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by 幸田 晋

「父は特高」今こそ語る、札幌の谷岡さん 秘密保護法、改憲…戦前回帰に危機感

「父は特高」今こそ語る、
札幌の谷岡さん
 

秘密保護法、改憲…
戦前回帰に危機感


北海道新聞 06/12 09:00より一部

 「父は特高警察だった」―。戦前、戦中の治安維持法を背景に、思想弾圧に暗躍した特別高等警察(特高警察)。道内の多くの弾圧事件に特高刑事だった父が関わったと、市民集会で語り始めた男性がいる。札幌市の元高校教員谷岡健治さん(82)。「戦争は思想統制から始まる」。特定秘密保護法の施行や憲法改正の動き。戦前回帰と指摘される時代だからこそ、父の歩みを伝えている。

■「勇気がいること」

 5月下旬、札幌中心部のビルに市民ら約50人が集まった。戦前の札幌で、労働・平和運動に命をささげた女性活動家相沢良(1910~36年)の没後80年の追悼集会。谷岡さんは聴衆の前に立ち、50年前に67歳で他界した父茂満さんのことを語り始めた。

 「父は特高刑事として、33年に相沢さんを(治安維持法違反で)逮捕した。捜査を評価され、当時の道庁長官から賞金30円をもらった」。茂満さんが記し、遺品として引き継いだ警官時代の履歴書を手元に置いて約20分、熱弁を振るった。

 集会を主催した治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟北海道本部の宮田汎(ひろし)会長(78)は言う。「弾圧した側の家族が、こうした集会で発言するのは極めて珍しい。特高警察は悪として語られており、家族が人前で話すのは勇気がいることだ」

■「賞金で士気」

 谷岡さんや履歴書によると、茂満さんは高知出身で幼少時に家族で道内に入植。貧しい小作農の家庭だった。22年に当時の道庁警察部に入った。札幌警察署に勤め、道内で共産党関係者ら約250人が摘発された28年3月15日の「3・15事件」に関わり、32年に特高警察課に配属。治安維持事件を専門とした。

 相沢良の摘発当時には、小樽新聞(現北海道新聞)が捜査の「突撃隊」として、茂満さんら8人の刑事を顔写真入りで紹介した。

 履歴書の記述で、賞金を得た弾圧事件は8件。特高警察に詳しい小樽商科大の荻野富士夫特任教授(63)は「公的な資料では特高警察の個別の細かな職歴までは分からない。賞金を与えて士気を高めていたことがうかがえる」と指摘する。

■自己矛盾抱えた心中

 谷岡さんは今年3月の「3・15事件」を回顧する札幌の集会に参加。質疑応答で挙手し、公の場で初めて父が特高警察だった事実を告白した。会場にいた宮田さんが後日に取材し、4月に同連盟の機関誌に谷岡親子の軌跡を掲載した。5月の相沢良没後80年の集会には、発言者として招いた。

 谷岡さんが父の経歴を公にできたのは、父が戦後は実直に生きたと思うからだ。茂満さんは伊達署の署長として終戦を迎えると、辞表を提出。伊達の小さな建設会社で長く勤めた。「特高警察だったことに、けじめをつけたんだと思う」

 生前、特高時代のことはほとんど話さなかった。だが、父が亡くなる9カ月前、高校教員だった谷岡さんは胆振管内豊浦町の実家で、尋ねた。「共産党についてどう思っていた?」。父は迷わず答えた。「彼らは筋の通った道理のあることを言うと思っていた」。自己矛盾を抱えて捜査の現場にいた父の心中を思った。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-06-13 06:25 | 権力 暴力装置 | Comments(0)