秘密保護法 運用監視の不透明さ
2016年 08月 22日
運用監視の不透明さ
信濃毎日新聞 8月21日より一部
http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20160821/KT160820ETI090010000.php
政府の身内の機関に法の運用監視の役目を果たすことができるのか―。スタートする前から心配されたことが現実になった。
特定秘密保護法の運用状況を検証する内閣府の独立公文書管理監が、防衛省の指定した3件について不適切として是正を求めた。内閣府の発表だ。
不適切とされたのは、▽本来は新しい秘密として指定すべき内容を既存の特定秘密に追加する形で処理した▽特定秘密に指定したものの、その後該当する文書が作成されなかった―ケースなど。
いずれも秘密の内容に踏み込む指摘ではない。是正要求は指定の形式の範囲にとどまっている。
どんな秘密だったのか、管理監はどんな判断で是正を求めたのか、発表からは分からない。
今の管理監には検事経験者が起用されている。前の仕事は法務省の部長だった。
検事は官僚であり法務大臣の指揮命令を受ける。独立が保障されている裁判官とは違う。
検事出身者に法務省を含む省庁の秘密指定の問題点を洗い出すことができるのか、危ぶむ声は初めから上がっていた。本来なら弁護士、研究者など外部の第三者を起用すべきだった。
今度の発表を見ても、法の運用状況を国民に向け透明にしようと努力した形跡はうかがえない。身内の機関の限界である。
内閣には監視機関としてもう一つ、内閣保全監視委員会が設置されている。各省の事務次官級で構成される委員会だ。
こちらは管理監以上に“身内色”が濃い。何をやっているかよく分からない。
管理監と保全監視委は、秘密法を政府が勝手に運用するのではないかとの懸念が強まる中で急ごしらえで設置した経緯がある。中身が伴わない今度の発表を見ると、活用するつもりが政府にあるか疑いたくもなる。
・・・(後略)