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by 幸田 晋

東芝が米原発産業の「ババを引いた」理由

東芝が
米原発産業の
「ババを引いた」理由


ダイヤモンド・オンライン 2/2(木) 6:00配信より一部

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170202-00116376-diamond-bus_all

 日本を代表する名門企業・東芝が崩壊の瀬戸際に追い込まれた。米国事業に隠されていた地雷「隠れ損失」が爆発して日本の本社が吹っ飛んだようなものだ。3.11の事故後、原子力事業は採算に合わず、リスクの高いビジネスであることは世界で常識になったが、安倍政権は今なお原発輸出を成長戦略のかなめに置いている。政策の失敗を認めない経産官僚と重厚長大から抜けられない産業界に引きずられ、時代の趨勢が見えない。東芝危機は「目を覚ませニッポン」という警鐘でもある。

 原発関連の企業など420団体が集う日本原子力産業協会(今井敬会長)の新年会が1月12日、東京国際フォーラムで開かれた。「今年は原発再稼働を本格的に進める年」。年頭の辞で今井会長は強調した。もう一つ力を込めたのが原発輸出。「原子力発電所インフラ輸出分野は日本の強みでございます」と語ったが、果たしてそうだろうか。東芝で起きたことは「日本の弱み」そのものではないのか。

 今井会長は新日鉄で社長・会長を務め、経団連会長を経て今なお財界の奥の院で健在だ。天皇の退位問題では、有識者会議の座長を務めている。その権勢を裏打ちしているのが甥で首相政務秘書官の今井尚哉氏である。経産省のエネルギー官僚で政務秘書官の前は資源エネルギー庁次長として原発再稼働に取り組んでいた。安倍政権が原発輸出を成長戦略に掲げたのは「二人の今井」の連係プレーと言われている。

 役人と業者が結託した政策。盲点はそこにあった。日本では原発は儲かる。「官民癒着の電力支配」がそれを可能にしたのだ。だが日本の産業風土は世界に通用しない。海外で原発はリスク満載の事業である。談合体質の日本では信じられない苛烈なビジネス戦争が原発の現場で起きている。

・・・(途中略)

● 20世紀に始まっていた 米欧日の壮大なババ抜き

 東芝内部でこの取引を主導したのは子会社エネルギーシステムソリューション社。WHを翼下に置く東芝の社内カンパニーで、社長はダニー・ロデリック氏。原子力事業は志賀会長が総責任者だが、実権はロドリゲス氏が握っていた、と関係者は指摘する。

 WHは子会社であっても設計やエンジニアリングの技術で先を行っている。東芝はWHの指導で原子力事業に乗り出したいきさつもあり、親会社として指導性を発揮できる関係になかった。日米間の意思疎通の悪さから、本社は米国で起きている深刻な事態を見過ごしたのだろうか。東芝は致命傷を負った。

 ババ抜きは今に始まったことではない。WHが売りに出た時からゲームは始まっていた。米国の電機産業を代表したGEやWHは1980年代からモノづくり企業として存続するのは難しくなっていた。GEはパテントやメンテナンスなどサービス産業に活路を見出し、改革できなかったWHは売りに出された。

 電機部門はドイツのジーメンスが買い、原子力部門は1999年、英国核燃料会社(BNFL)が引き受けた。だが再生は困難だった。スリーマイル島の事故以来、安全検査は厳しく、電力自由化が重なり電力会社は疲弊し、原発に逆風が吹いていた。BNFLはWHを持て余す。原子力産業は米国にとって戦略分野。売り先はどこでもいい、とはいかない。英国がダメなら日本。米エネルギー庁から経産省に売却が持ちかけられ2006年、入札で東芝が買い取った。

 ライバルの三菱重工が「相場の2倍」と驚くほどの高値。純資産3000億円程のWHを、後のショウからの引き取り分を含め6600億円で買ったことになる。喜んだのは売り抜けた英国公社とWHの処理に困っていた米国。背景には日米原子力協定で優位に立つ米国の政治力があった。事実上の経営権を米国に残しながら、日本から資金を引き出しWHを支える、という日米同盟である。

● 米国のツケを払わされ細る東芝 やがて原発も官主導で合併・再編か

 今回、東芝が被った7000億円の損失は米国の原子力業界が開けた穴である。

 9.11の同時多発テロで原発が狙われる恐れが問題になった。戦闘機が突っ込むことは想定していた安全基準が、大型航空機が突っ込んでも耐えらえる基準に引き上げられた。

 3.11の福島事故で、溶けだした燃料がこぼれ落ちない炉心の設計が求められ、安全検査は一段と厳しくなった。工事は頻繁に止まり、工期が伸び、物量・人件費が膨らみ原発の建造コストは跳ね上がった。そのツケが「実権のない親会社」である東芝に回された。

 2016年3月期の決算で東芝はWHで生じた損害2400億円を処理した。資金をひねり出すために儲け頭である医療機器部門の東芝メディカルをキヤノンに売却した。その前には白物家電部門を中国の会社に売っている。もう終わりかと思っていたところに、また米国から請求書が届いた。

 今度は半導体部門を別会社にして切り売りする。大型のフラッシュメモリーが好調で、粉飾決算で生じた大赤字を今年は埋められる、と思っていた矢先である。また、東芝の至宝が泥沼に引き込まれる。次に売られるのは東芝病院か、などと取りざたされている。去年も売却候補に挙がったものの従業員の健康に配慮して見送られたが、損失処理が拡大すれば手放さざるを得ないだろう。

 米国でつかまされたババによって、東芝は優良部門を一つひとつ剥され、細ってゆく。残されるのは引き取り手がない原子力部門だが、やがて日立・三菱重工の原子力部門と合体され官主導の「ジャパン・ニュークリア」にされるのでは、という観測が広がっている。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2017-02-03 06:25 | 対米 従属 | Comments(0)