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by 幸田 晋

核燃再処理法 矛盾は覆い隠せない

核燃再処理法 

矛盾は覆い隠せない


信濃毎日新聞 社説 5月16日より一部

 核燃料サイクル政策の矛盾を覆い隠し、延命させるだけの新法である。議論を深めないで成立させた国会の責任は重い。

 原発の使用済み核燃料再処理事業の枠組みを変更する再処理等拠出金法が成立した。国の関与を強め、将来にわたって再処理を継続することが目的だ。

 これまで再処理事業は、電力9社などが出資する株式会社の日本原燃が実施主体だった。新法では新たな事業主体として国が監督する認可法人を設置し、認可法人が日本原燃に業務を委託する。

 これまで電力会社が任意に積み立てていた再処理費用は、拠出金として認可法人に支払うことを義務付ける。

 政府が新法の成立を急いだ背景には電力自由化がある。競争激化で電力会社の経営が悪化すれば、多大な費用がかかる再処理から手を引く可能性がある。事業継続のため政府が考えたのが新法だ。

 問題点は多い。

 使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムは、使うあてがない。ウランと混ぜた混合酸化物(MOX)燃料を使用する高速増殖炉「もんじゅ」はトラブル続きで実用化のめどがつかない。一般原発でMOX燃料を使うプルサーマルも停滞し、使用済みMOX燃料の処理方法も決まらない。

 日本が所有するプルトニウムは核爆弾6千発分に相当する約48トンに増えている。再処理を続けプルトニウムを増やせば、核不拡散の観点から国際的な批判がさらに高まる。核のごみの最終処分という将来へのつけも大きくなる。

再処理事業には
12兆6千億円かかると試算されている。
新法は
国が民間会社に費用の拠出を強制しなければ、
再処理事業を維持できないと認めたことにもなる。


 新法が提出された国会は、核燃料サイクル事業全体の将来を審議する必要があったはずだ。

 それなのに政府は事業の必要性や今後の見通しを示していない。国民に対する説明責任を果たさないまま、延命策である新法を施行し、再処理事業を継続することは許されない。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-05-17 06:58 | 核 原子力