連載その4は「4/14【TMM:No2757】」掲載
 連載その5は「4/28【TMM:No2769】」掲載
 連載その6は「5/11【TMM:No2776】」掲載

〔「核と被ばくをなくす世界社会フォーラム2016」連続学習会
 第3回講演記録より 参照Web http://www.nonukesocialforum.org
問い合わせ:小倉 ogr@nsknet.or.jp 〕
by kuroki_kazuya | 2016-05-15 06:25 | 核 原子力 | Comments(0)