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by 幸田 晋

「原発輸出」で日立も三菱も東芝の二の舞いか? やばくても撤退許されぬ実態

「原発輸出」で
日立も三菱も
東芝の二の舞いか? 

やばくても撤退許されぬ実態


〈週刊朝日〉

AERA dot. 10/25(水) 7:00配信より一部

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171024-00000037-sasahi-soci

 またも総選挙の争点から置き去りになった原発問題。国内新増設が見込めない中、安倍政権の原発輸出路線に乗って原子炉メーカーが活路を見いだすのは海外市場だ。だが、一歩間違えば巨額の赤字を背負い込むリスクもある。東芝の二の舞いにならないのか。ジャーナリストの桐島瞬氏が取材した。

 今回の衆院選で原発ゼロを掲げたのは希望の党、共産党、立憲民主党、社民党。一方、自民党、公明党、日本維新の会、日本のこころは条件付きを含めて再稼働を容認した。だが、すでに再稼働が進んでいることへの諦めの雰囲気なのか、争点として原発政策が大きく注目されることはなかった。

 現在、国内で再稼働した原発は5基。さらに9基が新規制基準に適合するなど安倍政権では次々に再稼働を進めている。エネルギー基本計画で2030年の電力の約2割を原発で賄うとしているためだ。

 だが、建て替えや新増設となるとハードルが高い。

「経済産業省は、来年見直すエネルギー基本計画にも新増設の表現を盛り込むことはまだ早いとして見送る構えです。新たに原発を造ることへの国民のアレルギーが依然としてあるため、既存原発の再稼働で間に合わせようとしています」(経産省関係者)

 国内需要が見込めない以上、国内原子炉メーカーが目を向けるのは海外だ。

 安倍晋三首相自らトルコやインドへ原発を売り込みに行くなど余念がない。

 現在、プロジェクトが動いているのは、日立製作所と三菱重工業。日立は12年にドイツの電力会社から原発事業会社の「ホライズン・ニュークリア・パワー」を買収し、英国ウェールズの沿岸地域にあるウィルファで原発4~6基程度の建設を計画。

 三菱はその翌年、トルコでフランスの原発メーカーアレバなどと企業連合を作り、黒海沿岸のシノップ原発の建設で合意した。

 半面、海外の原発事業には大きなリスクが伴う。

 東芝は子会社の米原発会社ウェスチングハウスの経営破綻から屋台骨が揺るぎ、海外の原発事業から撤退した。そうなると心配なのは、日立と三菱が東芝の二の舞いになる危険性だ。

「トルコはまだ事業化の調査段階ですが、英国は20年代前半の稼働を目指して動きだしています。改良型沸騰水型原子炉(ABWR)を建設するプロジェクトの総額はおよそ2兆7千億円。うち1兆円が日本の公的融資ともいわれます。これだけの大金を投入して、本当にリスクはないのかという懸念があります」(同)


 プラント輸出の動向に詳しいエンジニアリング・ビジネス誌の宗敦司編集長は、「英国はほかの国に比べてリスクは低いとされているものの、それでも問題は山積み」と話す。

「まず英国では労務費が高いうえに大量の建設作業員の確保が難しい。それに環境保全コストもかさむ。建設工事がスムーズにいかず工期が長引くようなことになった場合、そのぶんの損失を日立側が被ることも想定されます。プロジェクトは日揮、米国のベクテルとコンソーシアムを組んで進めますが、日立と日揮には原発を輸出した経験がない。このため、思いもよらないトラブルが起きた際、3社がうまくまとまるかどうかは未知数なのです」

 この3社は今回、工事遅延などで発生した損失は、事前に決めた割合で全社が責任を負うとしている。だが、予想外のもめ事が起きない保証はない。

 事実、アレバの新型原子炉「EPR」を建設中のフィンランドのオルキルオト原発3号機とフランスのフラマンビル3号機では、コンクリートの欠陥などから完成がずれ込み、追加費用の支払いを巡って訴訟にまで発展した。

・・・(途中略)

それを裏付けるのが
9月に明らかになった政府の全額補償だ

今回の日立の原発輸出プロジェクトに関して、日本のメガバンクが融資する建設資金の全額を、政府が日本貿易保険(NEXI)を通じて補償する方向であることが報じられた。
通常、民間融資が焦げ付いた場合の
NEXIの補償は
90%から95%ほど。
全額は異例だ


「今回のプロジェクトでは英国政府と日立、それに日本政策投資銀行と国際協力銀行も融資を実施する見込みですが、総額2兆円を超えるだけに民間融資が不可欠。しかし、原発輸出は貸し倒れリスクが大きいため、銀行が通常の条件での融資を渋った。そこで政府が全額補償をのんだのです」(金融関係者)

 全額補償の後ろ盾があってはもはやビジネスではないとの声が聞こえてくる。 しかも、日立の原発プロジェクトが失敗して多額の融資が焦げ付けば、そのツケは国民に跳ね返ってくるのだ。

そこまでして安倍政権が
原発輸出を進めようとする背景には、
経産省の思惑も働いている
と元経産官僚の古賀茂明氏は話す


「原発産業は
すそ野が広く利権の宝庫。天下り先も多い。
それを守るためには、是が非でも原発維持が必要です。
経産省内で
安倍さんは核武装論者だと思われている。
首相の意向を忖度するふりをしつつ、
実は、原発再稼働や輸出を進める安倍政権を利用して利権を守る。
それが将来の生活保障になるというシナリオです」


 しかも、いまや日立が強い立場にいる。

「日立は今後、プロジェクトから降りることを匂わせながら、すべてのリスクを政府に被せてきます。そもそも原発輸出したくて仕方のない日本は、相手から見れば、何でも言いなりのいいカモです。東芝と同じ轍を踏めば、結局その尻ぬぐいをするのは国民なのです」(古賀氏)

 原発のコストは、やはり高くつき、やがて国民一人ひとりに跳ね返る。

 世界的に見れば、再生可能エネルギーへの投資が原発投資をはるかに上回る。

 憲法改正、消費税も大事だが、安倍政権、野党は選挙の争点として逃げずにキチンと論議すべきだった。

※週刊朝日 2017年11月3日号
by kuroki_kazuya | 2017-10-26 06:25 | 資本