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by 幸田 晋

迷走する原発事故の賠償・廃炉費用の負担

迷走する
原発事故の賠償・廃炉費用の負担


JBpress 11/25(金) 6:35配信より一部

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20161125-00048491-jbpressz-bus_all


 東京電力の福島第一原発事故から5年以上たつが、まだその賠償・廃炉費用の全容は見えない。経済産業省の有識者会議では、コストが想定を大きく上回ったため託送料(東電が他の電力会社から徴収する送電料金)に上乗せし、新電力にも負担させるという案を経産省が提示し、事業者の反発を呼んでいる。

 経産省はこれまで福島事故の処理費用を総額11兆円程度(賠償9兆円、廃炉2兆円)と見込んでいたが、これが最大7兆円も膨らむおそれが出てきたという。この損失が計上されると東電の経営が破綻するので、経産省は東電を分割して原子力部門を廃炉部門とともに国有化する案を検討し始めた。

■ 賠償・廃炉費用でまた「奉加帳」を回す経産省

 賠償・廃炉費用は、今は国と大手電力が出資する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」(2011年9月設立)が立て替えて、東電だけでなく他の電力会社も「一般負担金」として毎年約2000億円を支援機構に納付している。なぜ事故に責任のない電力会社が、事故のコストを負担するのだろうか? 

 これについては当初から「他の電力会社の財産権侵害だ」という批判があり、支援機構法の立法のとき内閣法制局も「憲法違反だ」として反対した。経産省はこれを「保険料」だと説明して押し切ったが、事故が起こってから保険料を払う保険はありえない。

 たとえばあなたが交通事故を起こしてから「損害保険に加入して保険料を払う」といったら、100%取られるだろう。これは1990年代の不良債権処理で使われた、無原則な奉加帳方式
である。今回の託送料引き上げは、その「お代わり」だ。 経産省は「原子力事業が始まった1960年代から、原発による電力の利用者が事故に備えた賠償費用を確保すべきだった」という珍妙な理屈を展開している。50年前に遡って、過去の保険料を事故が起こってから全国民に負担させようというのだ。
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 しかし原子力損害賠償法(原賠法)の制定時(1964年)から、電力会社が保険料を積み立てて損害賠償に捻出する仕組みは存在する。それを役所が使わなかっただけだ。

■ 東電の経営はもう一度破綻する

 原賠法では、原発事故で電力会社の払う保険金の限度額は1200億円で、それ以上については第3条に「その損害が異常に巨大な天災地変
又は社会的動乱によつて生じたものであるときは、この限りでない」という但し書きがある。これを使えば国が無限責任を負うことができるが、民主党政権は東日本大震災は「異常に巨大な天災地変」には当たらないとして、この但し書きを適用しなかった。 「事故を起こした電力会社が全責任を負うべきだ」という論理は正論に見えるが、そういう非現実的な処理をすると東電の経営は破綻する。電力会社が倒産するわけには行かないので、その債務は国が肩代わりせざるをえず、結果的には国民負担になるのだ。

 こういう場合は破綻処理して債務を整理するのが常識だ。東電も当初そういう処理を考えたが、断念した。これには複雑な事情があるが、最大の原因は経産省が「東電を生かして国が賠償する」(第3条但し書きを適用する)と銀行に約束したことだ。

 それに乗せられた銀行が2兆円も緊急融資したが、民主党政権がこれを拒否したため、経産省は窮地に陥った。銀行団は総額で5兆円近く東電に融資したので、これが全部吹っ飛ぶと、メガバンクといえども経営危機に陥る。

 そこで経産省は、東電を生かしたまま「トンネル会社」にして国費を投入する支援機構をつくった。ここでは東電本体は通常の発電業務を行ない、支援機構が事故のコストを支払って国が交付国債で資金を貸し付け、東電が長期的に返済することになっている。

 これは役所が東電をスケープゴートにして責任を逃れるためのフィクションである。東電は実質的に破綻した「ゾンビ企業」だから、彼らが賠償する資金は(間接的な)国民負担になり、「親会社」である支援機構が決めないと何もできない。

 こんな無責任体制が行き詰まることは最初から分かっていたが、いよいよ企業会計で今年度末に損失を一括計上すると、東電が債務超過になる危機を迎えたのだ。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2016-11-26 06:35 | 核 原子力 | Comments(0)