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by 幸田 晋

東芝、「環境変化への不適応」をごまかし続けた末路

東芝、
「環境変化への不適応」を
ごまかし続けた末路


日経BizGate 3/29(水) 11:02配信より一部

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170329-00010000-nkbizgate-ind

「隠す文化」を反映した不祥事対応

 連結売上5兆6687億円、グループ従業員数18万人に上る東芝は、日本を代表する企業である。その東芝が、今、存亡の危機とも言える苦境にあえいでいる。

 2月14日に、2017年3月期の第3四半期決算報告を延期するとともに、原発事業による損失が7125億円に上る見通しであることを明らかにしていた東芝は、3月14日、同決算報告の再延期を発表し、巨額損失発生の要因となった海外原発事業から撤退する方針を公表した。

 既に今期末の債務超過は避けられない状態(それに伴い、東証2部への指定替えとなる)だが、来期末時点で債務超過が解消されなかった場合、上場廃止に至る。しかも、米国での原発建設工事の遅れから損失はさらに拡大する可能性がある。外部からの新規の資金調達が困難な状況であるため、好調事業の切り売りを余儀なくされており、半導体事業に続いてメモリー事業も売却が進められている。

 2015年4月に、初めてインフラ関連の工事進行基準についての不適切会計の疑いを公表して以来、約2年の間、東芝の経営陣が行ってきた一連の不祥事対応は、長い歴史の中で企業組織に根差してきた「隠す文化」を反映したものであった。

 社外取締役中心のコーポレートガバナンスの先進企業のように見られていたが、実際には、ガバナンスは全く機能せず、財界のオールスター、法曹界の重鎮を揃えた取締役会の体制刷新後も、全く変わらなかった。

第三者委員会を用いた「隠ぺい工作」

 2015年1月、証券取引等監視委員会に対し、不正な会計処理が行われている旨の内部通報があった。証取委からの報告命令を受け、東芝は4月3日、社外の専門家を含む特別調査委員会の設置を発表、5月8日には第三者委員会の設置を発表し、事実解明に当たるとした。

 2015年7月に公表された第三者委員会報告書では、1518億円の利益水増しが認定された。そして、経営トップが高い収益目標を「チャレンジ」と称して現場に強く迫ったことが、不正な会計処理が継続的に行われた要因であるとして、経営陣の責任が厳しく糾弾された。その報告書の内容を受け、歴代3社長が引責辞任したことが大々的に報じられたことで、不正会計問題は幕引きという雰囲気が醸成されようとしていた。

 一方で、この報告書には、(1)調査対象が「損失先送り」という損益計算書に関するものに限られ、2006年に約6000億円で買収した米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)の3500億円という巨額ののれん代の償却の要否などといった、会社の実質的な財務基盤にかかわる貸借対照表が除かれていること、(2)会計不正の問題であるにもかかわらず、不正の認識の根拠となる監査法人の問題が委嘱の対象外とされていることなど、不可解な点がいくつもあった。

同年11月に、内部告発によると思われる『日経ビジネス』(日経BP社)のスクープによって、WHが2012年度と2013年度に巨額の減損処理を行っていた事実が明らかにされた。東芝はそれまで、原発事業については一貫して「好調である」と説明しており、減損の事実についても公表していなかった。

 それだけでなく、続く同誌のスクープで、執行部がWHにおける減損の事実を隠ぺいするため、第三者委員会の調査委嘱対象からWH減損の問題を外すよう画策し、それが顧問事務所から第三者委員会に伝えられて、調査対象から除外されていた事実も明らかにされた。

 不正会計の動機となったWHにおける巨額損失は、不正会計の原因究明に当たるはずの第三者委員会の調査対象から外されていたのである。

 また、2016年3月には、執行部がWHの減損問題について厳しい指摘を行なっていた会計監査人の新日本有限責任監査法人の意見を封じ込めるため、競合する大手監査法人である有限責任監査法人トーマツの子会社から助言を受けていたことも報じられた。第三者委員会の委員の1人はトーマツの公認会計士であり、調査補助者もトーマツの関係会社だった。これらの事実は、監査法人が調査対象外とされた事情の1つになった可能性が高い。

・・・(後略)
by kuroki_kazuya | 2017-03-30 06:25 | 資本