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by 幸田 晋

核燃料サイクル 展望なき政策の抜本的見直しを

核燃料サイクル 
展望なき政策の抜本的見直しを


愛媛新聞 社説 2016年05月24日(火)より一部

 原発から出る使用済み核燃料の再処理事業の枠組みを変更する「再処理等拠出金法」が成立した。政府の関与を強めて事業継続を図るのが目的で、核燃料サイクル政策を「延命」させるための法といえよう。

 核燃サイクルは要となる再処理工場の完成が遅れ、再処理して抽出したプルトニウムを使うはずの高速増殖炉もんじゅも、相次ぐトラブルで運転実績はないに等しい。消費のめどが立たないプルトニウムを蓄積するばかりで、政策は事実上破綻状態にある。にもかかわらず政府は事業継続のため巨費を投じ続ける。問題の先送りは許されず、政策を抜本的に見直すべきだ。

 これまで再処理事業は、大手電力会社が出資する日本原燃が担い、各社からの任意の積立金で費用を賄ってきた。新法では新しい事業主体として国が監督権限を持つ認可法人を設置し、日本原燃に業務を委託する。電力会社には再処理費用を認可法人に支払うことを義務付ける。

 政府が新法を必要とした背景には、電力小売りの全面自由化がある。競争激化で経営が悪化した電力会社が、再処理事業から撤退するのを防ぐ狙いが透ける。こうしたケースを想定して枠組みを変えること自体、事業の採算性に問題がある証左だと言わざるを得ない。

再処理工場は、
事故などによる再三の工事延期で
建設費は当初予定の約3倍の
2兆2千億円に膨らみ、
安全面への不安も募る。

もんじゅには、
これまで約1兆円の国費を投じ、
運転していなくても維持費には
毎年200億円もかかる。
一方で、施設の老朽化も進んでいる。


 もんじゅを巡っては、原子力規制委員会が昨秋、「安全運転の資質がない」として運営主体を日本原子力研究開発機構から変更するよう勧告。しかし新たな運営主体を検討していた文部科学省の有識者会議が先週まとめた報告書原案には、具体名はなかった。特殊な炉のもんじゅは運転が極めて難しく、技術的に可能な組織は事実上、機構以外にはない。受け皿探しを有識者に丸投げしても結論が出ないのは当然だろう。この際、見切りをつけて廃炉にするべきだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-05-25 06:53 | 核 原子力