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by 幸田 晋

エネルギー小国日本の選択(14) ── 原発事故の被害と高まる反原発論

エネルギー小国日本の選択(14)

── 原発事故の被害と高まる反原発論


THE PAGE 11/27(月) 14:30配信より一部

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171122-00000021-wordleaf-bus_all

 未曾有(みぞう)の東京電力福島第1原発事故は国内外に多大な悪影響を及ぼした。放射能汚染により、福島県のみならず東北産、日本産の食品は売れない時期が続いた。今も続いている。観光客も急減した。福島県の原発に近い地域では居住が禁止され、慣れ親しんだ故郷を泣く泣く離れる人々が出てきた。住み続けることができる地域でも、見えない放射能の心理的ストレスなどを抱え、県外に自主避難している人が少なくない。

 東電は賠償を進めるが、先の長い取り組みで費用は膨らんでいる。福島の復興、経営再建の道筋は依然不透明だ。

 今回はあらためて、原発事故がもたらした影響と原子力反対の動きを見ていきたい。


汚染された国土

 汚染水、汚染米、汚染牛、海洋汚染に土壌汚染 ── 。

 震災後の日本には、汚染という言葉が溢れ返っていた。福島第1原発事故で飛散した放射性セシウムが稲わらに付着し、飼料として食べた肉牛が食品としての放射性物質の基準値を超え、出荷できないといった事態が多発した。

 放射性物質が田畑や山林に舞い散り、また海に放出され、農林水産業に多大な影響が出ている。食品に含まれる放射性セシウムなどが基準値を上回っていないかを出荷前に調べる「モニタリング検査」は震災後、150万回を超えた。政府は「基準値を超える割合は減少」と強調するが、裏を返せば、いまだに検出されている。シイタケなどのキノコ類や野生の鳥獣類は検出されやすく、福島県を中心に出荷が制限されている。福島県産の米は全て出荷前に確認する「全量全袋検査」が続いている。

 基準値を下回っているといっても、有害な物質が少しでも含まれているなら、避けようとするのは自然だ。乳児の粉ミルクなどからもセシウムが検出されており、「自分ならまだしも、子どもには極力安全な物を食べさせ食べさせたい」と感じる子育て中の親は多い。西日本の食品を取り寄せて食生活を送る関東在住者もいる。

 「放射能は半減期があるから大丈夫」、「基準値を下回っていれば安心」といくら言われても、少しネットを検索すれば、それとは違う情報が氾濫し、判断を惑わせる。震災直後の4月5日、ジャーナリストの池上彰氏が「放射線が人体にどれだけ危険か、その情報を見て得心すると、テレビで『直ちに健康に影響が出るレベルではない』と伝えられても安心できません。むしろ、『政府やマスコミは危険なデータを隠しているのではないか』と疑心暗鬼に駆られてしまいます。不安の悪循環です」(ニューズウィーク日本版)とコラムに寄せていたように、放射能を「正しく恐れる」ことは難しい。

 また、こうした連載記事を読むことで「被災地の食品を買うのはよそう」と思ってしまう人がいるかもしれない。「『汚染、汚染』とあなたたち(マスコミ)が騒ぎ立てるのが過剰で異常なのよ」。2011年夏、東京都内で取材した食品関連会社の役員という女性は睨むように告げた。日本産の食品の安全性を海外の取引先から疑問視され、ビジネスに悪影響が出ているといった。

・・・(途中略)

「2030年代の原発稼働ゼロ」か「10年以内にベストミックス」か

 反原発の動きは日増しに強まっていった。「稼働中の原発は止めろ、止まっているものは動かすな」と訴え、運転差し止め仮処分を求める動きが全国的、時に組織的に広がった。

 これまで触れてきたように、原発をめぐっては震災前からも賛否が割れ、推進か撤退かで揺れ動いてきた。不祥事や事故があるたびに反対する動きが強まった。

 代表的なものに、東北電力が新潟県巻町(現新潟市西蒲区)に建設予定だった巻原発がある。1970年ごろから計画が始まったが、アメリカ・スリーマイル島と旧ソ連・チェルノブイリの原発事故や、もんじゅのナトリウム漏れ事故などを受けて1996年、建設の是非をめぐる住民投票を実施。反対派が多数となり、東北電は計画を白紙撤回した。

 福島第1原発事故後、国内の原発をめぐる訴訟はかつてなく増え、また争いが激しくなっている。今年には、東電の勝俣恒久元会長ら旧経営陣が業務上過失致死傷罪で強制起訴された裁判も始まった。別途詳しく触れたい。

 しかし、かつてない逆風の中でも、原発を推し進めようとする動きは政府、産業界を中心に根強かった。2012年12月の衆院選では、当時政権政党だった民主党が「2030年代の原発稼働ゼロ」を掲げたのをはじめ、多くの政党が「原発ゼロ」を公約に掲げた。だが結果は「10年以内にベストミックス(最適なエネルギー源の組み合わせ)を確立」とした自民党が圧勝した。そして今に続く安倍政権が、企業業績の好調さも背景に原発を活用する政策を取り続けている。

 次回はそうした政権を選択した日本、原発を推進する官民の思惑を考えていきたい。
by kuroki_kazuya | 2017-11-28 06:45 | 核 原子力 | Comments(0)