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by 幸田 晋

[もんじゅ検討会] 廃炉を議論するときだ

[もんじゅ検討会]
廃炉を議論するときだ


南日本新聞 社説 5/24 付より一部

 高速増殖炉もんじゅ(福井県)の新たな運営主体を巡り、文部科学省の有識者検討会が報告書をまとめた。

 もんじゅ存続を前提に、外部専門家が参加する経営協議体の設置など運営主体が備えるべき要件を盛り込んだ。

 しかし、運営主体となる具体的な受け皿を示しておらず、事実上の結論先送りである。問題を本気で解決しようとする政府の意気込みが感じられない。

 もんじゅは老朽化しており、費用の面からも廃止するのが妥当ではないか。廃炉へ向けた議論を始めるときだ。

 もんじゅは燃料として消費する以上のプルトニウムを、発電しながら生み出すことから高速増殖炉と呼ばれる。

 開発第2段階の原型炉であり、1994年に初臨界に達した。だが、95年のナトリウム漏れ事故などトラブルが続き、これまで1兆円超の国費が投入されながら運転実績はほとんどない。

 原子力規制委員会は昨年11月、現在の運営主体である日本原子力研究開発機構に代わる受け皿を示すよう馳浩文科相に勧告した。

 保守管理上の不備を繰り返し、改善の兆しが見えないため「運転を安全に行う必要な資質を有していない」と指摘したのである。

 新運営主体の選定が困難な場合は、廃炉も含んでの見直しを求める「最後通告」だったはずだ。にもかかわらず、検討会がもんじゅ存続を前提にしたのは解せない。

 それから既に回答期限の半年が過ぎた。昨年末以降、検討会の会合は計8回開かれた。

 停止中のもんじゅが稼働までにかかる経費や期間には触れず、再稼働の展望がないまま多大な国費を投入し続ける政策の是非を正面から問うことはなかった。

 文科省は今後、報告書を参考に関係省庁と協議し、夏までをめどに運営主体を特定して規制委に回答する方針だ。

 だが、電力業界も、特殊な炉であるもんじゅに関わることには難色を示している。選定が難航するのは必至だ。

 結論の先送りは参院選への影響を回避するためとの見方もある。だとすれば、文科省の危機感の乏しさは批判されても仕方ない。むしろ参院選の争点にすべきだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-05-25 06:35 | 核 原子力